かふふ驛のランプ小屋

  

  

 

 

中央線が現在の甲府駅(山梨県甲府市)まで延伸したのは、1903年(明治36年)のこと。甲府駅もこの時に開業している。

下の古い絵葉書は、甲府駅南口から撮影した駅舎が写っている貴重なものだ。まだ駅前には何もなく、開業してそう時間は経っていない時期ではないだろうか。

 

駅舎の右手には屋根付きのホームが見える

 

この時代は、木造の客車の照明には灯油ランプが使われていた。保線用のランプも含め、ランプと燃料を保管するための小屋が、駅のホームに隣接して建てられていた。耐火性に優れたレンガ造りのランプ小屋である。令和になった今でも、当時のランプ小屋が駅近くに残っているものがわずかながら現存している。

甲府駅にもこのランプ小屋があった。

下の絵葉書は南口を違う角度で写したもので、跨線橋と思われるものが駅舎の東側(右側)に写っている。また絵葉書の右端には、おそらくだがランプ小屋らしきものもある。

上の絵葉書は駅舎の前に樹木があり、下の絵葉書にはないところをみると、駅舎が開業する前後のものかもしれない。

跨線橋(紫矢印)とランプ小屋(黄矢印)

残念ながらランプ小屋は解体され、現在は一部がモニュメントとして駅のホームに設置されている。

 

モニュメントの前のベンチや床などに、解体時にでた古いレンガが使われており、列車を待つ人の憩いスペースに生まれ変わっている。

 

手前にある街灯も当時のイメージを再現したものだろうか

 

 

昔の「甲府」、ひらがな表記は「かふふ」だったんだなと思うと、なんだかかわいい。
が、当時は右から左に読んだから「ふふか」と書かれていたんだな 笑
 
(別サイトの記事「甲府駅は「かふふ驛」と書かれていたのか?」に、ふふかの駅名標の写真があります)

  

モニュメント左上にある説明板

 

 

ランプ小屋のことは以前から知っていたが、それに関わる職員を「整灯手」と呼ぶというのは知らなかった。勉強になる。

 

モニュメント右上にある説明板

 

レンガの積み方は、長短が段違いに積まれるイギリス積み

 

 

 

 

ランプ小屋のほかにも2点、往時をしのぶ駅設備の一部がモニュメントとして展示されている。

一つは、釣鐘だ。

設置時期は不明だが、駅東側の跨線橋に吊り下げられていた鐘である。説明板には跨線橋の下部とあるが、具体的にどんな風に吊り下げて、どんな風に鳴らしていたか、ちょっとイメージができないな。

 

☆クリックで拡大

 

 

釣鐘の台座の上部には、甲府駅開業時に使われていた古いレールの一部が展示されている。レールも刻印も塗り直されているようだが、ドイツのウニオン社の刻印がはっきりと確認できる。

ちなみに、JR仙山線の奥新川駅近くにある奥新川変電所の骨組みの一部は線路のレールが使われており、このウニオン社のレールも使われていたようだ。変電所が立てられたのが1937年(昭和12年)なので、その頃に明治時代の不要になったレールが流用されたということだろうか。

 

 

 

 

もう一つは、跨線橋に使われていた柱だ。

 

ランプ小屋モニュメントの右側奥に跨線橋の柱が設置されている

 

上の写真、柱の部分を拡大してみると、なかなか凝ったデザインで、説明板を読むと当時の鉄道にかける日本人の熱量のようなものが感じられ感慨深いものがある。

 

☆クリックで拡大

 

 

 

なお、愛知県の木曽川駅にも、跨線橋の柱がモニュメントとして設置されている。製造時期は甲府駅より後のようだが、デザイン的によく似ている。

 

木曽川駅のモニュメント
Gnsin, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

 

 

 

まだまだ、ランプ小屋を訪ねあるく旅は続く・・・

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