到達:2024年5月
難易度:■■□□(初級)
これまで小さな島にいくつか行ったが、その中で沼島(ぬしま、兵庫県南あわじ市)は比較的にぎわいがあった。多少でも観光客が来ることが、寄与しているのかもしれない。
沼島は、淡路島の南、和歌山県、徳島県に囲まれた海域にポツンとある(地質が淡路島と違うらしい)。この“ポツンと感”が、イザナギとイザナミが降り立った「おのころ島」の有力候補地とされる理由の一つかもしれない。
淡路島から沼島を見ると、それほど山が高そうに見えない。だが、標高は100mちょっとあり、実際に歩いてみるとそんなに気楽なものではないことを痛感した。
連絡船は10分であっという間に沼島に着く。乗客は地元の人と観光客っぽい人があわせて20人ぐらいだった(平日の昼ごろ)。沼島ターミナルセンターというりっぱな待合所がある。
ここからまっすぐに灯台を目指すなら、次の地図のオレンジのマーカーの道を通るのが近道だが、今回は飲食店で昼食をとってから、緑のマーカーの道で灯台を目指した。
沼島は、前述のおのころ島伝承に基づく神社のほか、上立神岩(かみたてがみいわ)をはじめとする奇岩、島を周回するクルーズ、海水浴場などがあり、飲食店や旅館もいくつかある。
桟橋から少し歩けば、島の中心部に着く。
タチウオ天ぷらセットを食べてから、まず上立神岩を目指して歩き出す。
小学校・中学校があった。人口約400人の島だが、まだ子どもたちもいるということだ。校舎から生徒たちのにぎやかな声が聞こえてくる。
その先からいよいよ上り坂だ。灯台までの道は、ほとんどがコンクリート舗装されている。坂ののぼりくだりは別として、足元の苦労がないのはありがたい。
歩き始めて10分ぐらいで、島を一周する周遊道路の分岐点に来た。灯台へは左折するのだが、ひとまず上立神岩を見るために直進する。
島の反対側に出た。たいした上り坂ではなかったのだが、ちょっと足がつらくなってきた。というのは、ここに来る前に、釣島鼻灯台の往復というかなりハードなクエストを経験し、すでに足が疲れ切っていたからだ。
上立神岩はこの下付近にあるのだが、海岸までおりる道はかなり急で、ここからの距離が137mあるという。灯台はまだまだ先なので、体力(脚力)を温存するために下にはおりず、31mのぼった展望台から眺めるだけにする。
さっきの分岐点まで戻り、灯台方向に歩き出すのだが、いきなりこの急な上り坂だ。30度ぐらいあるんじゃないのか?
足の疲労感と息切れで、何度も立ち止まる。どこまで行ってものぼりだ。分岐点の案内板には灯台まで1.3kmとあった。ガックリくるぐらいの遠さだ。
果てしなく続く上り坂の傾斜が少し緩やかになってきたところに鳥居があった。この先に神社があるのだが(前出の地図にも神社のマークがある)、地図を見てみると、分岐点から灯台までの道のりのまだ半分だ、やれやれ。
ただ、高低差は100m近く稼いでいて、標高はすでに灯台とほぼ同じ110mぐらいのはずだ。もうあまりのぼりがないのはありがたい。
桟橋からまっすぐにのぼってきた道(前出の地図のオレンジのマーカー)が左から合流した。もう少しだ。
と思うのだが、道はまだ続く。
コンクリート舗装の道が右にそれている。なにがあるのか、と見たら、実は灯台だった。
森の中にたたずむ、不思議な造型。
沼島灯台に到着。分岐点から必死の上り坂を経て30分。この30分は本当にキツかった。
周囲がすべて木で囲まれていて、塔頂がちゃんと見えるところがどこにもない。
ピロティというか中2階というか、ちょっと変わったデザインなのだが、結局灯台の全体像を収めることができなかった。残念。
このあとは、最短ルートで港に戻ったのだが、船を降りてから最短ルートで灯台に向かう場合を考え、撮影とは逆順で写真を紹介する。
沼島ターミナルセンターから、島の中心部に行く道とは別の左側の道を歩いていく。左手には、連絡船が着く港とは別の漁港(泊港と呼ばれている?)があり、これに沿っていく形だ。
住宅の間を歩き、5分ほどで観音寺に着く。
このあたりで住宅が終わり、山道に入っていく。
島なのにイノシシがいるんだ。そういえば山中でイノシシの捕獲器を何カ所かで見かけたな。
土地の傾斜が次第に急になり、道が折れ曲がり始める。
道端にヘビがいた。下半身しか見ていないけど、全長1mぐらいか?
ひたすらのぼりが続く。コンクリート舗装なので歩きやすいが、風景の変化があまりないのがこのルートの残念なところだ。
くだりの時間で計ったことを加味し、のぼりだとして考えると観音寺から20分ぐらいで、島内周遊道路との分岐点に来るはずだ。とすると、港から灯台までは30分ぐらい。
最短ルートで往復すれば1時間程度ですむ。ただ、船便によるが、島の滞在時間はだいたい2~3時間になる。灯台自体の達成感がちょっとイマイチなので、少し寄り道をして、沼島をゆっくり味わうといいと思う。
帰りの船を待つ間に、2つの防波堤灯台を撮っておこう。泊港側の沼島港泊防波堤灯台。
こっちが沼島港西防波堤灯台。色と形がほぼ同じだ。
帰りの船から沼島を見たら、沼島灯台がかすかに見えた(赤丸内)。おそらく島内からは見えないだろう。沼島灯台は「遠くから見えるが近くに寄ってもよく見えない」灯台なのだ。