香住港城山灯台は歯ごたえあり、しかも優秀な“守衛”がいて容易に近づけない

 

ナギヒコさんから寄稿していただいた記事です

 

到達:2023年4月
難易度:■■■□(中級)

 久しぶりに歯ごたえのある灯台に行った。香住港城山灯台(かすみこうしろやまとうだい、兵庫県香美町香住区)だ。

 難易度上級の灯台はそもそもあきらめているので、灯台クエストとしてはこのへんが「限界の難易度」かもしれない。

 香住(かすみ)港に水揚げされる紅ズワイガニは「香住ガニ」として有名らしい。日本海に面した兵庫県香美町(かみまち)にある香住港の東側に、城山という場所がある。

 次の地図画像を見るとわかるように、香住の町は河口に土砂が堆積した平地だ。そして、島だった城山あたり(赤線で囲まれた部分)が陸地とつながったのだ。“城山”という地名は、以前にあった塔の尾城(1336-1580)が由来になっている。

  

(Googleマップ)

 

 現在、その塔の尾城の代わりに立っているのが香住港城山灯台だ。

 難易度が高い理由の一つが、登り口のわかりにくさだ。さいわい、灯台探索の先人がブログで登り口の写真を上げてくれていたので、今回は迷わずに発見できた。ありがとうございます。

 そうじゃなきゃこれが登り口だとはわからないよね?

 

 

 上の写真は、香住の町中から岬の突端に向かい、坂を上り始めて振り返ったところ。道の右側、棒が立っているところが登り口。左には保育園とこどもの広場がある。

 ここまで近づくとコンクリートの段が見えてきて、ようやく登り口だと確認できる。棒には「石仏地蔵第三番 左登ル」と書かれている。

 

 

 登りはじめはこんなところ。かなり急だし、積もった落ち葉で足が滑りそうだ。

 

 

 振り返って下を見るとこんな感じだが、写真じゃよくわからないかも。中央の白い部分が道路なんだけど。

 

 

 上りが一息ついたところで最初のトラップ。正面の平坦なところと、右の急坂、どっち?

 

 

 正面は木がじゃまをしている感じがあるので、右に行ってみる。

 お地蔵さんがあった! 正解だった。

 

 

 さて、このあとどっちに行くのか…。と、右の木の根元に2本の黒いロープがあることに気づいた。

 

 

 このロープがないと進む方向がわからないし、なによりこの段差を上るのをあきらめてしまう人もいるだろう。見た目はすごそうだが、右のロープにつかまりながらなら、なんとか上れる。灯台職員用というよりは、灯台観光用に誰かが用意してくれたんだろう。ありがたく使わせてもらおう。

 右に「城山灯台 登ル 十五分」という案内棒もあった。ちなみに、この先に灯台があるという案内は、町中を含めてここだけ(おそらく)。

 このあとは、そこそこ急な山道がずっと続く。城山の標高83mを一気に上るのはなかなかキツイ。アキレス腱がよく伸びるよ。

 

 

 崖下からは、広場で遊ぶ保育園児の声が小さく聞こえてくる。あとは落ち葉を踏みしめる音と、自分の苦しげな息の音だけ。

 右をよく見ると、3本の木に赤いリボンが結んである。この3つを結ぶ線より右に行くな(道が違う)、ということか。

 

 

 道の傾斜がなくなり、木もちょっと途絶えた場所がある。写真下部を見るとわかるように、木の全体、あるいは枝を切った形跡がある。これも誰かが整備してくれているということだ。感謝。

 

 

 再び上りになってすぐ、木がなくなって草が生い茂る場所に出た。「ここを進んでいいんだよね?」

 

 

 そして一歩踏み出せば。

 

 

 おお、見えた。実用一点張りの形なのはちょっと残念だが。

 

 

 もっと近づこうとしたところ、思わぬ伏兵がいた。丸っこくてちょっと大きめのハチっぽいヤツが、灯台の手前を飛び回っている。

 一瞬姿を消すが、また同じ場所に戻ってホバリング、これを何度も繰り返す。明らかにこっちを認識し、警戒している。

 いなくなるのを5分ぐらい待ったが変化なし。10分、20分と待ってはいられないが、ここまで来て引き返すのはもっとできない。“守衛”が姿を消した瞬間を狙って、えいっと灯台に近づく。

 

 

 ビクつきながら急いで撮ったから、あとで見たら上部が欠けちゃっていたよ。外付けのはしごで、光源のある上部に上るタイプの灯台だ。

 

 

 守衛が襲ってこないか気が気ではないので、適当に撮影して撤収。

 

 

 木のある日陰にまで戻った。攻撃されなくてよかった。

 あとは引き返すだけ。滑らないようにゆっくりと下る。「灯台はいかがでしたか? ご意見をお聞かせください」という耳があった。

 

 

 下界に下りたら、広場にいた保育園児に「あ、人間がいる!」と言われた。そんなに人間が珍しいのか、きみも人間だろ。

 

 

 振り返って、道をさらに上っていくと、岬の突端に岡見公園という景勝地がある。

 灯台のある城山では、まったく海が見えない。せっかくなので岡見公園で日本海を堪能しよう。中央に見える赤い防波堤灯台は香住港東浜北防波堤灯台。

 

 

 写真左側が今行ってきた城山だ。かなり崖が険しいし、岡見公園の周辺も急峻な崖があるので、歩き回るときは気をつけるように。

 

 

 香住港城山灯台は、少なくとも登り口まではアクセスしやすい。クルマは岡見公園の向かいにある駐車場に止められる。また、香美町町民バスでJR山陰本線香住駅から岡見公園下(保育園の下あたり)まで来ているので、鉄道とバスでも到達可能だ。

 

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