急坂と草むらと暑さ、陸奥大島灯台への片道30分はこれまでになく苦しかった

 

ナギヒコさんから寄稿していただいた記事です

 

到達:2023年9月
難易度:■■■□(中級)

 自動車道がわかりにくかったり、クルマを降りてからの歩きが大変だったりするけど、それを乗り越えて灯台にたどり着いたときの快感を伝えるのが、“灯台クエスト”の使命なのだが、これまでで一番歩きが苦しかった。

 下北半島と津軽半島に囲まれた陸奥湾。そののど奥にちょっとでっぱった夏泊半島があり、その先端に大島と陸奥大島灯台(むつおおしまとうだい、青森県青森市)がある。

  

(国土地理院)

 

 青森市内からクルマを1時間ぐらい走らせると、左手に大島が見えてくる。

 

 

 飲食店やトイレがある場所にクルマを止め、出発だ。

 

 

 この場所からだとわからないが、大島を横(東側)から見るとこんな形をしている。

 

 

 矢印の先が灯台のある場所だ。山が大小2つあって、小さな方に灯台がある。この形で思い浮かぶものが、そこそこ上の年代の人にはあるはずだ。そう、ひょっこりひょうたん島だ。ひょうたん島は、灯台のある小さい方の山を前にして海を進んでいく。

 さてその灯台へは、左側、ひょうたん島の後部からアプローチする。海岸沿いではなく、山の尾根を歩くので、結構上り下りがあることが想像できると思う。

 大島は島なのだが、りっぱな橋が架かっているから、渡るだけなら簡単だ。

 

 

 橋を渡り終えれば、小さな平地の先に山がある。正面にある入り口からいよいよ森へ踏み込んでいく。

 

 

 そしていきなりの急階段が延々と続く。

 

 

 コンクリートの階段が終わるころには息も絶えだえになるが、上り道はまだまだ続く。

 

 

 きつい上りが次第に緩やかになってきた。山の頂上に近づいているということだ。

 

 

 階段を上り始めて10分ぐらいだろうか、分かれ道に遭遇。灯台への道を示す立て札かと思ったら「遊歩道以外、立入り禁止」だけだった。ただ「分かれ道は1カ所だけ。そこを右へ」と先人たちのブログにあるので、迷うことはない。

 

 

 が、せっかくなので左の上り道にも行ってみると、20~30mぐらいで行き止まりになる。石の四角柱は三角点のものだろう。とすると、おそらくここが大島の最高点であり、標高は63m。水平方向200mぐらいでこれを上ったことになる。大変だったわけだ。

 

 

 分かれ道まで引き返し、灯台への道に戻ろう。山を上りきったので、道はしばらく緩い上り下りになる。

 

 

 歩きやすくわかりやすい道を進む。同じ立て札は4カ所ぐらい立っているが、そのあとなくなる。なぜかというと、遊歩道以外に立ち入ることが難しくなってしまうからだ。ひとまずはそこそこ快適に歩いていける。

 

 

 ついに下り道に入った。1つ目の山を下り、2つ目の山に向かうということだ。親切にロープが用意されているが、かなり古そうでちょっと使うのがためらわれる。道がぬかるんでいたりしなければ、ロープに頼らなくても上り下りできるだろう。

 

 

 そして、2つ目の山と、灯台の先端が見えたぞ! 灯台クエスト中、一番気持ちが高揚する瞬間だ。

 

 

 森を抜けた。2つの山の間にある鞍部(尾根の低いところ)を越えないといけないが、なかなかの高低差がある。

 

 

 鞍部に下りきる手前からの眺めが、陸奥大島灯台のベストショットかもしれない。向こうに見える陸地は、下北半島の脇野沢あたりではないかな。陸奥弁天島灯台がある場所だから、この2つの灯台が陸奥湾東半分の入り口を見守っているという形になる。

 

 

 鞍部から左(西)方向を見ると、青森湾の向こうに津軽半島が見える。

 

 

 鞍部を過ぎ、再び上りに。このへんは木がないので草が伸び放題だ。分かれ道のあった森の中とうって変わって、ギリギリ道がわかる程度だ。このへんに「遊歩道以外、立入り禁止」の立て札がないのも当たり前だ。そもそも入っていけないし、ヘタに入ると崖から海岸まで滑り落ちてしまうかもしれない。

 

 

 草をかき分けながら進む。トゲのあるバラもあるし、夏でも(夏こそ?)長袖と軍手で臨むことをお勧めする。なのでめちゃくちゃ暑い! 上り下りで足と呼吸がつらいのに加えてこの暑さは本当にこたえる。

 

 

 そして陸奥大島灯台に到着。駐車場から歩き始めて30分ちょっと。かなりシビアな道のりだった。

 

 

 1949(昭和24)年に建てられた姿は、小ぶりながらいい味わいだ。ここまでの苦労が報われる。ソーラーパネルがちょっと無粋だが、灯光の電源はこれでまかなっているのではないか? ここに来るまでに電線はなかったからな。

 周りは草木が生い茂っていて、ほかのアングルからはほとんど撮れない。灯台の後ろ側に回ってみると、りっぱな鳥居があった。

 

 

 その奥には弁天宮。灯台の近くには神社のようなものがあることも多い。灯台が建てられるのは船の航行に危険があるからで、船の安全を祈る神社の近くであるのも不思議なことではない。

 

 

 そろそろ戻ろう。この暑さの中、鞍部まで下り、また上るのか。ちょっとつらいぞ。

 

 

 古いロープのあるところまで来た。下りだった行きにはあまり意識しなかったが、ここの上りもなかなかハードだ。

 

 

 歩き始めてから約1時間、ようやくコンクリートの階段のところまで戻ってこられた。

 

 

 陸奥大島灯台は、とりたてて体力や経験のない一般人でも行けるが、そこそこ難関の部類に入ると思う。

 陸奥大島灯台については以下の別サイト記事でも触れたので、あわせて参照してほしい。

 

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