わたらせ渓谷鉄道、各駅を順に旅するの第6回。
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トロッコ列車は、神戸(ごうど)駅を出発した。
わたらせ渓谷鉄道は、始発の桐生駅と終点の間藤駅では標高差が約550mあるため、場所によってだいぶ体感温度が違う。この日の神戸駅近辺は12度前後。数値だけ見れば窓なしのトロッコ列車はかなり寒いように思えるが、もう少し低めの気温を想定した軽登山の服装で行ったため、それほどの寒さは感じなかった。
なにより、窓がないというのは、写真が実に撮りやすい。
駅を出てすぐに、照明を消すというアナウンスがある。このあとすぐに草木(くさき)トンネルに入るのに、なぜ照明を消すんだろう?トンネルにライトアップでもあるのかな・・・と思っているうちに、列車はトンネルに突入した。
すると驚くことが!
実際に見ていただいた方が早いので、下の動画をご覧いただきたい。草木トンネルに入るのは30秒ぐらい経過した後だ。
まさか、窓のないフレームだらけのトロッコ列車の天井にイルミネーションが輝くとは、想像もしなかった。天井近くの側面に約12,000球のLED電球が虹色に変化する。動画の様子をみてもわかるように、2両目の車両は照明が灯っており、イルミネーションするのはトロッコ車両のみ。それも、草木トンネルを通り抜ける間に限定されている。
しばしイルミネーションを堪能していたのだが、なんだかずいぶんトンネルが長いことに気が付く。上の動画では、30秒後にトンネル内に入り、出口を出るのが8分50秒あたり。実に8分20秒もかかったことになる。
ここで改めて、地図をみてみる。
データによれば草木トンネルは全長5242mある。ダム建設による人造湖、草木湖の左側の山中を通るトンネルだ。
草木ダムの建設に伴い、神戸駅と沢入(そうり)駅の間は廃線となった。新しく新線が付け替えられ、草木トンネルが作られたのだ。
廃線となった区間には草木駅があったが、今は草木湖に沈んでいる。上の地図では下のオレンジの丸から上方向にぐっとカーブしているが、旧線は紫色マークの「第一渡良瀬川橋梁(旧線)」を通り、草木橋近くにあった草木駅を通って沢入駅までつながっていたのである。
草木ダムの堤高(ダムの高さ)は140mあるが、草木トンネルの神戸口と沢入口の高低差とほぼ同じだ。ちなみに、草木トンネル内の勾配は最大23‰(パーミル)で、わたらせ渓谷鉄道で最大の23.5‰(沢入駅-足尾駅間)に次ぐものだ。
ここ1年で訪れた、廃線になった信越本線碓氷峠の66.7‰や、山岳鉄道・大井川鐡道井川線の90‰で感覚が少しマヒしてしまっているが、普通に考えれば23.5‰はかなり急勾配なのである。
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草木トンネルを抜けると、すぐに新線付け替え時に作られた第一渡良瀬川橋梁(新線)を渡り、もう1本トンネルを通って、沢入駅に到着する。
華やかだったこれまでの駅とは全く様相が異なる様子、次の記事でお届けしたい。
つづく