予定より小一時間ほど遅れて、JR沼田駅に到着した。想像していたより、ずっと小さい駅だ。
ここからの移動手段はすべてバスまたは自分の足である。
気軽にあちこち移動して乗り降りしたいところだが、運行本数が限られるので、
計画的に事を運ばなければいけない。
本日の最終目的地、沼田駅から丸沼までの全体像は以下のような感じ(下図)。
日光白根山近くにある丸沼周辺は、標高が1430m程あり、冬はスキーをする観光客で賑わう。
まずは最初の目的地、吹割(ふきわれ)の滝を目指す。
バスの本数が少ないので、1~2時間だったら区間によって歩いちゃおっかな?とふと思う。
軽い気持ちでグーグルさんに徒歩時間をお尋ねしたところ、目を疑う数値が返ってきた(下図)。
10時間超とはこれ如何に。44.3kmってフルマラソンと同じくらいの距離だ。
ランナーはあんな短時間で走り抜けるのに、自分が歩けばこんなにかかるんだ・・と妙なことに感心しつつ、
いやいやそういうことじゃなく、漠然と10kmぐらいだと思っていたら実際は50km近かった
という自分の常識のなさに驚いてしまった。
距離もあるのでバス代もそれなりの値段になる。
事前調査により車内販売しているバスカードがあると聞いていたので、それを購入。
3000円のバスカードが4350円分ってかなりお得。
(最近バスカードなんて使わないのでわからないけど、普通なのかな)
吹割の滝は紅葉に早く
沼田駅からのバスは、生活路線として観光客以外にも地元の方も多く利用するのでそれなりに混んでいたが、沼田市街地を抜けると段々人は減ってくる。40分ほどで吹割の滝に到着し10時をだいぶまわっていたけれど、降車したのは私一人。日曜日なんだけどなぁ。バスで来る人って少ないのかな。
下図が吹割渓谷の全体マップ。本当ならバス停を降りて①のルートから入っていくのが順当なんだけど、入り口を見落としてしまった(バス停の位置が図と違う気がする)。実際には国道120号を数分歩いて⑧の場所から⑦→①をめぐって再びバス通りに戻るルートをとった。
最初は、⑪の吹割橋や⑮の吹割大橋などを通って山の上のルート(⑫~⑭)をも歩くつもりだったんだけど、思ったほど紅葉していなかったこともあり、今回は川べりを歩くのみにした。俯瞰で写真を撮れなかったのがちょっと残念。
水の流れが 凝灰岩 の平坦な河床を侵食し、柔らかいところが割れて滝のように水が流れ込んでいる。
地球の割れ目に注ぎ込むような稀有な眺め。
景観を壊すということで散歩道に手すりなどがいっさいなくて、それが素晴らしくもあり、下の写真のようにおばあちゃんが歩道際に立ってるとそのまま落ちてしまわないかと、ちょっとハラハラする。
天然の造形美 甌穴
私が甌穴(おうけつ)を知ったのは、数年前に四万温泉(群馬県)に行ったときだ。
渦巻き状の水の流れが河床を侵食してできた丸い穴を甌穴という。わかりやすい図解がこちらのサイトにのっている。
吹割渓谷でも甌穴をみることができる。
下の写真では左下にある少しくぼんだ穴がそれだ。
本当は水量がもっと少ないとはっきりみえるらしいが、(おそらく)この日は水量が相当多い日だったのかもしれない。
(沼田市観光協会のサイトで、水量が少ない時期の甌穴を俯瞰目線でみることができる)
ただ、丸い穴が開いているだけなのに、妙に人の心を惹きつけるのが不思議だ。
小さな石や水の流れが、長い長い時間をかけて作り上げた美しい幾何学模様、
火山活動のようなダイナミックなものと対極をなす静的な造形物が、地球も息づいている証となるみたい。
吹割の滝の下流側は、鱒飛(ますとび)の滝に続いている。
般若岩がみえるのもこのあたり(下写真)。
このあたりでは、900万年前にできたという溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)の上を直接歩くことができる。(下写真の手前付近)
もう少し水量が少ないと、鱒飛の滝あたりでも、雰囲気のある甌穴がみられるはずなんだけど、今回ははっきりとわからず残念だった。
水しぶきが高く上がり、陽の光にすけて白いベールのようにみえる。
何か神々しいものが降臨しているような雰囲気。
滝の流れ落つ姿もいいけれど、こういうのもとてもいい。
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