コンテンツ
2021年(令和3年)、北上川上流総合開発ダム群として岩手県の5つのダムが土木学会選奨の土木遺産に認定された。北上川水系に造られた田瀬・四十四田(しじゅうしだ)・御所・石淵・湯田の五大ダムは、治水のほか発電や灌漑用水など地域を支える土木遺産としての価値が高く評価された。
北上川五大ダムの中で、3番目の1964年(昭和39年)に竣工したのが湯田ダムである。東北地方における重力式アーチダムとしては唯一のもので、洪水調整としての役割も大きい。
※本記事の内容は2021年11月時のものです。現地を訪問される際は、道路事情など最新のものをご確認ください。
国道107号を西に
湯田ダムへ行くには、岩手県北上市を通る国道107号を西に進む。大荒沢スノーシェッドの途中に、湯田ダムへの入り口がある(上の動画)。
ダムがある方向に歩いていくと、左手に一般向けの見学施設がある。
いま通ってきた国道がある方向を振り返る。赤いスノーシェッドに続いて道があるはずだが、オレンジに染まった山の中に埋もれている。
再びダムがある方向に歩いていくと、湯田ダムが姿を現す。まだ上部しか見えないので、それほどのインパクトはない。
途中には湯田ダムの概要を示す案内板がある。
重力式アーチダムのど迫力
どどーんと登場の湯田ダム。あまりに大きいので広角でも収まらず、スマホの超広角で撮影。
(このため、すこしゆがみが発生していますがご容赦ください)
重力式アーチダムを見たのは初めてで、弧を描く横方向への広がりに圧倒される。私の撮影した写真では到底そのすごさをお伝え出来ないのが残念だ。
ダムの上部にある、緑色のクレストゲート。異常洪水時に、非常用排水として利用するゲートだが、Wikipediaによれば一度も実際の運用では利用されたことがないとのこと。ただし、上に掲載した「きんしゅう湖ものしり館」には放水されている貴重な写真が掲示されているらしい(テスト放流?)。
ダムの下方をのぞき込むと、途中まで降りていけそうな階段がある。が、もちろん職員用なので一般は立ち入れない。
天端からダムの外側を
道は二手に分かれ、左を進めばダムの天端(ダムの頂上部)につながっている。
ゆるやかに左にカーブする天端を歩く。正面の山が燃えるようだな・・と思いつつ、ダムの外側をのぞき込む。
遠目に見えていた6基のクレストゲートがすぐ目の前に見える。
歩いてきた方向を振り返る。最初にのぞき込んで見えた階段は、ものしり館近辺からクローズドの階段を下りて、途中にある建物につながっていることがわかる。
ここに住み着いているらしき、猫もいた。
渇水時の錦秋湖
2021年5月ごろの地滑り発生により、湯田ダムから少し西の国道107号は5kmほど通行止めになっている。地滑りの影響は大きく、復旧の見通しはたっていない。対策工事に影響がでないようにするため、湯田ダムの水位も下げられており、訪問時はほぼ最低水位となっていた。
取水塔と思われる建物も、ペンシルビルのようになっている。下はこんな風になっていたんだね。
取水塔のあたりを拡大してみた。赤矢印にあるのは、インクラインだろうか?
ダムの内側は
天端を引き返し、管理支所のある方向に行く。もう少し先に、錦秋湖を展望できる場所がある。
途中の道からは、ダムの内側を見ることができる。水位が低い時でしか見られないものが、そこにはあった。それぞれの具体的な役割は私にはわからないが、なんだかわくわくする。
錦秋湖は細長く、狭くなっている場所が何か所もあるひょろっとした瓢箪のような形をしている。下の写真は、湖の東端から西方向を撮影したものだ。写真中央には、小さく北上線の鉄橋が見える。
鉄橋部分を拡大してみた。
以上で、湯田ダムの探訪はおしまいである。
通行止めになっていなければ、このまま国道107号を西に進み、湯田貯砂ダムまで行きたかったのだがそうもいかない。いったん、東方向に引き返すことにした。
湯田貯砂ダムへは、高速を使って訪問するのだが、それはまた別記事↓で。