トレッスル橋が好きだ。
側面が二等辺三角形になっている橋脚が幾本も立ち並び、絶妙な安定感で橋桁を支える橋である。日本で最も有名なトレッスル橋は、1912年(明治45年)に竣工した余部(あまるべ)橋梁だろう。
この余部橋梁も2010年に解体されて今は存在していない。トレッスル橋は限られた時期にしかつくられておらず、今現存するのは数えるほどしかない。
また現存する橋でも深い谷に架けられているものも多く、間近で全体をじっくり眺められる橋となるとさらに数が絞られる。
実は、東京の奥多摩にも、この貴重なトレッスル橋が存在する。
1929年(昭和4年)竣工の奥澤橋梁である。
高さはそれほどでもないが、橋の下に通行可能な道路が2本通っているので、トレッスルを間近に眺めることができる。
奥澤橋梁の最寄り駅はJR青梅線の軍畑(いくさばた)駅だ。
駅前から南方向、火の見櫓の左手で住宅地が途切れるあたりに、昨年訪問した奥多摩橋(赤矢印)が見える。
こちらの記事もどうぞ
徒歩5分ほどで奥澤橋梁に到着。
100年近くたっているとは思えない、鮮やかな赤い橋が目に飛び込んでくる。
直近の塗装は、5年前の2017年7月のようだ。
橋長は105.5mで、歴史的鋼橋集覧によると、奥澤橋梁は7径間と書かれていた。
トレッスルの橋脚が2本と、その両脇にあるコンクリートの橋脚は現地で確認できた。木々で見えない部分があるかもとはいえ、5径間だと思っていたので??となる。
しかし、次の一般図をみてようやく7径間の意味がわかった。
上の一般図とは左右が逆になってしまうが、実際の奥澤橋梁の写真と見比べてみる。
トレッスル橋脚は点で支えているわけじゃなく、ある程度の幅(8.73m)があり、そこを1径間と数えているのだ。
専門家からしたら当たり前のことなのかもしれないが、なんとなく目から鱗の事実だった。
奥澤橋梁までの道のりと、橋梁を通過する上下線の列車を撮影したので、よろしければ以下の動画をご覧ください。