【前編】旧入間川橋梁 土木遺産を訪ねて~西武池袋線

 
 

こちらの記事は、2019年8月に現地を訪問した際のものです。

 
 
残暑が続く中、日本列島お盆休み。
台風もくるようなので、 お休みの方も、そうでない方も、どうぞお気を付けください。

私といえば、日曜日、35度を超える猛暑の中で入間川へお出かけ。
といっても水浴びとかじゃなく、大正時代に作られた土木遺産を見に行く。

場所は、埼玉県の入間市。西武池袋線が入間川を通過する鉄橋沿いにその土木遺産がある。
まず目指すは西武池袋線の仏子駅!
ちなみに、「仏子」とかいて「ぶし」と読む。実はずっと「ぶっし」と読んでいた。心の中で。
たぶん、仏陀(ぶっだ)から、その読み違いが来てるような気がうっすらする 笑。

初めて降り立つ仏子駅は、ホームの真横にお墓がたくさんあって、
さすが仏の駅だと妙に納得。
 

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC06810-1024x682.jpg です

上の写真は仏子駅に到着した派手な電車。鉄道に詳しくないので、何かの記念車両かなーぐらいに思っていたが、『レストラン列車 西武 旅するレストラン「52席の至福」』という全席レストランの特別車両らしい。こういう美味しい列車に一度ぐらい乗ってみたいと思う。
 
 

さて、西武池袋線の前身である武蔵野鉄道が開業したのが、大正4年(1915年)。池袋から飯能までの全44.2kmの路線だった。
仏子から飯能方面へ行くには入間川を横断する必要があり、このとき鉄橋が作られた。現在の路線で言えば、仏子と元加治の間に位置する。
 

向かって左方向が飯能、右方向が池袋


開業当初は単線であったが、昭和44年(1969年)に仏子から 笠縫(かさぬい)信号所間が複線化された。
(現在は 笠縫信号所は廃止されている)
この時に、古い鉄橋の横に新しい鉄橋が作られ、古い鉄橋は使われなくなった。
素人考えだと、そのときに古い建造物は撤去してしまいそうなものだけど、50年たった現在でもほぼそのままの姿を残していると聞いて、これは行かねばなるまい!と思ったのだ。
 

仏子駅から西方向、入間川方向へてくてくと歩いていく。
距離にすると1kmちょっとだが、住宅街の道はくねくねしているし、
途中お寺に寄ったりなど、ふらふらしてたら、汗が滝のように噴き出す。暑いよ。

西武池袋線の南側から入間川に近づくと、それらしきモノがみえてきた。
が、それ以上先には進めないようにロープが張られている。
 

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC06816.jpg です

 
左方向(南西方向)に迂回して、川にもっと接近できる場所を探すと、
堤防の上を行く遊歩道があった。
 

左方向にある階段を降りれば、入間川

 
 
まっすぐ進めば、西武池袋線に突き当たるはず。このまま遊歩道を進んでいこう。
 

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC06819.jpg です

 
桜の樹が、葉を茂らせ木陰を作ってくれている。春になれば桜が咲き乱れるんだろうな。
 
前方右手に、さきほど見つけた煉瓦が見えてきた!
 

視線を左にふると、お目当ての鉄橋が見える。
チラ見えする煉瓦の橋脚と鉄の桁橋、そして目に染みる緑の取り合わせが素敵。
 

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC06820.jpg です

 


この取り残された古い鉄橋は、「旧 入間川橋梁(きょうりょう)」と呼ばれている。
入間川橋梁はいくつもあるため、区別するために前後に(西武池袋線)といった路線名を付けることもある。
 
さきほどから目に入っていた煉瓦造りは、橋台といい、橋の両端を支える土台となるものだ。
 

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC06822.jpg です

 
 

煉瓦の積み方は、長い煉瓦と短い煉瓦を一段ずつ交互に積み上げるイギリス積み。
橋の桁を支える台座の後ろに積み上がった煉瓦は、パラペット(胸壁)といって保護壁のような役割らしい。
 


 
ちなみに、パラはラテン語由来で「備える」、ペットは「胸」を意味し、2つを組み合わせた造語とのこと。
パラとつく言葉はいろいろあって、すぐに思い出すのはパラリンピックの「パラ」だろうか。
 
ただ、話が長くなるので割愛するけど、このパラと今回のパラとは多分語源が違う。
化学の世界でパラ(para)で始まるものがあるけど、これは「反対の」というギリシア語で、基の位置関係を表す接頭語 だが、これも違う。
 
もう少し調べてみると、パラシュート( Parachute )のパラが意味的に近いかもしれない。
parare はイタリア語で「守る」、 chuteはフランス語で「落ちる」、
この2つを組み合わせた「パラシュート」のパラは、意味的にもラテン語由来のものかもしれないなと思う。
 

 

話は戻って、こちらの橋桁。
サビついた躯体をひどく劣化しているとみるか、完成から100年を経てもまだ風格をみせているとみるか、見る人の感性や仕事上の立場などによって違うのかもしれない。
 

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC06825.jpg です

 
 
 
後編は、旧入間川橋梁の全体像をご覧いただきます。つづく・・・

 

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