日本海のノスタルジア 惣郷川橋梁

 
 

父母の生家が日本海沿いにあったので、幼い頃の日本海は身近な存在だった。真夏の海であっても波打ち際から少し離れると、海水表面の生ぬるさの底に潜む足元の冷たさに、はっとしたことを覚えている。

南国の海のようなコバルトブルーではなく少し黒味を帯びた深い青の海は、海水浴の楽しさよりも海の怖さを教えられたような、日本海はそんな存在だった。

しかし、最近になって山陰地方の日本海を目にする機会があり(写真や動画ではありますが)、私の中の日本海のイメージが大きく変わってきた。

例えば、山陰本線の鎧(よろい)駅(兵庫県美方郡香美町香住区鎧字タルビ)。この風景が日本海だなんて、オドロキだ。

 

Wikipediaより 鎧駅より海側の眺望  ライセンス:Mitsuki-2368 / CC BY-SA

 

 

さらに心を奪われる動画にも出会った。クルーズトレイン『特別な「トワイライトエクスプレス」』が山陰本線から伯備線を走行するシーンを集めたものなのだが、熱心な鉄道ファンのように知識も深い思い入れもない私がみても、この場所に行って走り抜ける列車を撮影してみたいと強く感じさせる素敵な映像だった。

特に、3分30秒少し過ぎたあたりから始まる惣郷川橋梁(そうごうがわきょうりょう)のシーンはぜひぜひ見ていただきたい。いろいろな条件に恵まれ手間暇労力をかけないと、撮影できない映像だと思う。
 

 

 
 
ちなみに、上の動画に出てくるのは機関車が牽引する初代トワイライトエクスプレスで、2017年からはからは2代目となるトワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)となっている。(2020年7月現在、コロナの影響により運休中)

Wikipediaより 広島駅に停車中のトワイライトエクスプレス瑞風  ライセンス:khws4v1 from Hiroshima prefecture, Japan / CC BY

 
 
 
惣郷川橋梁はさきほどの兵庫県の鎧駅よりも、直線距離にして300kmほど西の山口県阿武郡阿武町にある。
 

Googleマップより

 
 
惣郷川橋梁のあたりを拡大してみると、南北に山陰本線が走っており、夕景が美しい撮影ポイントであることがよくわかる。

Googleマップより

 

 
 
日本海側から惣郷川橋梁を眺めてみると、橋そのもの個性的な構造美を感じる。2001年に土木学会選奨土木遺産を受賞しているのも納得だ。
 
そう簡単には行けない距離にあるけれど、いつの日か訪問し、山陰本線海沿いにある日本海の風景を直接肌で感じてみたい。
それまで変わらず、待っていてね。
 

Wikipediaより 惣郷川橋梁  ライセンス:sk01 / CC BY-SA

□竣工年  1932年(昭和7年)
□構造形式 鉄筋コンクリートラーメン橋
□橋長   189.14m
□高さ   11.6m

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