到達:2023年4月
難易度:■□□□(入門)
岬の突端や山の上にある灯台に比べ、多くの防波堤灯台はわりと目にしやすい。防波堤は港の近くにあることが多いからだ。ただ、防波堤の先にあるので、すぐ近くまで接近できるとは限らない。
久美浜港南防波堤灯台(白い方、くみはまこうみなみぼうはていとうだい)と久美浜港西防波堤灯台(赤い方、くみはまこうにしぼうはていとうだい、ともに京都府京丹後市)も、クルマを止めた場所から歩いて1分で見えてくる。「苦労した末に灯台が見えてきた高揚感」を目指す「灯台クエスト」的にはあまりおもしろみがない。
では、なぜ取り上げたのか(なぜ行ったのか)というのは、冒頭の写真を見てもらえばわかるだろう。赤い灯台と白い灯台が、こんなふうに重なって見られる場所が、そんなに多くない(と思われる)からだ。
そして、現地で思わぬ発見も。
並んだ2つの灯台の先に、いい感じの小島があったのだ。さらに現地では釣り人がじゃまだな、と思ったのだが、あとで写真を見るとそれがいいアクセントになっていた。
2つの灯台が重なって見えるのは、ここが港の入口だからだ。港に入る船は、この2つの灯台を目印にして、その間を通るようにする。この写真で言えば、海からの船は左方向に入っていく。
灯台の色が違うのも意味がある。海から港に入るとき、船の右側が赤い灯台、左側が白い灯台、というように決められているのだ。
久美浜という地名はあまり聞いたことがないかもしれない。日本海に面した京都府京丹後市にあり、西には県境を越えて兵庫県の城崎(きのさき)温泉が、東には丹後半島や天橋立(あまのはしだて)がある。
特徴的なのは、わりと大きな久美浜湾があること。湖ではなく「湾」なのは、海とつながっているからだ。砂州が張り出して湖のようになっている形は、天橋立や鳥取県の中海などを連想させる。実際、砂州が張り出したあたりの地名は「小天橋」(しょうてんきょう)といい、おそらく天橋立に似ていることから付けられたのだろう。
そして、久美浜湾から海への出口にあるのが、今回の2つの防波堤灯台なのだ(次の図の中央付近)。
地図を見ると、この出口が本当に狭い。しかも湾から海に出た正面に島があるので、水路はかなりくねくねと曲がっている。
逆に海から湾に入るときも、入口がわかりにくい。2つの防波堤灯台が必要な理由がわかると思う。
では、灯台の先に見える、形のいい小島はなんだろうか。
位置関係からすると、出島だろう。
別の場所、上記地図左端の久美浜町蒲井という表記があるあたりから見るとこんな感じだ。写真のほぼ中央に2つの防波堤灯台があり、左端に出島がある。
最初に見たときは近くにあるように思えたが、実は結構遠かった。