岩手県北上市、陸奥の国に架かる珊瑚橋

 

 

 

 

東北新幹線の北上駅(岩手県北上市)からほど近い場所に、クリーム色の特徴的な形をした橋がある。東北一の一級河川「北上川」に架かるその橋の名前は「珊瑚橋」。なんとも美しい名前の橋である。

 

  

 

 

この場所に初めて木造の橋が架けられたのは、1907年(明治40年)のこと。当時は通行料が必要な橋だった。

幾多の水害などを経て、現在の珊瑚橋が架設されたのは、1933年(昭和8年)。当時としては最新鋭の技術を投入た橋だったという。

 

珊瑚橋のすぐ南には標高244mの国見山があり、その北尾根にあたる珊瑚岳が橋の名前の由来だ(下図)。

  

珊瑚橋の左岸(画面左手)には2kmにわたる桜並木が続く Google航空写真より

 

 

 

珊瑚橋の形式は、下路カンチレバートラスで、左岸側に6連の鉄筋コンクリート桁がつながっている。
橋長254.6m、幅員は5.5m。

   

左岸下流側から撮影

 

古い橋の特徴である、多くのリベットがみられる。

 

 

 

  

現存するものがそれほど多くないカンチレバートラス(※1)だが、どのような構造の橋なのだろうか。
(※1:ドイツ人のハインリッヒ・ゲルバーが考案したことからゲルバートラスとも呼ばれる)

 

カンチレバートラスの一般的な構造を示したものが、下の図だ。

カンチレバートラスは、片側が固定された片持ち梁(カンチレバー)の先に蝶番(ちょうつがい)があり、2つの片持ち梁の間に吊径間を吊っている形式だ。下図で言えば、赤線の場所に蝶番がある。

 

Suspended Spanと表示された青い部分が吊径間
PennySpender1983 (talk).PennySpender1983 at en.wikipedia.Later version(s) were uploaded by User A1 at en.wikipedia., Public domain, via Wikimedia Commons

 

どこにどのような力がかかってバランスをとっているのか、説得力のある専門的な話は私にはできないが、下の古い写真を見ると、理論に基づいた土木というものはすごいなぁと思うのである。

 

カンチレバートラス橋の原理を実演。吊径間で座っている人物は日本土木史の父と呼ばれる渡邊嘉一氏

 

 

 

 さて、実際に珊瑚橋の写真でカンチレバートラスの構造を確認してみよう。さきほど載せた写真では、赤矢印の部分に蝶番がある。写真では橋が完全につながっているように見えるが、これは歩道部分が手前にあるためだ。

 

カンチレバー部分は、48m+76.8m+48m

 

 

上の赤矢印の部分を拡大表示したものが下の画像だ。トラスの上部がつながっておらず切れているのがわかるだろうか。

 

 

 

 

 

Googleのストリートビューを見ると、さらにわかりやすいかもしれない。トラスが途切れている場所の道路はつなぎ目がある。今回撮影できていないが、歩道からこの途切れている箇所の下方をのぞき込むと、蝶番部分が見える。

 

 

切れている部分の左側がCantilever Arm、右側がSuspended Span

 

 

 

珊瑚橋の歩道橋は、1971年(昭和46年)にあとから追加されたもので、鋼斜張橋である。

 

 

下流側に設置された歩道橋。左岸側より撮影

 

 

歩道橋の主塔。黒いケーブルが見える

 

 

橋の下から見上げる。左側が歩道橋

 

 

 

左岸側には、13.5mの桁が6連つながっている。

 

展勝地 児童公園

 

 

北上川の左岸にある北上市立公園展勝地には、2kmにわたり続く桜並木がある。

100年以上前に、地元の名士である澤藤幸治氏が発起人となり植樹を行ったもので、春ともなれば1万本の桜が咲き誇る桜の名所となっている。

来年の春は、珊瑚橋と桜の饗宴を見に行くことができるだろうか。

 

 

 

 

 

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