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自分でも理由はよくわからないけど、廃線の中でも特に「専用線」が好きだ。森林鉄道の廃線跡などにも萌えるんだけれど、如何せん廃線ウォークするにはハードルが高い。それに比べ、専用線のほうは比較的行きやすい場所にあり、廃線跡をたどるのもそれほど難しくない。
(その分、痕跡が残っている可能性は低くなってしまうわけだけど)
廃線ルートを確認する
埼玉県東松山市にかつてあった太平洋セメント(旧日本セメント)専用線は、1955年(昭和30年)から1984年(昭和59年)までの約30年間、セメント用原材料(粘度)を運搬するために運行されていた。
高坂駅から高本駅(第3採掘場)まで5.5kmの区間を結び、途中に葛袋駅(第1採掘場)があった。
廃線跡は太平洋セメントから東松山市へ寄贈され、現在は遊歩道「まなびの道」として整備されつつある。下図は専用線の全体図。細い緑色の線が整備された遊歩道で、薄い赤色の線は、かつて線路が敷かれていたルートである。
東松山市の公式サイトからは、廃線路と市内の名所を組み合わせた「まなびの道コースマップ」を閲覧・ダウンロードできる。
令和2年5月21日現在、埼玉県は緊急事態宣言が解除されていないため、施設などは閉鎖されている場合があります。
専用線の葛袋駅があった場所、葛袋採掘場の跡地に東松山葛袋産業団地が建設されており、廃線跡をずっとたどって歩くことはできない。ここでは、下図の黄色線のルートを歩くことにした。
(出かける前の予定。実際に歩いたルートはまた別である)
高坂駅からスタート
池袋から高坂までは東武東上線で50分強。駅の改札を出たら左折し、西口にむかう。
階段を降りてすぐの場所に「まなびのみちコースマップ」があるが、すんごくざっくりとした地図なので、事前にもう少し詳しいマップをチェックしておいたほうがいいと思う。
西口を出たら、高坂駅を右手にみながら線路沿いを歩いて行く。
300mほど歩くと、まなびの道の開始地点に到着。このまま歩き進む。
意外に探検モードの「まなびの道」
歩き始めて10分ぐらいだろうか、周囲が少し薄暗い森のような状態になった。住宅街を抜ける散歩道だとばかり思っていたので、ちょっと予想外。帰宅してから衛星写真をみたらちょっとした雑木林が映っていた(上図④)。
グリーントンネルを歩く間中、ジャングルクルーズに乗船しているときに聞こえるような鳥と獣(獣はここにはいないけど)の声がこだまの様に響きあっていて、ここはどこなの?状態。
北西方向にゆるやかにカーブした道を進んでいくと、ひとまず最初の「まなびの道」の終点にたどりつく。ここからすぐ西に、関越自動車道が通っているはずだ。
竹藪を抜けた先に、橋梁の遺構を発見
さきほどの「まなびの道」の終点は、上図の⑤だ。⑤と⑥をつなぐルートは衛星写真では道に見えるが、どうも私有地というか駐車場に見えたので、いったん左折して、関越自動車道に並行して走る道を北に進む。
⑥の位置から、線路が通っていたであろう方角を確認してみる。
本当は、上の衛星写真の赤丸あたりをチェックしたいのだが、建設会社の私有地なので入ることはできない。
もう1つ先に左折する道があることはわかっていたが、実際に歩いてみないと、どこにどう通じているかわからないものである。
上の衛星写真⑦の場所で、左折する道を確認。ドキドキしながら歩いて行く。この道の先はどうなってるんだろう、と思いながら未知の場所を歩くのが廃線ウォークの醍醐味でもある。
進んでいくと、すぐに関越自動車道のフェンスに突き当たる。
左手をみると、コンクリートの塊が!廃線を追う他の有名な方々のブログでみかけた、廃線の橋梁だろうか?草木が生い茂っていて、ぱっと見てそうなのか確認できない(上図の衛星写真⑨)。
お!通れる!!
トンネルを抜けてぬかるんだ短い坂をあがりきると、右手に橋が出現。
これがたぶん、葛袋2号橋だろう(上図の衛星写真⑩)。
落ちないよなぁと、そろそろと橋の真ん中まで歩いて行く。
先ほど見たコンクリートの塊が、関越自動車道にかかっていた葛袋3号橋の橋梁だったことがわかる。
左手に、もう1方の橋梁も確認できる。
葛袋3号橋は、2013年(平成25年)6月に撤去されたが、Googleストリートビューでまだ橋が架かっていたときの様子をみることができる。
関越自動車道のほうが後にできているわけで、実際に専用線とクロスして道を通す時、どんな様子だったのか知りたいと思うけど、そう簡単にはわからないだろうな。
橋梁の遺構をあとにして、元の道に戻る。
薄墨の様に広がる鉛色の空を見上げて、なんとか曇りのまま持ちこたえてほしいなと思う。
廃線探索は、これからが本番なんだから。
つづく
- 2020年5月22日
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