前回からの続き。今回は滝沢酒造に続いて、「七ツ梅酒造跡」「藤橋藤三郎商店」2つの酒蔵のレンガ煙突を紹介する。
(※本記事は、2021年3月に現地を訪問した際に撮影した写真を使用しています)
地図A
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七ツ梅酒造跡
JR深谷駅から北西の方向、旧中山道沿いに七ツ梅酒造跡がある(地図A)。
江戸時代には、酒と言えば「男山、剣菱、七ツ梅」と言われるほどの銘酒だった七ツ梅。その名前は七ツ時(昔の午前4時)に最も梅の花の香りがたつことに由来するというから、なんとも風流なことだ。田中藤左衛門商店が廃業した後は、神戸の「浜福鶴銘醸」が受け継いだ。
上の写真、左側の木造・切妻屋根の建物が1933年(昭和8年)建造の母屋だ。右側は店蔵で、こちらはさらに古く1914年(大正3年)に建てられたもの。
七ツ梅酒造の跡地は、一般社団法人まち遺し深谷によって運営・管理されている。跡地に立つ建物は、古き時代の面影を残したまま、ギャラリー・古書店・シネマ・飲食店など、さまざまな業態の企業が営業をしている。詳しくは、こちらの店舗紹介ページをどうぞ。
入り口をくぐり抜けると、店蔵への入り口がある。日本一の暑さを誇る熊谷に近い深谷も暑さは厳しい。一般的に涼しいと言われている土蔵でも、エアコンは必須なんだろうな。
母屋の裏側、2階のベランダ(テラス?)と思われる場所に、洒落た手すりがついている。和洋ミックスな造りがなかなか面白い。
七ツ梅酒造跡地の中心に位置する釜屋に隣接してレンガ煙突がある。先に紹介した滝沢酒造の煙突よりは小さめだが、瀟洒な印象を受ける四角い煙突だ。
釜屋の1階には、古書店が営業している。 訪問したのが早朝だったので中に入ることはできなかったが、ここは一度営業中に行ってみたい。
古い木のベンチとレンガが絶妙にマッチして、異国情緒感を漂わせているのは精米蔵。朱色の鉄の扉が、いい味を出している。
それほど広くない式だが、大正時代にタイムスリップしたような感覚を味わえる、当時の名残がそこここにある。
少し離れた場所から七ツ梅酒造跡を眺めてみる。周囲の景観は変わっても、レンガ煙突は100年前も同じように空に向かって伸びていたのだろうな。
藤橋藤三郎商店
七ツ梅酒造跡から東に少し歩くと、少し先のすぼまったレンガ煙突が見えてくる。
藤橋藤三郎商店の代表銘柄は「東白菊」。江戸時代の末期、1848年(嘉永元年)に越後の柿崎から当地に移り住み酒造りを始めたという。
藤橋藤三郎商店のレンガ煙突はやや小ぶりながら、レトロモダンな美しい煙突で、2013年(平成25年)に埼玉県の「景観重要建造物」に指定された。
深谷にはまだまだ古いレンガ構造物が残されているが、それはまたの機会に。