2020年の秋、秋田県の大館(おおだて)から八幡平(はちまんたい)まで、JR花輪線に乗車した。八幡平の2つ手前の鹿角花輪(かづのはなわ)駅では、発車まで20分超の待ち時間があった。
鹿角花輪は1923年(大正12年)に、私鉄の秋田鉄道の「陸中花輪」駅として開業した。その後、1934年(昭和9年)に秋田鉄道が国有化されたことで、現在の花輪線に組み込まれた。大館と岩手県の好摩(こうま)を結ぶ花輪線において、歴史的にちょうど境界となる駅でもある。
1995年(平成7年)に現在の鹿角花輪駅に改称されたが、ホームから見える駅舎はどこかのんびりとした趣があり、せっかくなので改札の外にでてみることにした。
ホームに昔の面影はなく
ホームは1面2線で、列車交換も可能な駅だ。
鹿角花輪駅は、ホームの端にある構内踏切を渡り、駅舎に向かう。改修はされているだろうが、昔の駅舎を全面建て替えしたものではないように思う。
構内踏切を渡り、駅舎に向かう。駅舎の手前、左側に大きな動輪のようなものが見える。
構内には、開業50周年記念(昭和48年時)として、おそらく当時走行していたであろう蒸気機関車の動輪が飾られていた。
男はつらいよシリーズにも登場
説明するまでもなく、国民的人気映画の「男はつらいよ」シリーズでは、寅次郎が全国津々浦々を旅をする。 古い鉄道や駅舎の姿が映されていることも多く、私にとっては別の意味でのお宝映画である。
シリーズ第35作、「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾」では、話の終盤に秋田ロケの映像が使われ、鹿角花輪駅(映画内では「陸中花輪駅」)も登場する。
まずは、寅さん一行が乗った列車が駅に到着。
続いて、ホーム全景が映る。現在とは違い、柱から放射状に出た支柱が屋根を支える昔ながらの構造だ。
長い道中、酒盛りをしつつ到着した寅さんは、一升瓶を手に持ち鼻歌交じりで駅の改札を抜けていく(冒頭の画像)。わずか20秒のシーンながら、なかなかのお宝映像である。
待合室には多くの椅子が並ぶ。が、ここ20年で1日平均の乗車人員は半減しており(2020年:197人)、KIOSKや立ち食いそば屋なども数年前に閉店している。
いったん改札をでて、正面から鹿角花輪駅を眺める。早朝・夜間は無人になってしまったが、きちんと手入れされた駅舎は、まだまだ十分現役感の漂う面構えである。
残念ながら駅は登場しないが、「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾」の予告編を紹介しよう。
予告編では、秋田ロケの映像の上に「みちのく鹿角」とテロップが入る。
これがね、なんだかとてもいいんだなぁ。
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