五能線の第二小入川橋梁

 
 
 
 

「第二小入川(こいりかわ)橋梁」と名前だけ聞いても、ピンとこない方も多いだろう。青森と秋田の県境近く、JR五能線の日本海沿いにある鉄橋は、日本海を背景にフォトジェニックな写真が撮れることから、鉄道写真愛好家に人気が高い。橋梁の名前は知らなくとも、五能線のPR写真などで目にしたことがあるかもしれない。

第二小入川橋梁の歴史は古く、五能線が能代(のしろ)から岩舘(いわだて)へ延伸した1926年(大正15年)に竣工。このとき、岩舘駅も開業している。
 

五能線は青森県内陸の川部駅と秋田県の東能代駅をつなぐ147.2kmの路線。第二小入川橋梁は岩舘駅のすぐ南に位置する

 
 
 
 

 
 

まずは五能線の岩舘駅へ

五能線の岩舘駅、リゾートしらかみ到着
意外にホームが自然のままになっている印象

 
 

五能線は、風光明媚な日本海の風景と白神山地へのアクセスが観光ポイントになっているが、観光列車「リゾートしらかみ」の人気も高い。リゾートしらかみは快速なので通過してしまう駅もあるが、岩舘駅には停車する。

岩舘を訪れたこの日は、十二湖駅からリゾートしらかみ2号に乗車。わずか20分ほどだったが、お国訛りの楽しい車内アナウンスを聞くことができた。「青池」編成の車両は、最新鋭のハイブリッド気動車HB-E300。個人的には普通列車のキハ40・48形車両のほうが「あぁ、はるばる東北の地にまいりました」感があるが、この地に観光客を集め楽しんでもらいたいという想いの詰まったリゾートしらかみに、もっと長い時間乗車したかったなとも思う。

 

 

五能線の岩舘駅に到着したリゾートしらかみ
リゾートしらかみの車両は「青池」のほか、「橅(ブナ)」「くまげら」がある

 
 

最新鋭のハイブリッド車両と比べ、一転、レトロ感を漂わせるのが岩舘駅の駅舎だ。第二小入川橋梁と同じく建てられたのは大正15年。屋根などのほか、あちこち修繕などはされていると思うが、現在も当時の雰囲気を残している。
 

五能線の岩舘駅
駅舎はもちろんだが、電柱の「いわだて」の駅名標がいい。これが木の柱だと最高なんだけど  ☆クリックで拡大

 

 

五能線の岩舘駅
岩舘駅正面から撮影。開設の日付が掲げられている

 
 
  
 

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橋梁までのルートを確認

第二小入川橋梁は、岩舘駅から直線距離で南東に1kmほどのところにある

 
 

撮影ポイントとして有名なのは小入川と国道101号線が交差する小入川橋周辺だ。

国道101号の小入川橋から第二小入川橋梁を臨む  Googleストリートビューより

 
撮影ポイントのすぐ近くには整備された大きな駐車場もある。

 

白い車が進む先が小入川橋。駐車場はすぐ近くにある  Googleストリートビューより

 
 
 

時間が許せば、この撮影スポットにも行きたかった。が、そもそも橋梁まで距離もあるので、私の単焦点カメラと腕では、いい写真が撮れるとも思えない。

なにより、私がフォーカスしたいのは橋梁であり、さらに言うなら橋梁を支えている雰囲気ばりばりの橋脚だ。それならば迷うことなく、行くべき場所は海沿いの橋のたもとである。

ということで、国道ではなく南側にうねうねと続く生活道路を歩いて、第二小入川橋梁に向かうことにした。岩舘駅の標高は28.3mあるので、だらだらと道を下っていく。

 

五能線の岩舘駅から歩いて行ける岩舘漁港
途中にある岩舘漁港。岩舘近海は魚の種類が豊富とのこと ☆クリックで拡大

 
 
岩舘漁港から海を越えて南方向には、男鹿(おが)半島がぼんやりと見える。上の写真では見切れてしまっているが、男鹿半島の北端にある入道埼灯台の姿も確認できた。 

 
 

写真ではわからない圧倒的な貫禄

五能線の第二小入川橋梁
右手に見えるのは「立岩(たていわ)」。日本海が形成された頃の活発な海底火山によって出来たとのこと(八峰白神ジオパーク案内板より)

 
 
岩舘漁港を通り過ぎ、道をぐるりと回りこむと視界が開け、第二小入川橋梁が姿を現した。地図でそこにあるとわかっていても、実際に目の前に現れるとテンションがあがる。

現金なものでさっきまでスローテンポだった足取りが、いっきに小走りになる。

 

五能線の第二小入川橋梁

 
土木遺産を訪ね歩くようになって特に実感するのだが、その建造物自体にポテンシャルのあるものは、写真でみるのとリアルでその場所で見るのとでは、本当に印象が異なる。圧倒的な存在感のオーラというか、はるばるここまでやってきてよかった・・と思わせられるパワーがあるとでも言えばいいだろうか。

話はそれるが、上の写真撮影の地名は、八峰町八森の「ノケソリ」という。珍しいカタカナの地名だけど、由来などはわからなかった。別記事で紹介する予定の近くにあるチコキ灯台も、「チコキ」という地名だ。なんだか気になるけど調べてもわからないので、そのままだ。

 

五能線の第二小入川橋梁
橋脚の高さは23~24m。およそビル8階ぐらいの高さである

 
 
円錐形の橋脚の上部には、人が歩けるような場所がある。桁から上り下りできるような梯子もついている。そのまま橋脚を伝い降りる梯子でもあるのかな?と思ったが、そういうものはなかった。

 
 

桁の下から撮影してみる。枕木の間からも空がみえてとても清々しいが、逆に上から見下ろしたら・・と想像するだけで怖い。
 

五能線の第二小入川橋梁

 
 
 
 

ビューポイントを逆から撮影

五能線の第二小入川橋梁の下にある堰
中央奥にみえる赤い橋が国道101号の小入川橋

 
 
 

いうまでもなく、第二小入川橋梁は小入川の上を通る鉄橋だ。橋梁の堂々たる雰囲気からすると、実際の川は予想以上に川幅の狭い、小川といっても差し支えのない川だ。

現地を訪れて初めて知ったのだが、橋梁の真下には小さな堰(せき)がある。
 

 
河川に堰を作ったときに魚が通れるよう作った水路を魚道というが、それらしきものが見える。詳しくないのでよくわからないのだが、魚道は魚の遡行を助けるための役割があると聞くが、この堰を見ている限り遡行できそうな気がしないが、どうなんだろう。
 

五能線の第二小入川橋梁の下にある堰
堰の中央にあるのが魚道(と思われる)


橋脚の北側に回り込んでみる。

調べたところ、これはC橋脚とも呼ばれ(Cはコンクリートの頭文字)、コンクリートの芯の周囲に石を積み上げたものだ。積み上げる石の間にモルタルやコンクリートを流し接合して積み上げる練積という工法とのこと。

現地に来る前はレンガだと思い込んでいたのだが、実際にみてみるとレンガではなく石のようにも思えるが、正直なところよくわからなかった。
 

五能線の第二小入川橋梁の橋脚
小入川の左岸間近にたつ橋脚には、つる植物がびっしりと巻き付いている




橋梁がメインの撮影とはいえ、やはり鉄道鉄橋は列車の通過する姿が一番美しい。本数の少ない五能線ではあるが、事前に通過時刻をチェックしておいた。リゾートしらかみ3号が間もなくこの場所を通過するはずだ。

ちょっとマニアックに、下から見上げる場所で撮影も悪くないけれど、ここはスタンダードに全景が見える場所に移動して撮影することにしよう。
 

五能線の第二小入川橋梁の橋脚
空が青く、何度でも下から見上げたくなる景色

 
 

警笛とともに

五能線の第二小入川橋梁
広角で撮影。橋の長さは174mある  ☆クリックで拡大

 
 

第二小入川橋梁のすぐ目の前に広々とした砂浜があるので、そこに移動する。日本海を背にしているので海を背景とはいかないが、橋梁全体の様子がよくわかる。

ただ8基ある橋脚のすべてを一望することはできない。隣接した家々や樹々もあるので、ドローン撮影のようなものじゃないと無理かもしれない。(ドローンも撮影できる場所が限られているので、それが可能かどうかわからないが)

しばらくすると、警笛とともに列車が通過していく。警笛が聞こえてからカメラを構えても遅いので、時計をちらちら見ながら警笛が聞こえるのを待つ時間が楽しくもある。

 

五能線の第二小入川橋梁
「くまげら」編成のリゾートしらかみ3号  ☆クリックで拡大

 

岩舘駅に展示されていた昔の写真 雪の残る山を背景に蒸気機関車が通っていく ☆クリックで拡大

 
 
 

正確な撮影年はわからないが、昔の写真をみると興味深い点に気が付く。今よりもずっと海岸線が近いのだ。この場所をトンネルで迂回するには地形やルートの関係で難しく、海沿いぎりぎりの場所に鉄橋を作り通り抜けることにしたのだろうが、以前記事で取り上げた惣郷川橋梁を少し思い起こさせる。

 

最後に、少し手振れしていて申し訳ないが、第二小入川橋梁を通過するリゾートしらかみの警笛の音をお届けして、この記事の〆とさせていただく。

 
 

 
 
 
 
 

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