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石川県には二天橋というボーストリングトラスがある。いつかは見に行きたいと思っていたところ、なんと県内にあと2つのボーストリングトラスがあることが最近わかった。すごいぞ石川県!
(私が知らなかっただけで、橋はずっと昔からそこにあったわけだけど)
本当は3つの橋をすべて見に行きたいところだけれど、スケジュール的に難しい。今回は3つのうちの1つ、出合(であい)大橋を訪ねていくことにした。
最初わかっていたのは橋の名前とアバウトな地理的情報のみ。場所を特定するのに苦労したけど、Googleさんのストリートビューで橋を見つけたときの喜びといったら!しかも冒頭写真に載せたように、目に眩しいみかん色のボーストリングに、デスクの前でテンションはうなぎのぼり⤴
ということで、出合大橋の探検ウォーク、はじまります。
北鉄終点の鶴来駅からバスで
出合大橋は最寄り駅の鶴来(つるぎ)から相当距離がある。バスの本数が少なくタクシーでいくしかないか・・と思っていたけど、複数系統のバスでなんとか往復できそうなルートを発見 🤗
橋に一番近いバス停の「黄門橋」で下車。なんだかとってもありがたい感じがする。この季節に歩き回るのは楽ではないけど、田畑を潤す勢いのある水路を見ていると夏も悪くない(とはいえ酷暑は許して)。
今いる場所をざっくりと説明すると、JR金沢駅から南に25km、小松駅から東に15km。国道157号と360号がぶつかるあたり。一級河川の手取(てどり)川と、支流の大日川が南北に並走している場所である。
乗ってきたバスを追いかけるように進行方向に少し歩き、出合大橋がある西方向に向かう。
大雨の黄門橋
バス停の名前でもあった黄門橋に到着。黄門と言えば聞きなじんだ水戸黄門のように、昔の実力者の役職の名前が由来か‥と勝手に思っていたのだが、さにあらず。
曹洞宗の名僧「大智禅師」が中国の高門橋に似ていることからその名前を付け、後に黄門橋と漢字がかわったとのこと。
橋に到着する直前から、ザーザーと雨が降り出した。
手取川に架かる黄門峡の眺めをゆっくり鑑賞する暇もなく、あたふたと動画を撮って黄門橋を後にする。
黄門橋を渡りしばらく歩くと、左側に用水路が現れる。強い雨は10分も降っていなかったが、用水路の水はあふれんばかりの勢いだった。普段から水量が相当多そうだ。(下の動画)
短時間にザーッと降った強い雨も、すぐに止んでほっとする。雨に打たれていたヒマワリも、元気回復といったところ。
交通の要だったボーストリングトラス橋
国道360号を道なりに歩き、トンネルを抜ける。そのまま西に直進すれば大日川に架かる別宮(べつく)大橋を渡ることになる。
出合大橋は別宮大橋より150m南に架かる橋なので、地図をみて行かないと少しわかりにくい。
はるばるあなたに逢うためにやってきました・・の出合大橋。ストリートビューでは見ていたが、実際に現地に立つと口元が緩んでくる。
別宮大橋が完成したのが1984年(昭和59年)なので、それまでの長い間、この出合大橋が地域の重要な橋だったことがうかがえる。
レーシングバー(部材を折れ線状に連結した材片)が多くみられるのも、古い橋ならでは。
橋を渡って、左岸下流側から出合大橋を眺めてみる。
超レアではないけれど、それほど数はないボーストリングというタイプのトラス橋。見ての通り、弓と弦の形に似ていることから付けられた名前だ。
どういうわけか、このボーストリングトラスを見ると、血圧が20ぐらいあがる。どきどきするのだ。
下の写真でわかるように、左岸側に橋桁が1連あるため出合い大橋の橋長は42.2mとなっている。
一向一揆の里
昼食をどこでとるか決めていなかったのだが、ちょうど帰り道にいい感じのお蕎麦屋さんがあり、立ち寄ることにした。
店の名前にもある「一揆そば」をいただきながら、昔はこのあたりで一揆でもあったのかなぁ?などとぼんやりと考えていた。(一揆そばはこちらのギャラリーから)
このあたりは加賀一向一揆で最後まで織田方の攻めに抵抗した地域で、出合大橋の左岸側にあった小山の上には二曲城という城があり、すぐ北にあった鳥越城とともに、柴田勝家軍により落城させられたということを知った。
もちろん橋の架かる何百年も前の話なのだが、遠い歴史が紐解かれていくような不思議な感じがした。
そんな悠久の流れを知ってか知らずか、雨上がりの橋の上で佇む2匹のアマガエル。別れ話の後・・とかじゃないよね?