カナダ・フレーザー川に架かる3つの橋それぞれの行方 生まれ変わるパトゥーロ橋

冒頭の写真license:JMV on flickr, CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0, via Wikimedia Commons

 

 

 

ロッキー山脈からジョージア海峡に流れ下るフレーザー川。その河口近くに年代の異なる3つの橋が並んで架かっている。

下流側から順に、斜張橋のスカイブリッジ、ブレーストリブアーチのパトゥーロ橋、旋回橋のニューウェストミンスター橋だ。 

 

 

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スカイブリッジ

 

これまで古い土木建造物を多く取り上げてきたが、その中で1988年に竣工したスカイブリッジ(skytrain rapid transit Bridge)はかなり新しい部類に入る。といっても、もう35年は経過しているのだけれど。  

一部を深紅に塗装した主塔は2つで123mある。水面から主桁までの高さは45m、橋の全長は616mだ。

冒頭の写真にも写っているが、鉄道専用の斜張橋である。

 

 

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パトゥーロ橋

Buchanan-Hermit, Public domain, via Wikimedia Commons

 

上の写真は、スカイブリッジから撮影されたものだ(おそらく乗車している列車の中から)。手前にあるのがパトゥーロ橋(Pattullo Bridge)で、1937年(昭和12年)に開通した。全長1227mのブレーストリブアーチ橋である。自動車専用だが、車線が狭く中央分離帯もなかったため衝突事故も多かった。このため、プラスチック柱を中央に配置したが根本的問題解決にはいたっていない。

 

 

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ニューウェストミンスター橋

Mike, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

 

さきほど載せた写真とよく似ているが、パトゥーロ橋の奥(上流側)にあるニューウェストミンスター橋(New Westminster Bridge)の中央部分が旋回している。

ニューウェストミンスター橋は船舶が橋桁の下をくぐり抜けられるほどの高さはないが、橋の一部を旋回させることで船舶の航行を可能にする旋回橋(swing bridge)なのだ。

橋ができるまではフェリーに頼っていた移動も、1904年(明治37年)にこの橋が完成したことで、状況は一変した。特に注目すべきなのは、この橋が上層部には自動車、下層部には列車が走る2層構造だったことだ。

 

 

See page for author, CC0, via Wikimedia Commons

 

次の画像は、全長731.5mのニューウェストミンスター橋の設計図である。

 

 

その後、先にも紹介したパトゥーロ橋が完成することにより、ニューウェストミンスター橋は自動車道の役目を終え、鉄道専用橋としてつくりかえられた。

 

2008年に撮影されたニューウェストミンスター橋
Dennis Sylvester Hurd, CC0, via Wikimedia Commons

2024年開通へ新パトゥーロ橋

BC(ブリティッシュコロンビア)州政府発表

老朽化も含め、さまざまな問題を解決するため、パトゥーロ橋が架け替えられることになった。上の画像は、2020年に発表されたイメージ図だ。奥に見える斜張橋がスカイブリッジ。手前の橋が新しく建設予定の新パトゥーロ橋で、旧橋よりも100mほど上流に架けられるとのこと(参考記事はコチラ)。

新橋では、歩行者専用道やサイクリング道も設置されるということで、より利便性の高いものとなるようだ。2023年現時点では、2024年の開通を予定している。

ちなみに、私としては新橋よりも、既存の橋がどうなるか・・が気になるところ。残念ながらブレーストリブアーチのパトゥーロ橋は解体されると思われるが、上の画像を見る限りニューウェストミンスター橋はのこりそうだ。

新橋が完成すれば、大きな2つの橋に挟まれた小さな鋼の橋という絵図になるが、なんとかこのまま少しでも長く頑張ってもらいたいなと思うのである。

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