「記憶の赤レンガ」篇 時代を語る煉瓦たち 2024年大分むぎ焼酎「二階堂」CM

 

トップ画像license:Asturio Cantabrio, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

 

2024年10月、今年も大分むぎ焼酎二階堂のCMが公開された。
「記憶の赤レンガ」篇のテーマは、古いレンガ。レトロなインフラ土木に萌える私の大好物である。

明治から大正、昭和初期にかけて、レンガによる構造物が多く造られた。建物はもちろん、橋の橋脚であったり、造り酒屋の煙突だったり、携わる人々の熱い想いが込められたレンガからは、今も時代の拍動が聞こえてくるようだ。

 

  

30秒バージョンでは、12の古(いにしえ)のレンガたちが登場する。順番に紹介していこう。


 

レンガ塀と民家 0:00~0:05頃

 

冒頭から2つのレンガ塀が登場する。特に最初のシーンは、レンガ塀とレンガ造りの蔵が存在感を示す。撮影されたのは、盛夏だろうか。残念ながら、場所は特定できなかった。

【追記:2024/10/31】
二階堂の公式サイトに撮影場所が公開されていた。冒頭と2番目の民家は、以下の場所。

冒頭の場所をストリートビューでみてみる。行ったこともないのに既視感のある、不思議な場所だ。もっとも、どこか懐かしく、そしてほのかに切ないというのは、二階堂のCMの共通項でもある。

 

 

こちらは2番目、古賀市の民家のレンガ塀。

 

 

牛津赤れんが館 0:06頃

 

佐賀県小城市、牛津の宿場町にある商家、明治時代に造られた旧田中丸商店のレンガ造りの倉庫だ。切妻屋根のゆるやかなカーブが、いい感じ。

 

 

嘉麻川橋梁のレンガ橋脚 0:08頃

 

福岡県直方市と小竹町の境を流れる遠賀川。嘉麻川橋梁は、その遠賀川に架かる平成筑豊鉄道伊田線の鉄橋だ。明治時代に造られた歴史ある橋梁で、遠賀川の昔の呼び名が嘉麻川だったことから、この橋名となったとも言われるが、はっきりとしない。どっしりとしたレンガ造りの橋脚は、石炭搬出で多くの列車が行き来した時代の証人だ。

ちなみに、CMでは下流側にある下り線(明治26年造)しか映っていないが、すぐ横の上流側には上り線があり複線化された明治42年に造られている。

 

 

門司港レトロの赤レンガ塀 0:11頃

福岡県北九州市の門司港レトロ地区。明治初期に開港した門司港には多くのレンガ施設が残されている。その中で、あえてこのアートのようなレンガ塀を選んだのは、さすが二階堂のCMだなと思う。

最新のストリートビューは、ツタの元気がよすぎて壁がよく見えないので、2016年10月のものを表示させている。

 

 

鶴味噌並倉 0:13頃

  

福岡県柳川市内を縦横無尽に走る掘割と呼ばれる水路。その水路をめぐる舟から、風情ある3棟の蔵を眺めることができる。大正初期に造られた並倉は、鶴味噌醸造の現役の味噌蔵だ。

 

 

門司赤レンガの裏壁 0:16頃

 

福岡県北九州市の門司赤レンガプレイス。ストリートビューでは、CMと同じ画角で見ることはできないが、下のストリートビューの奥方向にその場所がある。華やかな表通りのレンガの顔とはまた違う、時代の荒波を乗り越えてきた気概のようなものが漂う。

 

  

岩尾磁器工業 上有田工場 0:18頃

 

堅牢な赤レンガの塀と合体した木造の建造物は、佐賀県有田町にある岩尾磁器工業の上有田工場だ。こうした組み合わせは、ありそうであまり見たことがない。

 

 

旧杵島炭鉱変電所の屋内? 0:21頃

 

どこかの建物の屋内なので、場所の特定が難しい。見た感じ、一般住宅ではなさそうだ。錆びた鉄骨の枠組みの上にあるのは、碍子(がいし)のようにもみえる。となると、どこかの古い変電所跡だろうか。

そう思って、福岡県と佐賀県で探してみた。実際に訪問した方の写真などをみると、もしかすると佐賀県大町町の大町煉瓦館かもしれない。昭和2年から稼働した杵島炭鉱変電所の遺構を、大町煉瓦館として活用している。

 

 

幣(にぎ)の松原 製塩所煙突 0:22頃

 

福岡県糸島市の海岸沿いに、ポツンと立つレンガ煙突。かつてこの地にあった製塩所の煙突だ。

 

 

備前浜宿 酒蔵通り 0:25頃

 

佐賀県鹿島市の備前浜宿には、今も歴史ある街並みが残されている。酒造通りには、酒蔵や醤油蔵などが並び、その建物の奥にレンガ造りの煙突がみえる。

 

 

旧百三十銀行行橋支店 0:27頃

東京駅などを設計した建築家辰野金吾の監督により、大正3年に建設された旧百三十銀行行橋支店(福岡県行橋市)。「行橋赤レンガ館」として親しまれている。

 

 

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