
時は2025年10月某日。JR東日本の「カラフルフルーツ旅!山形」のキャンペーン(現在は終了)を利用して、山形にでかけることにした。
さて、山形のどこに行こう?と考えたとき、行く先の第一候補となったのが中川駅だ。
神奈川にも同名の駅(横浜市営地下鉄)があるが、そちらではなくJR奥羽本線の中川駅である。駅前に有名観光地があるわけでもない、ごく普通の地方の無人駅だ。ただ私にとって特別なのは、この駅が通称「ダルマ駅」と呼ばれる、「貨車を改造した駅舎を持つ」という点だ。
比較的多くダルマ駅が存在していた北海道をはじめ、令和の今、路線の廃止や駅舎の老朽化など複合的な事情でダルマ駅は次々と消えていっている。中川駅は、関東に住む私が日帰りで行くことができる数少ないダルマ駅の一つで、訪ねて行かねばならないとずっと心にかかっていた駅だった。
ホームに降り立ち、早速改札に向かう。事前の下調べでは1番線ホームの中央あたりに改札→ダルマ駅舎があるはずだ。

工事中なんだなーとのんきに考えて、そのままフェンスの周りをぐるりとまわりこんでいく。

駅の外にでてしまった。

駅方向に振り返る。

この時点で、本当は気が付いたのだが、まさかという思いが現実を否定する。「ダルマ駅がない」なんて認めたくなかったのだ。
下の画像は、2022年に撮影されたダルマ駅。鉄さびたアイボリーの貨車の出入り口に、三角屋根の風除室的な造作が施されている。
上下の2つの画像を見比べれば、ダルマ駅がすでにここにないことは明白だ。

でも、本当にないのか(ないのは間違いないんだけれども)、このままでは引き下がれない。周囲を見回すと、素敵な紫色のトラックが目に入る。ちょうどお昼時なので、ダンプの所有者らしき男性が車内で休憩中だった。

ぶしつけにも、運転席ガラス窓をノックし、駅の工事をされている方か?そうだとしたら、駅舎だった貨車はどうなったのか?と尋ねてみた。
その方から伺った話によると、駅舎は昨日、撤去されたそうだ。
昨日!
おもわず、「撤去された貨車はどこにあるんですか?!」と聞きそうになったが、部外者にそんなことは話せないかもしれないし、仮に教えてもらったところで、そこまで追いかけていく足も時間もない。
工事関係の方にお礼を言って、駅に引き返す。そのうち行かなきゃと思いながら、気が付くともう間に合わなかったなんてことを、人生何度繰り返してきたんだろう。撤去跡を整備するがれきを見ながら、ためいきをつく。

ホーム側から、もう一度、貨車がおいてあったであろう跡をみつめる。


この楕円形のステップでダルマ駅舎の中に出入りしたのだろうな。

なにか痕跡がないかと、がれきを凝視したが、なにも発見できなかった。

JR東日本の公式サイトには、特にいつ撤去するなどのアナウンスはなかった。まあ、そこまで詳しい情報公開は必要ないもんね。
戦いすんで日が暮れて(戦っても、日が暮れてもいないが)、この日は静かに帰途についた。
3か月後・・・ 2026年1月
中川駅の新駅舎が完成したらしい・・と聞き、再度様子を見てきた。
山形県は全域が豪雪地帯に指定されている。中川駅のある南陽市も、30cm~1.5m程度の雪がふるらしいが、訪問日は晴天で、積雪もそこまでではなかった。

ホームから見た新駅舎。コンクリート造りで、ちょっとスタイリッシュな雰囲気。

待合室の中には椅子があり、ドアをしめれば寒さをしのげそうだ。

3か月前、駅舎があったはずの方向を呆然と見つめていた場所から、新駅舎を見る。うまく表現できないが、なんだか感慨深い。

次の画像は、2025年の10月に撮影したもので、駅に隣接した木造のトイレだ。確かな記録はないが、ダルマ駅舎が設置された昭和61年頃に、建てられたものかもしれない。もしそうなら、今年でちょうど築40年。このトイレも取り壊されると貼り紙があった。


次の画像はトイレがあった付近を、2026年1月に撮影したもの。重機の置かれているあたりに、また新しいトイレができるのか、詳しいことはわからない。

もう一度、駅全体を眺めてみる。冬日和な無人駅に、時間がゆっくりと流れていた。

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姉妹サイト「風に吹かれて無人駅」でも、こちらのサイトに載せていない中川駅の写真などを掲載しています
https://unmanned-station.com/096nakagawa/








