

到達:2025年3月
難易度:■■□□(初級)
海抜約100mにある神島灯台(かみしまとうだい、三重県鳥羽市)。港(海抜ほぼ0m)からこの高さまで急な坂をのぼっていかなければならない。
その苦労の末にたどり着いた灯台周辺からは、伊良湖水道(いらごすいどう)の対岸、伊良湖岬が見える。「こんなに近いのか!」という驚きがあった。
伊良湖水道は、三重県志摩半島と愛知県渥美半島に挟まれ、伊勢湾や三河湾と、遠州灘(太平洋)を隔てている。太平洋から名古屋港に入る船は、必ずここを通る。
神島はそのほぼ中央にあるが、名古屋港などに出入りする船は、神島の東側(伊良湖岬との間)を通るようだ。そういう理由なのかどうか、神島は三重県鳥羽市に属している。

神島には近鉄/JR鳥羽駅近くの佐田浜(鳥羽マリンターミナル)から鳥羽市営定期船で30分。1日4往復だが、鳥羽からの往復で、適度な滞在時間、と考えると一択だ。なお伊良湖岬からの船便もある。
鳥羽市営定期船は神島のほか、答志島、菅島、坂手島も結んでいる。ほとんどが真新しい双胴船で、便数もそれなりにあるから、ターミナルはそこそこ人が行き交っている。
鳥羽マリンターミナルからも神島は見える。次の写真のほぼ中央、左右の島(左:答志島、右:坂手島と菅島)よりやや色が薄い二等辺三角形のような島がそうだ。さらにその向こうにぼんやり見えるのが伊良湖岬。
これが神島。人口は約300人。
船は30分で神島の港に着く。離島の乗船場はどこもトイレの付いた、きれいな待合所がある。
灯台までのルートは次のとおり(青線)。途中、行きは右ルート、帰りは左ルートを通った。

桟橋からそのまま進み、突き当たりの郵便局を左に曲がる。
そして次の角を右へ。「760m」という灯台への案内標識もある。ここの左には、待合所とは別の公衆トイレもある。
曲がった先はこんな路地。島の住宅地は、これぐらいの幅の道が多いね。
ほどなく階段が始まり、少しのぼるとこの場所に出る。ここが2ルートの分かれ道だ。帰りは正面の階段からおりてくる。
行きは、八代神社(やつしろじんじゃ)を経由するルートをとることにした。標識の指す方向が微妙に違うが、左に鋭角に曲がる。柵があるのがのぼってきた階段で、その右の道を行く。
先人のみなさんも、こっちのルートを通っているようだ。標識にある「近畿自然歩道」が、灯台を巡るルートとして、こちらを示しているからかもしれない。
すぐに八代神社の鳥居に着く。
この階段の角度はエグい。45度ぐらいあるんじゃなかろうか。これは途中までのぼって下を振り返ったところ。
いま見ても「よくのぼったな」と思うね。
のぼりつめたところにもう一つ鳥居がある。そこを右に行くと灯台だと標識が言っている。
でも、せっかくなのでもう少しのぼって、神社にお参りしていこう。これからの道中、安全に歩けるようお願いいたします。
神社の右の方に行くと、灯台に向かうコンクリートの道がある。標識の「神島漁港」はいま来た道を示しているが、帰りはこの道をそのまま(右方向)くだっていく予定。
このコンクリートの道をのぼっていくが、神社までの急勾配よりは断然ラクだ。
傾斜がさらに緩やかになるとプレーンなコンクリートの道になる。
「海側はがけになっていますので通行には注意してください」の標識が2カ所にあった。だが、路面はしっかりしている感じだし、これまで歩いた道の中ではだいぶ安全な方だと思う。快適な道のり。
お、景色が開けて伊良湖水道が見えた!
伊良湖岬がすごく近くに見える。「こんなに近いのか!」
山の中腹にあるのはホテルには見えないが、なんの建物だろう。そして、海岸近くに伊良湖岬灯台が見える。青っぽい色をしているんだが、そんな色に塗り替えられたのかな?
そこからすぐに灯台の門柱。まだ道の途中だが。
そして現れた神島灯台。最後にダメ押しの階段があるじゃないか。標高は100mちょっとなのに道のりの水平距離は800m。港からののぼりがキツいわけだ。
到着。港からは20分ぐらい。
風向計はあるし、灯籠は「いかにも」な形。初点灯は1910年(明治43年)5月だが、1967年(昭和42年)に改築されている。下の付属舎はいかにも昭和っぽい。
反対側から見るが、あまり変化はないな。
ここからも伊良湖水道と伊良湖岬が見えるが、手前の植物がちょっとジャマだ。
風景を堪能したのでそろそろ引き返そう。階段をおりたところが退息所(官舎)のあった場所だろう。明治期の灯台にしてはやや狭いかも。石油灯ではなく、当初から電気灯を採用したことと関係があるのかもしれない。
おっと、珍しくほかの人が来た(写真右端)。軽く挨拶だけする。
八代神社まで戻ってきた。右に行けばさっきの通りだが、ここは道なりにまっすぐ行ってみよう。こっちのルートを通ったWeb記事は見つからなかったが、道の雰囲気からして島の中心に戻りそうな感じは十分にある。
勾配は次第に急になり、本格的な階段になる。
のぼってきたときに少し迷いそうなのはここぐらいだが、ちゃんと標識がある。
行きに分岐した地点まで戻ってきた。どっちのルートもまあまあわかりやすいし、坂のきつさも変わらない。高低差が一緒なんだからそりゃそうだが。
戻りの船便まで1時間10分あったが、往復40分ぐらいで港に戻ったから、だいぶ余裕だった。
神島をあとにして、鳥羽マリンターミナルに戻る。船尾からは伊良湖岬がよく見える。写真やや左には伊良湖岬灯台も小さく写っている。
こうなれば、伊良湖水道の反対側、伊良湖岬灯台にも行かないわけにはいかない。向こうから神島もよく見えるはずだ。