スタイル抜群の舞阪灯台と、浜名湖を出入りする船を守る2つの灯台

 

ナギヒコさんから寄稿していただいた記事です

 

到達:2023年3月
難易度:いずれも■□□□(入門)

 

 静岡県の南に広がる遠州灘って、シロートにはよくわからないが、そんなに難所なんだろうか。

 岬の突端や島ではなく、平坦な海岸線にある灯台として、掛塚灯台(かけつかとうだい、静岡県磐田市)を別記事で紹介したが、ちょっと近くにもう一本、舞阪灯台(まいさかとうだい、静岡県浜松市)がある。

 

 浜松と言えば浜名湖で、海との間で出入りする船のための灯台が必要なのはわかる。だがそのためには別に2つの小さな灯台(防波堤灯台に分類されるようだ)があり、あとで紹介する。

  

(国土地理院)

 

 舞阪灯台は浜名湖の出入り口(今切口)から1kmぐらい東に立っている。

 南側は細い一般道、国道1号(浜名バイパス)があり、その先は砂浜の海岸だ。北側は住宅地のほか、浜松市の体育館や図書館がある。掛塚灯台とともに、灯台としてはわりと珍しい立地だろう。

 出かける前の準備中にちょっと困ったのがクルマを止める場所だ。灯台の周りを10分、20分と歩くとすると、南側の細い道路には止めておきにくい。

 そこで好都合なのが、北側にある図書館の駐車場だ。図書館の隣には小さな庭園があり、ここを通って灯台へ行けそうなのだ。

 

 

 上の写真、右が図書館の建物で左が庭園だ。庭園の歩道を奥に向かって進むと、外(駐車場の反対側)に出られる口がある。

 

 

 出たところは遊歩道だ。右に少し進む。

 

 

 左手に、土手を上る階段がある。

 

 

 そして階段を上れば、もう目の前に舞阪灯台がある。

 

 

 かなり高さがあり、あっさり目のくびれ。それに破線のような窓。長身でなかなかスタイルのいい灯台だ。初点灯は1964年(昭和39年)。「わりと新しい」と書こうとしたが、実は60年近く経っているのだった…。

 ここには土手の上に防風林が作られている(枯れていると思われる木も多いが)。これによって、北側の図書館や住宅街が風や砂から守られているのだろう。

 

 

 防風林越しに見る灯台もいい感じ。海からの風で傾いた木の中で、垂直に立つ灯台の揺るぎなさが風景のアクセントになっている。

 

 

 真下から見上げると、なかなか堂々とした姿だ。

 

 

 灯台名などを記した銘板(記念額)とは別に、施工した会社と工事期間の銘板がある。これはなかなか珍しいのでは?

 

 

 もちろん記念額もある。壁は全体がタイルで覆われていて、灯台全体の美しさにつながっている。

 

 

 ではちょっと海の方に行ってみよう。交通量の多い国道1号(浜名バイパス)をくぐるトンネルがちゃんと作られている。

 

 

 国道1号と並行して、きれいな(だが味気ない)遊歩道がある。

 

 

 あとはただ、何もない砂浜が広がっているだけだ。画像中央付近に赤いものが立っているが、このあとでここに行く。

 

 

 海から見える姿を確認して、舞阪灯台をあとにしよう。

 

 

 舞阪灯台の1kmぐらい西に、浜名湖が外海とつながっている場所(今切口)がある。そこに、浜名港背割堤灯台、浜名港口離岸導流堤灯台という2つの小さな灯台がある。

 

(国土地理院)

 

 近くには大きな有料駐車場があるので、そこにクルマを止める。この付近で釣りをする人向けのもののようだ。近年は釣り場への立入禁止が強まるなど、いろいろ課題があるようだが、ここでは深入りしないでおく。

 

 

 これが、浜名港背割堤灯台。今切口の上を横切るのは、浜名バイパスの浜名大橋だ。

 

 

 海から浜名湖に入った船は、すぐに進行方向(弁天島のどっち側に行くか)が分かれる。その分岐を示す灯台だ。

 

 

 ここより海側に向かおうとすると、立入禁止の表示がある。しかし、ここを通らずに、駐車場から直接海側に向かう通路(踏み固められた通り道)があり、ほとんどの釣り人はそっちを通っている。規制をしたい側の苦労がちょっとわかる気がする。

 そして、浜名大橋をくぐって海側に行くとこんな感じ。立入禁止と言われながら、釣り人多し。そして、その先に灯台が…。

 

 

 もう少し近くまで行ってみよう。とは言うものの、実は写真で見るよりハードルが高い。ヘタをするとテトラポッドのすき間や海に落ちてしまいそうだ。実際に事故も起きているようだし、行政が立入禁止にしたくなるのもわかる。

 

 

 堤(防波堤ではなく、離岸導流堤ということらしい)の先端にあるのが、浜名港口離岸導流堤灯台だ。一見灯台の目の前まで行けそうだが、折れ曲がっているところは渡れない(前掲の地図でもよく見るとわかる)。

 それよりなにより、両側が海のところに突き出したこの堤、高い波が来たらどうしよう?という感じで、これも写真で見るより怖さがある。なので、この先に進むのはやめ、望遠で撮影するにとどめておこう。

 

 

 荒天では吹きつける海水をもろに浴びることだろう。わりと行きやすい舞阪灯台や掛塚灯台とは違い、かなりシビアな環境にある灯台だった。おしごとご苦労さま。 

 

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