

到達:2022年11月
難易度:■□□□(入門)
“恋する灯台”大須埼灯台への恋路を邪魔するヤツがいる。灯台へアプローチする道をわざと隠しているとしか思えない。
“恋する灯台”というのは、日本ロマンチスト協会と日本財団のプロジェクトのことで、選定した灯台を主役にして、地域の観光資源にしていくというもの。2016~2019年で49の灯台を選定している。だが、最近は目立った活動があまりなさそうだ。
で、そのひとつが宮城県石巻市雄勝町にある大須埼灯台(おおすさきとうだい)だ。大須埼は北上川河口の南、半島になった元雄勝町(現在は石巻市の一部)の東端にある。いかにも灯台が必要そうな場所といえる。

半島をぐるりと回るような形の道を通って、大須を目指す。
遠目に灯台が見えたのだが、おかしい
そろそろかな、と思ったところで、右カーブを描く道の向こう、遠目に灯台の姿が見えた(次の地図の赤矢印)。

カーナビにはそもそも大須埼灯台が登録されていないので、最終アプローチには役に立たない。一方Googleマップによれば、「大須埼灯台駐車場」もあるようなので、そこへ行けばいい。そこに至る道の表記がないのがちょっと気になるが。さらに進んで(オレンジ色矢印がクルマの進行)、三差路に着いた(地図左の赤丸)。

方角的には左なので左に進むと、両側に住宅が迫って道はぐっと狭くなり、クルマがまったくすれ違えない細い下り道になった。どこにも右折するところが見当たらないまま、ちょっと不安に思いながら走ると、漁港に出てしまった。
おかしい。ぐるっと回り、灯台が見えた場所まで戻ってやり直し。今度は三差路を右へ。

やっぱりおかしい。しばらくまっすぐ進んでGPSで位置を確かめると、どんどん灯台から遠ざかってしまっている。Uターンする。
と、三差路へ戻る直前、右に入る道があることに気づいた。反対に三差路から来た場合なら左に入る道だ(上の写真で左からの道があることを示す交通標識が立っている点に注目)。

よく見れば、道の右に案内板がある。でもねえ、運転していたからさっきは見落としちゃったよ。

ようやく駐車場に
ぼやいていても仕方ないので左折すれば、わりとすぐにきれいでりっぱな「大須埼灯台駐車場」に着いた。

反対方向を見ればこんな感じ。

“恋する灯台”に選定されたのを機会に、この道路を作ったようだ。
以前だったら、さっき通った細い下り道のどこかを曲がって来なければならなかった。つまり、「来にくい灯台」だったのが一気に「来やすい灯台」になったわけだ。観光資源にしようというプロジェクトなんだから、そういう環境整備も必要だよね。だれが費用を負担したのかはわからないが。
それにしても、このアプローチ道路はなぜGoogleマップに載っていないのか。国土地理院の地図にも記載がない。
ストリートビューで確認すると、2015年には道がなくて、2021年にはあるのだが、なぜまだ地図に反映されていないのだろうか。“恋する灯台”に行かせないようにするだれかの意志が働いているとしか思えない。
ちなみに、Googleマップの航空写真ではちゃんと新しい道が写っている。不思議だ。

ともあれ、ようやく徒歩で灯台に向かうことができた。

ホントにりっぱな歩道もできまして。

見えた。

植え込みもきちんと整備されている感じ。コニファーは不思議なカーブを描いている。

「観光資源」として整備されていた
到着しました、大須埼灯台。

“恋する灯台”で「観光資源」にする、と考えると、まあこういうものが作られるのも仕方ないね。訪れたのは日曜日の昼間で、1台ずつチラホラとクルマが来る感じ。「観光地」と言えるようになったかどうかは微妙だが、道路と駐車場の整備は、多少効果があったかもしれない。

北を向くと、岩礁をうまく利用した堤防にきっちり囲まれた大須漁港。

南を向いたところ。灯台の最適地は、景観の最適地でもある。

おまけ:ふと寄り道した神割崎
大須埼灯台のあと、ふと名前に惹かれて寄ってみた神割崎(かみわりざき、宮城県石巻市と南三陸町の境界あたり)が思いのほかいいところだった。
場所は、北上川河口の湾をはさんで大須埼と反対側。海岸への降り口の前に駐車場もトイレもある。

波打ち際まで階段(100段もないと思う)で下りられるけど、気をつけないと波をかぶってしまう。

ここを神さまが割った、ということか。

右手側からも波が押し寄せる。

場所はこぢんまりしているが、迫力はなかなか。国道398号をそれて所要時間は10分ちょっと見ればOK。名前を聞いたことがなかったところだけど、思い切って寄り道してよかった。