渋沢栄一のおひざ元 赤レンガの街・深谷を歩く 
深谷駅北口(東側)

 

 

 

利根川をはさみ群馬県と接する埼玉県北部に位置する深谷市。旧中山道の宿場として栄えた深谷は、現在では「深谷ねぎ」の産地として有名だ。

一方、深谷には赤レンガのまちという側面があることは意外に知られていない。1887年(明治20年)に日本で最初の機械式レンガ工場が、現在の深谷市上敷免(じょうしきめん)に建設された。ここで製造された赤レンガは、信越本線の碓氷第三橋梁(通称、めがね橋)や旧東京駅など、近代日本の多くの赤レンガ建造物を支えてきた。

こうした背景から、深谷にはいまだ多くの古い赤レンガ建造物が残されている。民間のレンガ倉庫やレンガ塀などがこれだけ集中して見られる場所は日本でもそう多くない。

今回は深谷市内のレンガ建造物をいくつか紹介しよう。

 

 

レンガ風タイルの深谷駅

深谷駅北口

  

深谷駅は1996年に改修され、現在のような姿になった。深谷の赤レンガが使われた旧東京駅に模したデザインだが、耐震性の問題などもありレンガではなくレンガ風タイルが使われている。余談だが、「レンガ風」という事実を知ったのは映画「翔んで埼玉」の主題歌「埼玉県のうた 」をエンディングで聴いたときだ。
 

 

探索スポットは以下の地図に掲載した。今回は短時間の探訪のため深谷駅北西にある丸山酒造には行けず、深谷駅北口から半径1kmに絞っての探索となった。
 

◆地図A 番号は撮影位置、緑印と黄印は民間のレンガ建造物

 

 

深谷駅北口から北方向にまっすぐ歩いて行くと、すぐ前方に造り酒屋のレンガ煙突が見えてきた(下写真の赤矢印)。藤橋藤三郎商店のレンガ煙突である。

 

下にある地図Bの①の場所から北方向を撮影

 

 

造り酒屋めぐりは探訪の最後にして、下調べしておいた古い商店のレンガ倉庫を先に見に行くことにする。まずは下の地図B、①から②の場所へ向かう。
 

◆地図B 

 
 

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赤レンガが街のあちこちに

地図Bの②の場所から北方向を撮影   Googleストリートビューより

 

実際に街をあるいてみると、あちこちに古い赤レンガの遺構があることに驚く。上の写真では、道路の左右に倉庫(赤矢印と緑矢印)、右側駐車場奥にレンガ塀が見える(青矢印)。

右手にある人がやっと通れるくらいの細い道を入っていくと、がっしりとした赤レンガ倉庫の正面まで近寄れる。レンガの長短を段違いに積み上げた典型的なイギリス積みの様式が見てとれる。屋根は新しそうだが、庇(ひさし)の木材や、開口部の蝶番や金具などはおそらく当時(大正時代~?)のままではないだろうか。
 

倉庫の北側

倉庫の南側

 
 

倉庫の西側には古びたレンガ塀がある。13番のプレートがあるコンクリートブロックの下部にわずかにレンガが残っている。おそらく昔はこの場所の塀はすべてレンガだったのだろう。老朽化による崩れやすさなど考えると、今現存しているレンガ塀も時間との競争なのかもしれない。
 

 

レンガの短いほうを並べて積み上げた小口積み

 
 

 

小林商店

小林商店のレンガ倉庫   影タイプのトマソンがこんなところに!

 

地図Bの②の場所から左側に見える赤レンガ倉庫は、古くから砂糖を扱っていた小林商店のもの。1912年(大正元年)に作られたと聞くが、南側の壁に白い何かの跡が残っている。おそらく昔は、倉庫の南側に隣接して小屋根の建物が建っていたはずで、その形がレンガに写し取られた跡なのだろう。


倉庫上部の開口部には、先ほどの倉庫と同じく木造りの庇があるが、朽ちている部分も多い。扉は鉄製だ。
 

 

 
興味深いのは、赤レンガ倉庫の横に洋風の社屋があり、こちらは1927年(昭和2年)に作られている(下の写真)。こうして2棟並んだ様子を目の当たりにすると、昭和初期の商い隆盛期の賑わいが甦るようだ。

 

 

 

 

旧福島屋商店

地図Bの③の位置から西方向を撮影

小林商店の北側の道を西に進むと、すぐに次の赤レンガが見えてくる。旧福島屋商店だ。

以前はこんにゃくなどを扱っていたようだが、はっきりとは確認できていない。赤レンガ倉庫の中は、外からちらっと拝見すると、改修して実際に今も使われているような雰囲気があった。
 

旧福島屋商店の南側

 

倉庫の南側の通りから長いアプローチが倉庫まで続いており、西側の一部にレンガ塀が残っている。写真をみると今にも崩れそうな雰囲気もあるが、レンガ塀の厚さは40~50cmほどあり、見た目よりはしっかりしているように思えた。
 

レンガ塀の東側側面

 

所有者が同じかどうかは不明だが、古い赤レンガ倉庫の手前に、真新しい白塗りの壁ができていた。これが妙に古びた赤レンガと似合っていた。

南北方向に建物が細長くつながっている

 

 

3つの酒造を目指して

下の地図C④の位置から北方向を撮影 

 

旧福島屋商店の脇を抜けて、いったん県道256号、旧中山道に出てみた。正面に廃業していると思われる診療所がみえる。その左側奥にはこれまたレンガ煙突が。廃業した七ツ梅酒造の煙突だ。その紹介などは次の記事でするとして、いまきた道を引き返し、先ほどの細い道に戻ることにする。

このあと、旧中山道の一本南にある道を西に進み、深谷駅から西に700mほどのところにある滝沢酒造に向かう(下の地図C)。

◆地図C

 

 

滝沢酒造への道を歩いて行くと、左手に40m以上続く赤レンガ塀が現れた。しかも、塀の向こう側はお寺である。レンガはイギリス積みで、補修された個所もあるかもしれないが、大正から昭和にかけて作られたもの・・と思うと、色々な意味で感慨深い。
 

1574年(天正2年)に創建された大円寺 地図Cの⑤の位置より撮影

 

 

お寺のレンガ塀から、滝沢酒造までは200mちょっと。最も見たかった滝沢酒造の大きな赤レンガ煙突に会えるまであと少しである。

つづく

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