「部屋とYシャツと私」のようなタイトルで恐縮です。ちょっと字余りですが。
先日、石川と福井を旅した。北陸新幹線が、現在の終点「金沢」から「敦賀(つるが)」まで延伸するため、新しく新幹線が停車する予定駅は工事中で完成まであと少しといった様子。
7月のある日、金沢駅から北陸本線に乗った私は、えちぜん鉄道の終点「三国港駅」に向かっていた。土地勘がないので、北陸本線で福井まで行き、えちぜん鉄道の三国芦原線に乗り換えて三国港へ行くルートを当初考えていた。
ところが福井を経由すると、南方向にかなり遠回りになる。芦原温泉で下車して西方向にバスかタクシーで移動すれば、えちぜん鉄道へのアクセスが断然ショートカットになることがわかった。
実は、えちぜん鉄道の本荘駅の駅舎が開業当時(1928年)のものだと聞いていて、できれば本荘駅にも立ち寄りたいと思っていた。
そんなこともあり、今回は本荘駅に立ち寄ることに決めた。芦原温泉駅から本荘駅にいくバスはないので、タクシーで向かう計画を立てた。(ちなみに、芦原温泉駅からえちぜん鉄道の「あわら湯のまち駅」までは京福バスが運行している)
芦原温泉駅で下車して、駅の正面口の方に行こうとしたが、近辺は工事のまっただなか。行く手をブルーシートに阻まれ、狭い通路をうろうろしていると、視界の隅に何か違和感を感じて振り返る。
どちら様?
靴先が3つに割れてるし、白衣着てるし、頭蓋骨を差し出してるし。
後で調べてみると、この御方は恐竜博士らしく、福井県高浜町が製作した「恐竜博士ベンチ」のようだ。しかも設置場所は固定されておらず神出鬼没とのことで、遭遇した私はもしかしてすごくラッキーだったのか。(金沢駅でも見かけたので、数体あるようだ)
恐竜博士に別れをつげ、タクシー乗り場のある方向に向かう。
工事現場を囲う壁には、立派な完成図が描かれていた。
東西自由通路とアフレアという施設が工事中のようだった。
工事中の壁をぐるりと回りこむと、新しく建設された新幹線の駅が目に飛び込んでくる。普段見慣れている新幹線の駅に比べると、デザイン性が高くしゃれた感じ。
まだ開業前ということもあり、タクシー乗り場にはタクシーが1台のみ。
タクシーに乗り込み、「本荘駅までお願いします」と伝えると、「本荘駅ですか?!」と聞き返される。まあそうだよな、なにしに行くねんと思われても仕方ない。ので、「あの駅は開業当時の古いもので、国の有形文化財になってるんです!」と少し力説 笑。
直線で3kmほどの距離を走行する間、新幹線延伸により地元の活性化はどこまで期待できるのか、雪があまり降らなくなった温暖化の話、えちぜんのカニの話など、運転手さんとなごやかに話が弾む。
あっという間に本荘駅について、お礼を言ってタクシーを降りた。
本荘駅の周囲は、住宅がぱらぱらとあるくらいの視界が開けた場所。
現在のえちぜん鉄道の前身、三国芦原電鉄の駅として1928年(昭和3年)に開業。長めの庇やそれを支える柱、腰壁の施工など明治後半から昭和初期にかけてつくられた駅舎に多く見られる特徴がみてとれる。
正面に見える柱は古レールを使用したもの。
この装飾の輪はリベット接合のように見えるが、どうだろうか。
通勤通学時の時間帯以外は運行本数が激減するローカル鉄道も多い中、えちぜん鉄道は終日安定した運行があるので、1時間に2本とはいえとても利用しやすい印象がある。
のんびりと駅の散策をしつつ、次の目的地に向かう三国港行きの下り列車を待つことにした。
★駅の様子を動画にしています。こちらもどうぞご覧ください。
★姉妹サイト 「風に吹かれて無人駅」でも紹介しています。
本荘駅