わたらせ渓谷鉄道、各駅を順に旅するの第4回。今回と次回の2回に分けて春の神戸(ごうど)駅を紹介する。
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わたらせ渓谷鉄道は、非電化の全線単線の鉄道だ。駅の中に2線以上の線路があり、上り下りの列車が行違うことのできる駅は、6つしかない。神戸駅はその中の1つだ。
わたらせ渓谷鉄道の前身、国鉄足尾線の時代は、この駅の名前は「神土(ごうど)」だった。兵庫県の神戸(こうべ)駅と区別するためだったと聞く。わたらせ渓谷鉄道が開業した1989年(平成元年)に、駅名を元の土地の名前である「神戸」に戻したということだ。
駅舎は1912年(大正元年)の竣工。1928年(昭和3年)に休憩所などが増設されたが、いまだ現役である。
300本の花桃が観光客をお出迎え
神戸駅は花桃の花が咲き乱れる観光地として有名だ。桜は誰もが知る国民花だが、花桃(はなもも)はそこまで有名ではないかもしれない。ももを観賞用に改良したもので、白・ピンク・紅色の可憐な花が咲く。
神戸駅には約300本の花桃が植樹されており、見頃を迎える3月から4月は駅全体が春色に包まれる。
今回のわたらせ渓谷鉄道の旅で、唯一途中下車したのが、この神戸駅である。到着したのは、9時51分。天気はあいにくの曇りだが、予想にたがわぬ風景が出迎えてくれた。
ホームの間藤(まとう)駅寄りには、2つのホームを結ぶ鮮やかな緑の陸橋がかかっている。この陸橋の上は、ホームや列車をフレームにおさめる大人気の撮影ポイントでもある。
例年この時期は、花桃まつりが開催されるのだが、今年は 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月の時点で開催中止が発表された。今年はあふれんばかりの人出もなりを潜め、ひっそりと花びらの揺れる音が聞こえてきそうな神戸駅の情景だった。
神戸駅の上りホームには、列車のレストラン「清流」がある。
花桃のアーチ、線路は続くよどこまでも
上りホームの裏手、陸橋近くに、現在は使用されていないと思われる線路があった。
姿勢を低くして、花桃のアーチを見上げる。
次の列車までは30分ほど時間がある。改札をでて、周辺を歩いてみることにした。
つづく