出羽島灯台は島のかつての賑わいを記憶するたいまつのようだ

 

ナギヒコさんから寄稿していただいた記事です

到達:2025年1月
難易度:■■□□(初級)

灯台の周辺や行き来の途中で、過疎が進む地域を見ることも多い。典型的なのが離島だ。

離島の灯台に行くには連絡船が欠かせないが、それは島に住む人がいるからこそだ。島に住人がいなくなれば連絡船もなくなる(大久野島や日向大島のような例外もあるが)。

ということは、何年後か、何十年後には、離島の灯台に(普通の手段では)行けなくなることも十分にあるわけだ。

筋違いであるのは承知だが、いま島に住む方々のおかげで、灯台を見に行けるということでもある。

 

さて、今回の灯台は、徳島県の出羽島(てばじま)にある出羽島灯台(てばじまとうだい、徳島県牟岐町)だ。

(国土地理院)

出羽島は牟岐町の牟岐港(むぎこう)から船で15分。以前は漁業でかなりにぎわったという。このへんは淡路島近くの沼島(ぬしま)や、日南市の日向大島と似ている。

牟岐港にある出羽島連絡船の乗り場には10台ぐらいの駐車場があるが、どうもだいたい満車のようだ。

今回も満車だったので、100mほど北にある「出羽島観光お客さま専用駐車場」にとめた。こっちはほかにクルマなし。

では連絡船(大生丸)で出発。

 

地図を見ればわかるように、出羽島は北側(牟岐港に近い方)におあつらえ向きの入り江があるので、漁船などの停泊に非常に適している。漁業が盛んだったというのも納得だ。

(国土地理院)

これが牟岐港側(北側)から見た出羽島の全景。島からの帰り、日が落ち始め、雲も多くなってから撮ったので、島のようすがよく見えないが。

15分で出羽島に到着。灯台へは、港をぐるっと回った反対側(写真の中央付近)から行く。

反対側から見た、連絡船の乗り場(中央やや左が連絡船)。

前掲の地図を見ると、中央、東回り、西回りの3つのルートで行けそうに思える。ただ、東回り(国土地理院の地図はやや位置が違うようだ)は途中に崩落箇所があり、通行止めだという。また「西回りの道は通行止めのハズ」というやや不確かな情報もあったので、まずは最短の中央ルートで灯台に向かうことにした。

 

中央ルートの入口は、道がくにゃっと曲がって共同井戸があるところが目印だ。ちょっと地味な「灯台登り口」の標識もある(写真左端)。

道は舗装されている。

しばらく行くと、道はふた手に分かれる。舗装道をそのまま行くと小学校跡。灯台へは左の木階段(擬木だが)を行く。標識があるので間違えることはないだろう。

木階段がしばらく続く。

途中で木階段は終わり、普通の山道になる。左右に伸びる道があり、間違えるとすれば唯一ここだが、標識はあるし、そもそも直進がこれだけはっきりしていれば、迷うことはないだろう。

 

温暖なところだからか、ヤシの木と思われるものも。落ちた葉や折れた枝は、どなたかがどかしてくれている。「何カ所か倒木があった」という先人のブログ記事があるが、どうやらその後片付けられたようだ。灯台に行くしかないようなこの道でも、きちんと維持されている感じがする。

倒木で行き止まり!? かと思ったら、道がS字カーブしているだけだった。

再び木階段。

 

コンクリートの建造物が見えるのだが、灯台ではない。ぬか喜び。

どうも展望台に見える。このあたりは島の最高点(標高76.5m)だし。

ただ、造ってからかなりの年月が経っているようで、周りの木が大きく成長し、全然景色は見えない(ようだ)。階段の真ん前にも木が生えてしまっている。

「市有地有り 車両進入禁止」って、どこか別にあった板を持ってきたんだよね。これがなくても錆を見れば、階段をのぼる人は(おそらく)いないが。

展望台の下を通り(念のため、脇を通った方がよかったか?)進行方向を見れば、今度こそ…。

 

出羽島灯台に到着。連絡船を降りてから20分。午前中に行った阿瀬比ノ鼻灯台に比べれば、だいぶ楽な道のりだった。

中ほどがくびれている灯塔はいくつか見たが、六角形は珍しい。くびれ灯塔は、ずんどうの円筒より美しいと思う。

漁業で栄え、一時は1000人を超える人々がいたそうだが、今の島民は数十人。それでも「かつてあった出羽島の賑わい」をいつまでも記録するたいまつのように思える。

ドアの左上にある銘板は「出羽島燈台」の文字だけ。1959年(昭和34年)に初点灯、2009年から2010年に改築されて今の形になったようだ。わりと広い区画がコンクリートで覆われているのは、初代のころからか。

 

灯台の先にも道はあり、東回り、西回りの遊歩道に続いている。「崩落で通行止め」という東回りにはロープが張ってあった。

問題は「西回りの道は通行止めのハズ」という情報だ。東回りの勘違いの可能性もあるので、西回りの道を進んでみた。少なくとも2013年と2017年に西回りの遊歩道を通った、という記録がある。

5分以上くだってみたが、異常はなさそうだ。しかし、この先がもし通行止めだと、大幅な時間のロスになり、連絡船に間に合わないかもしれない。ということで、灯台まで戻り中央ルートを引き返すことにした。

 

そして港まで戻ったが、少し時間が余ったので、今度は西回りの遊歩道を反対側から歩いてみた。

「重要伝統的建造物群」と指定されているのもうなずけるような家並みが途切れると、山登りの道になる。

階段が終わると山道になる。

ここも5分ぐらい進んだが、連絡船の時間を考え、引き返した。結局、西回りの遊歩道が通れるかどうかは残念ながら確認できずに終わった。

 

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