青龍橋

 

鹿森ダムは洪水防止や新居浜市(愛媛県)の工業用水の確保・発電などを目的に、1963年(昭和38年)に供与を開始した多目的ダムだ。

ダム直下には、龍が舞うかのようなループ状の青龍橋があり、生活道路としても観光ルートとしても、別子銅山産業遺産群をつなぐ重要な役割を果たしている。

 

★スポンサーリンク

愛媛県管理の最も古いダム

上流側から撮影。中央左に見える建造物が取水塔

 

国領川は四国山地の笹ヶ峰を源流とし、瀬戸内海に向けて南から北に流れ下る二級河川だ。延長44kmと短く、急流ゆえに下流部での洪水被害が頻発していた。

鹿森ダムはこうした洪水被害対策として建設されたダムだが、工業都市でもある新居浜市の用水確保や発電といった目的も担っていた。

 

 

鹿森ダムから直線で6kmほど南東に別子ダムがある。別子ダムから山を越えて送水された東平(とうなる)発電所では有効落差599.7mを利用して、最大2万kWの発電を行っている。東平発電所が放水した水は鹿森ダムに貯留され、さらに下流の山根発電所に送水している。

 

赤いテンターゲートが1門ある

 

上流側のダム湖には、「別子の湖」と名付けられている。一般公募により選ばれた名称だ。

 

 

天端(ダムの一番高い部分)入口には、竣工時の県知事(久松定武氏)による揮ごうが刻まれている

 

堤頂長(ダム上部の長さ)は108.6m

  

重力式コンクリートダムで、堤高は57.9m

   

ダム付近の案内板より

 

 

スポンサーリンク

2匹の龍がループを造る青龍橋

鹿森ダムのすぐ横は、愛媛県の県道47号(新居浜別子山線)が通っている。急峻な地形とダムができたことによる標高差のため、以前の47号はダム付近でヘアピンカーブや狭いトンネルが続き、交通のボトルネックとなっていた。

このため2010年(平成22年)に、ループ橋が建設され、大型バスも通行することが可能になった。

 

Google 航空写真より

 

 

上の航空写真を見ると、ループ橋は1本のようにみえるが、実は2つの橋で構成されている。北側の第一青龍橋と、南側の第二青龍橋が、ループの西側中央あたりで結合している。

 

 

鹿森ダム付近からみた青龍橋。カーブと山肌が接触するあたりが2つの橋の結合部だ

  

形  式 3径間連続鋼複合ラーメン橋(橋長 L=108m)
     対岸土工部(区間 L=70m)
     4径間連続鋼複合ラーメン橋(橋長 L=190m)
     3径間連続鋼複合ラーメン橋(橋長 L=146m)
有効幅員 B=9.25m~10.25m
曲線半径 R=65m

 

 

青龍橋の橋脚は最も長さのあるもので37.5mある。ゆるやかに大きく弧を描くことで、ダム下とダム上の標高差を解消し、十分な道幅とスムーズな車両の運行を可能にしている。

ちなみに、ループ橋ができるまで主要道路だった旧道47号も、まだ通行可能だ。

上にでてきた航空写真で、ループの右下に逆Uの字になっている道がみえるが、これが旧道である。実際に下のストリートビューで現地をみていただければ、青龍橋ができるまでの大変さがおわかりいただけるだろう。

 

 

龍の胴体である箱桁は、無塗装の耐候性鋼材が採用されておりメンテナンスのコスト低減化も図られている。

 

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事