到達:2024年4月
難易度:■■■□(中級)
宇久井港口灯台(うぐいこうぐちとうだい、和歌山県那智勝浦町)は、これまでの最大難度だった。
わかりにくい分かれ道、急峻な下りと上り、最後の最後で途切れる階段、急角度の岩場など、探検要素満載だ。結構な雨が降っていたという状況が輪をかけた面はあるが、晴れていたとしても難易度は中級だと思う(そもそも上級と思われる灯台には行かないことにしているので中級が最高)。
出発は、環境省が運営する宇久井(うぐい)ビジターセンターの駐車場。このビジターセンターと、それがある宇久井半島もなかなか興味深いのだが、それについては、宇久井港口灯台のあとに行った宇久井駒埼灯台の記事で触れる。
では、レインコートを着て、レインシューズをはいて、傘をさして出発だ。まずは作業用車だけが通れる舗装道だ。
舗装道を5分ほど歩くと、道の左に宇久井駒埼灯台への案内がある。歩いていく方からよく見えるよう、「駒埼」という矢印が別に貼り付けられているので、見落とすことはないだろう。宇久井港口灯台と宇久井駒埼灯台は近くにあって、途中までは同じ道だ。
その入口はこんな感じ。ここからは山道になる。
道ははっきりしている。途中、1カ所だけ案内があるが、道を間違えるような場所ではない。はげましなのかな?
山道に入ってから5分ぐらいで、2つの灯台の分岐点に着く。左の宇久井駒埼灯台に向かう道ははっきりしている。右に行くと宇久井港口灯台なのだが、うっかりすると見落とすし、ここがそうかどうか、目印がなにもないのでちょっと迷う。
右方向も道のような感じがするけど…。
うーん、ここでいいのかな。確信が持てないまま進んでいく。
道は急な下りになり、その先の鞍部を過ぎると今度は急な上りになっている。やっぱり道っぽい感じがあるので、これであっていそうだ。
これは鞍部を通りすぎてから振り返ったところ。下り上りとも45度とは言わないまでも、それに近いんじゃないか。傘をさして、足元に気をつけ、息を切らしながら、写真を撮る。なかなかキビシイ。
波音の感じからすると、海はまだだいぶ下の方だ。すべらないように気をつけながら、急な坂を下り続ける。
と、木々の間から赤い色が見えた。近づいたぞ。
森が途切れたあたりで、足元にコンクリートが現れた。
コンクリートの階段なのだが、傘をさしながらだと歩きにくい。歩くときはたたみ、撮影するときはカメラがぬれないように傘を開く。この動作が面倒すぎて、このあと写真点数はあまり多くない。
視界が開けたところで宇久井港口灯台が現れた。分岐点から10分、駐車場から20分ちょっとというところか。
雨のせいで風景は陸も海も沈んだ色であるなか、灯台の赤が鮮やかに見える。向かいにあるのが鍋島で、宇久井港へはこの間を通って出入りする。まさにここが「宇久井港口」なのだ。
雨は降り続く。雨が降っていなければ、もう少し落ち着いてこの風景を楽しめたかもしれないが…。
細いコンクリートの道と階段は、灯台の立つ場所まで続いている…ように見えるのだが、実は階段が途中で切れていて、そのままでは灯台まで行けない。それは先達のみなさんのブログ記事でわかっている。
いまこうして写真で見ると、その途切れたところの近くまで下りていけそうな気がする。しかし、レインコートとレインシューズ、傘を片手に持って、つかまるところのない階段を下りていく気力と勇気はまったく湧かなかった。
先達のみなさんがどうしたかというと、階段の左にある岩場を伝って灯台の場所まで行っているようだ。
いやー、これはムリだよ。すべったら海中まで真っ逆さま。「怖かった」と書いている人もいたし、なにしろいまは雨で濡れている。これは「行かない」一択だ。これで“到達”したことにして、さっさと引き返そう。
灯台の向こう側には船を着ける場所がある。おそらく点検業務は船で来ているんだね。
と、帰り始めて鞍部に近づいたところまで来てふと気がついた。傘がない! 折りたたんで、底の浅いレインコートのポケットに入れていたのが敗因だ。
一瞬迷ったが、探すしかないだろう。岩場や海に落ちていないことを祈りながら灯台近くまで引き返す。海に面したコンクリートの道は、半分低木の枝が張りだしているのだが、そこに傘が引っかかっていた。やれやれ。
余計な体力を使いながら、ようやく分岐点まで戻った。まだ森の中ではあるが「現世に戻ってきた」という感じがする。それほど気持ちが張り詰めていたということだ。
左が駐車場方向だが、右へ向かう。続きは宇久井駒埼灯台の記事で。