経ヶ岬灯台は“観光地”、継続的な歩道の整備が灯台にとって重要

 

ナギヒコさんから寄稿していただいた記事です

 

到達:2023年4月
難易度:■■□□(初級)

 

 著名な灯台は別として、多くの灯台はそのままでは“観光地”にはならない。観光客に来てもらうための、細かく地道な取り組みが継続して行われないといけないのだ。

 その点、経ヶ岬灯台(きょうがみさきとうだい、京都府京丹後市)は、“観光地”と呼べるだけの整備がしっかりとなされている。なので、多くの人が安全に、迷わずに行けるようになっている。

 ただし、途中の登り道はそこそこキツイ。難易度としては、誰でも気軽に行ける「入門」とは言いづらく、「初級」レベルだろう。

 

 国道178号から脇道を入って1kmほどで着く駐車場は広い。これも“観光地”としては重要なことだ。

 この駐車場から見える海の景色もなかなかいいのだが、大事なポイントはここから経ヶ岬灯台がチラッと見えることだ。灯台が見えるよう、木を切ったのかと思ってしまうほど、いい具合に切れ目がある。

 ちょうどそのとき、灯台への遊歩道から作業服のおじさんたちが出てきて、遊歩道入口にあった看板をどかした。もしかして、工事で立入禁止だったのかな?(看板の文字をまだ見ていなかった)

 

 いずれにせよ看板はなくなったので、灯台に向かおう。いきなり上り階段だ。

「地元小学生が作った」という竹の杖も用意されている(写真右端)。階段の上りに不安がある人には役立つかもしれない。

 つづら折りの階段がずっと続く。たしかに「誰でも気軽に行ける」とはちょっと言いにくい。

 苦しいけど、道は整備されているので歩きやすい。

 

 分岐点に来た。山頂展望台への道(さらにすごい階段)は崩落があったのだろうか、通行止めだ。この急な階段では、仮に通れるとしてもあまり行きたくないな。灯台へは右に行く。

 道の右側はかなり急な崖になっている。崩落があったらしく柵が大きくずれてしまっているが、ちゃんとバリケードが作られている。

 ここは左から土砂が崩れてきたので、その土砂をどけたのだろう。ここだけ土の色が違う。さっき下りてきた作業員さんたちは、いままでここの復旧工事をしていたのかもしれない。

 

 その先、道は下りに変わる。おっと、道の先にもう灯台が見えるじゃないか。

 分かれ道。「灯台」という標識がどっちを指しているかがわかりにくいのだが、右だ。左は山頂展望台へ行く別ルート。

 近くに来ました、経ヶ岬灯台。

 

 灯台は明治期特有のりっぱな形をしているが、なぜか見えているのは首から上だけだ。当初退息所があった場所は、きれいな更地になっている。

 というのは、灯台が更地より一段低い場所に建っているから。

 下りたところの敷地は灯台が大部分を占めているので、下がって全体像の写真を撮ることができない(あとから思えば、上から撮ればよかったのだが、撮りそびれた)。

 明治31年(1898年)12月初点灯という古い灯台で、全体が石造り。ただ、それ以前に作られた灯台の多くは付属舎が半円形(例えば鍋島灯台や金華山灯台)なのに対して、これは両側に四角い付属舎があるという形だ。

 まあ、円形より矩形の方が作りやすいよね、きっと。

 

 元の敷地に戻ろう。

 次の写真の左端をよく見ると、カギのかけられた柵の向こうに道案内の標識がある。もしかして、国道からこの半島の反対側を回ってくる道なのでは? しかし柵があっては入れないではないか。うかつにも柵のところにいかなかったので詳しいことがわからない。

 退息所のあった場所の反対側には、石造りの建物が残っている。「経ヶ岬無線方位信号所」というプレートがあった。灯台と同時期に建てられたかどうかはわからないが、古い建物を近年まで使っていたようだ。

 

 駐車場まで戻ることにしよう。歩いてきた方向に目をやれば、遠く、だいぶ低いところに駐車場が見える。写真の中央、青い構造物(?)があるあたりがそうだ。結構険しい場所にあることを実感する。灯台守が退息所に住んでいた頃は、生活が大変だったらしい。

 帰り道では、作業服とワイシャツ姿(革靴だっただろうか?)という2人の男性とすれちがった。観光客にしてはヘンだなと思ったのだが、遊歩道の補修工事が終わったとの連絡を受け、工事後の様子を見に来た市役所の人かもしれない。灯台まで安全に歩けるよう、遊歩道がきちんと補修されているということだ。

 また、前述したように遊歩道の階段は壊れているところがないし、石が少なくて歩きやすい。

 

 実は、2017年にできた経ヶ岬灯台保存会という団体があるのだ。遊歩道の整備だけでなく、灯台まつりの実施、灯台のライトアップなども行っている。Facebookページ(https://www.facebook.com/profile.php?id=100064567189134)を見る限り、現在も継続して活動しているようだ。

 保存会が龍谷大学の研究室と作ったパンフレット(2022年1月制作、次の写真は一部のみ)やWebサイトもある(https://ukawanavi.wixsite.com/ukawa/経ヶ岬)。このパンフレットは駐車場の箱にストックされている。

 遊歩道は作ったら終わりではなく、継続的な整備が必要だ。また、黙っていても観光客が来るわけではなく、告知活動やイベントの実施などの取り組みも欠かせない。経ヶ岬灯台は、このような取り組みが現在でも継続して行われているようだ。

 いくつかの灯台に行って気づいたのは、灯台までの経路を整備している人たちがいるということだ。そういう人たちによって、灯台探索をする人びとは支えられている。

 

 最後に、駐車場を経由せずに灯台に行く別ルートにも触れておこう。

 国道178号から駐車場に向かう道の分岐点(近くにバスの終点がある)には、もう一つ道がある。この写真の右が駐車場への自動車道で、左には「近畿自然歩道 経ヶ岬灯台1.4km」という標識がある。

 左の道を行くと、正面の山を左から回り込み、山の向こう側にある灯台に向かう。ただ、道がちゃんと通じているのだろうか。

 次の写真は、駐車場にあった地図だが、ところどころに「通行止め」のテープが貼られているほか、はがした跡もある。道の補修が行われてはいるが、間に合ってはいないということだろう。

 今回経験した、国道178号から駐車場を経由して灯台までの経路は、おそらく今後も優先的に整備・保全されると思う。ただ、そのほかの道は通れるかどうか、行ってみないとわからない、という感じだ。「多少の難路にこそ萌える」「ダメなら引き返せばいいだけ」という人に挑戦してほしい。

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