海路の要衝にあった大浜埼灯台と、現代の陸路しまなみ海道が交差する場所

 

ナギヒコさんから寄稿していただいた記事です

 

到達:2023年11月
難易度:■■□□(初級)

 

 尾道市(広島県)と今治市(愛媛県)を結ぶしまなみ海道付近には、1894(明治27)年に初点灯した灯台がたくさんある。その理由は、大浜埼灯台(おおはまざきとうだい、広島県尾道市)の近くにある案内板(設置者不明)に詳しい説明があった。

 瀬戸内海を航行する船舶は、潮流が一番速く危険が多い来島海峡を通る必要がありました。このため、ひうち灘から布刈瀬戸、三原瀬戸を通過して周防灘にでれば、比較的潮流の影響をうけないで航行することができます。

 この航路のため、明治27年5月、百貫島灯台、大浜埼灯台、長太夫灯標、小佐木島灯台、高根島灯台、大久野島灯台、鮴埼灯台、中ノ鼻灯台、大下島灯台等がほぼ同時に建設され点灯しました。

 この9つの灯台(一つは灯標)の位置を見れば、どういう航路かは一目瞭然だ。「布刈(めかり)瀬戸」はちょうど大浜埼灯台があるあたり、「三原瀬戸」は小佐木島灯台や高根島灯台と本州(三原港)の間あたりを指すようだ。

(国土地理院)

 9つの灯台のうち、大崎上島にある鮴埼(めばるざき)灯台は廃止後2009年に撤去されたが、残る8つは130年経った今でも現役だ。

 現在は来島海峡を通る船も多いが、この航路は「来島海峡航路に比べ潮流の速度が半分程度のため、小型船や低速の大型船なども航行しています」(内海水先区水先人会のFacebookページによる)。

 

 では本題である大浜埼灯台に行く話に入ろう。

 因島(いんのしま)を周回する県道から少し入ったところに、大浜埼灯台の駐車場がある。平日に地味な灯台に行く人なんてめったにいないから、ガラガラだろうと思ったら、なんと10台近くのクルマが止まっている。なぜ?

 どうやら近くにある「はっさく屋」という和菓子屋(写真右に写る建物)に来た人たちのようだ。すごい人気だ。

 

「はっさく屋」の反対側、当たり前だがだれも行かない灯台入口から灯台を目指す。

 この先にキャンプ場があるので、舗装道になっていて歩きやすい。

 しばらく行くと、灯台記念館への案内があるので、そこの階段を下りていく。

 下り道の途中に、潮流信号所の跡がある。1910~1954年の間に稼働していたもので、そのあいだ灯台の業務は停止していたという。

 

 見えてきた。手前のとんがり屋根が、案内板のあった大浜埼灯台記念館で、その右が灯台本体だ。さらに階段を下りる。

 これが記念館。元は退息所だと思われるが、木製の建物が残っているのはかなり珍しいのではないか。3つの塔がしゃれているが、塗装が少し剥げてきている。

 この建物の海側に「灯台へ」という案内板がある。狭い通路を通ると、さらに下りる急な階段がある。帰りはこれを全部上るんだよなあ…。

 十字路で通路は3つに分かれる。ここに立っている設置者不明の案内板に、冒頭で引用した文言が書いてあるのだ。

 左と右は海面まで下りる階段だ。下りても何もないが。

 

 そして正面の上る階段を進めば、大浜埼灯台が目の前に現れる。

 灯台正面の場所が狭いので、全体を撮るのはこれが精一杯だ。

 上ってきたところを振り返ったところ。かなりしっかりした設置場所を作り込んだように思える。灯台資料館もあるし、観光資源として現在もきちんと整備されている印象だ。それほど人は来ないだろうけど。

 初点灯は1894(明治27)年で、同じ年に作られた小佐木島灯台に似ている。

 だが、2002(平成14)年に改築されている。灯籠や灯塔は明治のものが使われているだろうが、そのほかどの程度の改築がなされたのかはわからない。隣にある倉庫っぽいものは石造りのように見えるが、コンクリートかもしれない。土台のようすからしても、改築時に作られた可能性もありそうだ。

 

 振り返ると、向島と因島を結ぶ因島大橋がとてもきれいに見える。海路の要衝であった大浜埼、そして現在の基幹陸路であるしまなみ海道が交差している。

 高松、丸亀、宇野の方から燧灘(ひうちなだ)に来た船は、百貫島灯台を過ぎて、大浜埼灯台を見ながらこの橋のある場所を通過。そして長太夫礁灯標や小佐木島灯台、さらには伊予灘や周防灘に向かったのだろう。

 

 実は、大浜埼灯台に向かうには別の道もあり、灯台の南にある因島大橋北駐車場から来ることもできる。

 しいてこのルートを使う必要はないのだが、この駐車場からの灯台の眺めはなかなかいい。

 灯台の立っている場所、途中に十字路があった理由、灯台記念館との位置関係などがここから見るとよくわかる。時間に余裕があれば、こっちにも足を延ばしてほしい。

 

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