女木島灯台までは単調な上り道だが、最後に難関が待っていた

 

ナギヒコさんから寄稿していただいた記事です

 

到達:2023年2月
難易度:■■□□(初級)

 香川県高松市の沖合にあり、隣り合う女木島(めぎじま)と男木島(おぎじま)。

 男木島にある男木島灯台は、その美しさから観光スポットになっている。一方女木島の女木島灯台はあまり注目されない地味な存在だ。

男木島灯台についてはこちらで取り上げた。

https://soloppo.com/230226-ogijima/

 

 その代わり、女木島にはこういう灯台がある。

 

 

 女木島の港にある女木港鬼ヶ島防波堤灯台で、塔柱を鬼が持つ金棒に見立てるという、なかなかよく考えた意匠だ。初点は1998年10月と新しい。

 

 

 防波堤を歩けばすぐそばまで行けるが、高さがギリギリで、満潮時は波が足元まで来るようだ。

 女木島は別名「鬼ヶ島」と呼ばれている。山の中に大きな洞窟があり、ここに桃太郎伝説の鬼が住んでいた、というのが由来だ。なので、島のあちこちに“鬼ヶ島”に掛けた像や店舗などもある。

 女木港にはもう一つ防波堤灯台がある(女木港東防波堤灯台)。こちらは初点が1966年1月。

 

 

 どちらも定期船が接岸する場所から伸びる防波堤で、すぐに歩いて行ける。

 防波堤でウロウロしているうちに、定期船を下りた人はみんなどこかへ行ってしまった。そろそろ女木島灯台に向かって歩き出そう。鬼ヶ島大洞窟や海水浴場とは逆方向だ。

 

 

 右の石垣は、鬼の城をイメージしてつくったものか。観光地としての「鬼ヶ島」に、少しは気合いが入っている。

 道は一本で間違いようがない(1カ所ある分かれ道は舗装の様子で見分けられる)。ひたすらまっすぐで、傾斜がずっと同じ上り坂だ。

 

 

 それは、女木島を横から見ればだいたい見当がつく。

 

 

 舗装はされているし、急な坂ではないのだが、この単調さは、上り坂の苦しさに輪をかける。たまに海が見えるので、「もう、こんなに上ってきたか」とちょっと気持ちを奮い立たせるのがいいかも。

 

 

 港から歩いて20分ぐらい。1台のクルマとも1人の人ともすれ違わない。このちゃんとした道路はどういう役目があるんだろうか。

 生き物の気配は、ピーヒョロロと鳴きながら飛ぶトンビ(?)だけだ。

※2023/3/18追記
 行ったのが冬だったので気づかなかったが、この道沿いにはずっと桜の木が植わっているそうだ。灯台の先で折り返し、鬼ヶ島大洞窟の方まで続いているという。そうか、季節になるとここは“桜並木の道”になるんだな。

 

 

 灯台入口の標識にやっと到達した。りっぱな石の標識で、「いちおう観光スポットとして認識されているんだな」という感じ。しかし“岬の白灯台”だと多くの灯台が当てはまってしまうが。

 

 

 下りる道にはだいぶ人が歩いた跡がある。来るのが「1年に何人か」というレベルではなさそうだ。

 そして、割とすぐに姿が見えてきた。

 

 

 もう少し。

 

 

 だが、ここからが難関だった。次の写真は反対に下から見上げたところだが、かなりの勾配がある。しかも踏み固められているので、下りるときは滑らないよう、細心の注意が必要なのだ。雨の日やその翌日などに行くときは、かなり苦労するはずなので、気をつけてほしい。

 

 

 木がじゃまで全体像が撮れない。木の葉が茂る春から秋ではまったく姿が見えないかもしれない。

 

 

 ともかく到着した。とてもシンプルな形の女木島灯台だ。

 

 

 初点は1956年3月(2004年3月に改築)。この頃には敷地内に灯台守が住むことはなかっただろうから、退息所(宿舎)のための土地はない。

 

 

 海からはこのように見える。味気ない単純なフォルムではあるが、頼もしくも見える。

 

 

 観光の人がちらほらいる男木島灯台と違い、ここに来る人はいない。灯台自体は男木島灯台にかなわないが、女木島灯台を包む静けさも捨てがたい。

 振り返れば、穏やかな瀬戸内海と、そしてその先には高松市街のビルが見える。少しの時間、静かな風景を堪能する。

 

 

 港に戻ったら猫がいた。そういえば、男木島では猫を見かけなかった。男木島は「猫島」の認知が広まり、いろいろ面倒なことが起こったらしいが、女木島の猫はのんびりと歩いていた。

 

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