北上大橋は岩手県一関(いちのせき)市を流れる北上川(きたかみがわ)に架かる橋だ。右岸の一関市弥栄と左岸の一関市川崎(旧川崎村)を結ぶ国道284号にあり、旧北上大橋のすぐ下流に新しい北上大橋として、2003年(平成15年)に架設された。(旧北上大橋は解体)
遠目にみると、まるで太古の草食恐竜が首を下げて横たわっているような優美な美しさがある。
なお「新北上大橋」という名前の橋も存在するが、そちらは宮城県石巻市にある全く別の橋である。
形 式:3径間連続ブレースドリブ・バランスド・タイドアーチ橋
橋 長:482m
支間割:136m+208m+136m
幅 員:19.0m (車道 9.5m 歩道 4.75m×2)
着 工:1997年
竣 工:2003年
北上川の中流域にあたる一関地区は、川幅の狭い場所も多く勾配もゆるやかなため、流下能力が低い。このため昔から川の氾濫による洪水の被害に悩まされてきた。戦後間もないカスリン台風やアイオン台風襲来時には、甚大な被害が発生し、今もその記憶を留めるための洪水位標が市内に残されている。
こうした災害に対峙しつつ、治水対策を積極的にすすめる中、地域交通の要となる北上大橋は架設された。架設方法は、まず両サイドの側径間を先に作り、最後にアーチ部の中央径間を自走式クレーンを使った張り出し架設工法で架設したとのことだ。
なお、北上大橋は橋梁・構造工学に関する優秀な業績に授与される「土木学会 田中賞」を2003年(平成15年)に受賞している。
下は、旧川崎村(左岸)から一ノ関市弥栄(右岸)方向に北上大橋を車で移動した動画だ。
外から眺めるのとは、また一味違う橋の機能美が感じられる。
北上大橋で採用された橋梁形式は珍しく、日本国内では他に以下の3例があるだけだ。いずれも昭和初期から戦後に建造されたものだが、いまも健在だ。
最後に、ぜひご覧いただきたい動画とスライドがある。
地元一関市の岩手県立一関工業高等学校土木科橋梁模型班が北上大橋の模型を作成。見事、第19回(令和2年度)高校生「橋梁模型」作品発表会で優秀賞を受賞した。
以下が、制作した高校生たちからのビデオレターである。
なんだか忘れかけていた青春を思い起こさせる、短いけれどいい動画だ。
優秀賞受賞、おめでとう!