前回につづき、旧入間川橋梁の話をしていきたい。
川岸から橋を眺めると、橋桁を支える橋脚がみえる。
手前が木の茂みでみえにくいが、全部で5つだ。
下の写真では左手が上流にあたるのだが、橋脚の上流側には弧を描くように、石が積み上げられているのがみえる。
まったくのド素人なので、想像でしかないが、水流のあたりから橋脚を守る役目なのかなと思う。
そういえば、以前取材した首都圏外郭放水路の地下神殿にあった柱も長円形だった。
訪れた日は、水位もかなり低い状態だったが、天候次第では水位もあがり、いまもこの石積みは煉瓦の橋脚を守っているんだなと思うと、がんばれ!とエールを送りたくなる。
橋にはいろいろな構造がある。
材質や形など、見た目にも違いが明らかな様々な橋があることは、ド素人の私でもわかる。
今回、橋についての資料を読むにあたり、橋梁の基礎知識として大変わかりやすい解説を載せているサイトがあった。
建設コンサルタント (株)長野技研さまの橋梁の基礎知識というページだ。
特に、【橋梁の基礎知識 その2-橋梁の構造形式の表現について】では、橋の構造的な命名ルールが丁寧に解説されていて、感動ものである。
(もちろん、これだけですべてがわかるわけではないが、とても勉強になる)
旧入間川橋梁(西武池袋線)は、プレートガーダー(plate girder)というスタイルの橋だが、橋脚が5つあり、橋脚と橋脚の支点の間(これを「径間」と呼ぶ)が6つある。なおかつ、橋の上を電車が走行する「上路」であることから、先のサイトでのルールにのっとると、6径間単純上路プレートガーダー橋となる。
※後で専門家の知人のアドバイスをもらったところ、6径間単純鋼鈑桁橋と呼ぶことが多いとのこと。 鋼鈑桁 はプレートガーダーと同じ意味。
上の写真、手前にあるのが旧入間川橋梁だが、重なって奥にみえるもう一つの橋が、現在の入間川橋梁だ。
実際に電車が走行している様子で、2本の橋梁が重なっていることがわかっていただけるだろうか。
下流側に新設された入間川橋梁に近づいてみる。新設・・とはいっても、すでに50年以上経過しており、年季が入ってる。
少し上流にある上橋から、旧入間川橋梁を眺める。
写真撮影ではそこそこ有名なスポットらしいが。橋の上にいるのは私一人。
そらそうよね、暑いもん 笑
冒頭の写真は、同じ場所から西武池袋線の下り電車が通り過ぎる様子を撮影したもの。
新旧2つの橋梁が近接し高さも同じくらいなので、まるで古い橋の上を現代の電車が走行しているような、ちょっとしたタイムスリップ感を味わえる。
上橋から川面を眺めると、黒い魚が涼しげに泳いでいた。
上橋をそのまま渡り、飯能側にある橋台のほうへ行ってみる。
池袋側とは違い、こちらはぎりぎりまで一般の住宅が建っているので、ちょっとあり得ないような不思議な様相を呈している。
橋の下をくぐり、逆側にでて振り返ってみる。
なんか、笑ってしまうほど住宅が近い。
この近隣のお宅からは、春になれば眼前に咲く桜越しに、こんな土木遺構が見られるのかと思うと、大変うらやましい気持ちになるが、実際のところはそう単純な話でもないのだろうな。
さて、最後にご覧いただくのは、2つの橋を上からみた俯瞰図。
旧橋が川に対してほぼ直角に設置されているのに対し、新橋は少し角度をつけており、その分、距離が長くなっている。
もちろん、川に対して直角に作れば距離は最短ですむが、
新線の場合、前後の線路の配置などを考慮し、自然なカーブになるように考えた結果ではないかと思われる。
これで入間川橋梁の探検ウォークは終わりであるが、実はこのあともう1か所立ち寄るところがある。その話はまた別の機会に・・。