ロープがなかったら無理!急斜面をのぼり急斜面をくだる大磯埼灯台

 

ナギヒコさんから寄稿していただいた記事です

到達:2026年1月
難易度:■■■□(中級)

10~20mぐらいの間だろうか。しっかりと張られたロープがなければ到達は難しかった。

歩く距離は短いが、急なのぼり斜面とくだり斜面のおかげで、大磯埼灯台(おおいそさきとうだい、徳島県鳴門市)はクエスト感あふれ、難易度中級レベルの充実感が味わえる灯台だ。

しかももう一点、「瀬戸内海」にとって重要な役割もある(後述する)。知名度は低いが、なかなか侮れない灯台なのだ。

大磯埼は、徳島空港と鳴門海峡の間で、北東方向に突き出た場所にある。

(国土地理院)

ぼら山といわし山(Googleマップによる。国土地理院の地図に山の名前はない)という小高い山の間に自転車道が通っている。この途中から山道に入り、ぼら山の北を回り込むようにして灯台に向かう。

ぼら山のすぐ南まではクルマで行ける。ただし、途中の道はあぜ道か住宅街の中で、どちらもすれ違うだけの道幅はない。対向車が来ないことを祈りながら走るしかない。

クルマをとめればもう灯台が見える。

道っぽいものもあるし、このまま進めば楽勝、と思えてしまうが、それがワナだ。海岸から灯台にのぼる道がない。この急斜面を、藪をかき分けのぼった人がいるようだが、多くの人にはできないだろう。

 

ここは先人のみなさんの貴重な情報をありがたく使わせてもらい、左の自転車道を進んでいく。

傾斜が急な場所は階段になっているが、自転車は押して通れる。

のぼりきったら、気持ちのいい自転車道だ。

灯台へののぼり口が見えてきた。Googleストリートビューで見るとちょっとわかりにくそうだったが、実際に行ってみればはっきりわかる。しかもブイやらなにやら、いろんなものがぶら下がっていて、間違いようがない。

これは灯台への道標だったか?

道は迷いようがないほどはっきりしている。

 

そして鞍部を右に曲がると、出た、ロープ!

これまでほかの灯台に行くときに出会ったロープは、「使った方が楽だ、ありがたい」か、「古くてちぎれそうなので触らないでおこう」とかいうものが大部分だった。ここは違う。ロープを使わないとのぼれない。

道の左右に頼りがいのあるロープがある。左のロープの先は崖だ。これはあくまで非常時のものと考え、右のロープにつかまりながらゆるゆるとのぼっていく。

この区間は10~20mぐらいだろうか。ようやくのぼりが終わった。

 

ここをのぼってきた。帰りはここをくだるのか…。のぼり口と同じブイが下がっている。

右はさらにのぼる道がある。おそらくぼら山の頂上に行くのだろう。時間に余裕があれば行くんだけどな。

ここからは思いっきりくだり。

電柱の向こうに灯台が見えた。

 

大磯埼灯台の全体像が見えた。というか、この場所が全体を写真に撮れる唯一の場所だ。光源はLEDになったけど、太陽光発電ではなく、電線による電力供給なんだね。

灯塔の左には淡路島が見える。

灯塔の右に見えるのは沼島(ぬしま)だろう。

安心するのはまだ早い。ここをすべらないようにおりなければ。ロープなしで。

おりてから振り返るとこんな感じ。雨で地面がぬれていると、すべらずにおりるのは結構きびしいかもしれない。

歩き始めてから約10分で大磯埼灯台に到着。灯台の周囲は狭く、灯台を撮ることがまったくできなかった。周囲は灌木がみっしり茂っていて、海岸側からのぼってこられるような感じがまったくしない。

南方向、クルマをとめた付近を見下ろす。正面遠方に徳島空港、その先に徳島市街があるはずだ。

 

東方向には淡路島の南端、潮崎が見える。

実はこの潮崎とここ大磯埼を結ぶ線が、「瀬戸内海」の境界なのだ。

国際水路機関(IHO)は『大洋と海の境界(Limites des Océans et des Mers)』(1953年発行)で、瀬戸内海の東端を「田倉崎と淡路島の生石鼻、同島の潮崎と大磯崎を結ぶ線」としている。

(国土地理院)

潮崎だけは付近に灯台がないが、そのほかの3カ所は田倉埼灯台、生石鼻灯台(おいしはなとうだい)、大磯埼灯台がある。

つまり大磯埼灯台は、「瀬戸内海とはどこまでか」を決める役割の一端を担っているのだ。

ただしこのほかにも、領海及び接続水域に関する法律施行令(領海法施行令)、瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)などが「瀬戸内海」の範囲を規定している。これらはIHOと異なり、紀伊水道を挟む紀伊日ノ御埼灯台と蒲生田岬灯台を結ぶ線を境界としている。

目的によって規定する位置は違うのだが、地図を見れば「狭くなっているところ」で線を結んでいることがわかる。

 

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