三陸鉄道とBRTが融合 「海岸のまち」盛駅

 

 

 

 

岩手県大船渡市にある「盛」駅。恥ずかしながら、私はずっと「もり」駅だと思っていた。たぶん盛岡からの連想で疑いもしなかったんだろう。

正しくは、「さかり」駅。

盛駅は、三陸鉄道の起点であり、大船渡線のかつての終点でもあった。東日本大震災から11年と半年たった盛駅を訪ねてみた。

 

 

三陸鉄道の盛駅正面

 

アットホームという言葉がぴったりな、三陸鉄道の盛駅待合室。

 

 

正面奥がホーム。左手の柱向こうに窓口がある

 

 

三陸鉄道活性化のため、できることは何でもやります・・という雰囲気が伝わってくる

 

 

三陸鉄道盛駅に向かって右側(南側)に、JR盛駅がある。

震災の翌年、2012年12月に、気仙沼駅、釜石駅、宮古駅とともに駅舎がリニューアルされた。いずれも三陸鉄道の特徴を組み込んだデザインで、交流を生み賑わう場として親しまれる駅を目指した。

ルーバー状の庇と駅舎の窓や入口で、近隣にある景勝地「穴通し磯」を表現したとのこと。正直、そういわれればそう見えるかも・・という感じだが、シンプルに庇のついた駅舎はかっこいいと思う。

 

盛駅は「海岸のまち」をコンセプトに駅舎がデザインされた

 

碁石海岸にある岩に3つの穴があいた「穴通し磯」
Junpei Satoh, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

 

下の写真、駅舎の入口近くをみると、白黒の石が敷き詰めてある。碁石海岸にちなんだ白黒の丸石ということらしく、なかなか粋である。

 

写真では見えにくいが、碁石海岸に打ち寄せる波を表すため、石の並びの先端はカーブを描いている

 

駅舎内から入口方向を撮影。扉に貼られた椿は、大船渡市の市の花

 

駅舎内部からホーム方向を撮影

 

 

震災当日は、盛駅に隣接していた「南リアス線運行部指令センター」の事務所1階が津波で1mほど冠水状態になったと記録がある。駅も同様だったろう。

JR大船渡線の気仙沼から盛までは不通となり、2013年からはBRT(バス高速輸送システム)が運行されている。

 

壁にはBRTの時刻表が掲示されている

 

 

2020年4月、同区間に鉄道事業の廃止届が出されたことにより、JR盛駅は、三陸鉄道と貨物の岩手開発鉄道、そしてBRTの3社が乗り入れるターミナル駅となっている。

 

 

気仙沼方面へは2番線のBRT、釜石方面へは3番線の三陸鉄道を利用する

 

正面に見える道路は、かつて線路があった場所。現在はバスが走行する

 

ロータリー側では2つの盛駅は別々に建っているが、改札を抜けると中では同じホームを共有している。下の写真、手前にある単式ホーム1面1線と、奥にみえる島式ホーム1面2線の構造を持つ。

 

「降車専用」の看板が見えるように、1番線はBRTの降車専用ホームだ

 

下の写真は、震災前のもの。駅舎に一番近い1番ホームに、あたりまえのように線路があり、2番線ホームには列車が停まっている。

二度とこの風景が見られないと思うとなんとも切ないが、駅舎リニューアル時のコンセプト通り、三陸のこの地が以前以上の賑わいを取り戻してほしい。

それには、とにかくこの地を訪れること、それが一番の応援なのだろう。

 

2006年10月に撮影された盛駅
まも, Public domain, via Wikimedia Commons

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事