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到達:2023年5月
難易度:■□□□(入門)
以前の多古鼻灯台(たこばなとうだい、島根県松江市)は、灯台までの道のりの難易度がそうとう高かったはず。それが2005年にぐっと行きやすくなった。
途中の道が崩落するなどで、年を経るごとに難易度が上がる灯台は多い。逆に難易度が下がった多古鼻灯台はかなり珍しい例ではないだろうか。
灯台は右?左?
その恩恵をもたらしてくれたのが、2005年にオープンしたマリンパーク多古鼻だ。キャビン、キャンプサイト、展望浴場などがあるリゾート施設だ。
多古鼻は、東西に長い島根半島の北端にある。
松江市内からはクルマで30分ちょっとと、それほど遠くない。分岐点にこういう案内がある。
写真右に「多古鼻灯台は右」という標識があるが、右に行ってはいけない。写真左にある「マリンパーク多古鼻」に従って左に行かなければいけない。
「右へ行け」という標識は、マリンパーク多古鼻ができる前に立てられたものだろう。そのときはどのように灯台に行ったかというと、沖泊に向かう途中から山道(地図の破線)を通ったのだろう。
山道に入ってから灯台までは200mぐらいだが、地図によれば70mぐらいの高低差がある。これはきつい。この山道が今も生きているかどうかはわからないが、仮に行けるとしてもかなりハードな道のりに違いない。
標識に反して左のマリンパーク多古鼻まで行けば、この山道に相当する部分のほとんどがクルマで進めてしまう。これにより、灯台へのアプローチは中級レベルから、一気に入門レベルに下がったのだ。
マリンパーク多古鼻に着いたので、クルマを止めよう。
キャビンの反対側は、海が見渡せてとてもいい景色だ。
敷地の一角に展望台がある。
灯台へは展望台を通り抜けて行くのだが、まずはちょっと上ってみよう。香住港城山灯台でちょっと悩まされたハチがここにもいる。
最上部から北西方向を見れば、おお、森の中に灯台が。
灯台への道はどっち?
灯台目指して出発。と思ったら「進入禁止」の立て札が立っていた。
後述するが、これは(小さい字で書いてあるように)遊歩道が崩落しそうなので行かないように、ということであって、「灯台に行かないように」ではないのだろう。
というわけで、きちんと作られた階段を降りる。
と、何に使うかがよくわからない人工物が現れた。
さて、次はどっちだろう? 左の上り道か、右の下り道か。どっちも同じぐらい微妙だ。しばらく迷った末、右の下り道を少し進んでみた。
すると、左手に階段が見えた。やった、こっちだった。
ただ、この下り道はさらに先がある雰囲気もあった。あとで地図を見てみると、200mの山道がたどり着くのがこの場所だったのではないかと思われる。
階段を上ると門柱の跡がある。
門の中は多少広いスペースがある。初点灯は1952年(昭和27年)。この時期だと、灯台守が暮らす退息所がまだ作られたのかもしれないが、それにしてはちょっと狭いかもしれない。だが、何らかの建物があったような気がする。
そして、左側にさらに階段があり…。
金網の向こうに
ついに多古鼻灯台が目の前に現れた。
敷地内には入れないので、金網越しに撮影した。昭和の時代のものなので、形状は“機能一辺倒”という感じだ。
右端に小さくハチが写っている。敷地内に入れないので、あまり写真も撮れない。引き返そう。
進む方向を迷った場所まで戻ってきた。あとで調べると、左の上り道を進んだという人もいた。どうもこっちを行っても灯台にたどり着けるようだ。
そして、後ろを振り返ると、ロープで入れないようにしている遊歩道があった。そもそも草木に飲み込まれて物理的にも入れない。
さっき見かけた「進入禁止」の立て札はここのことを指していたのだろう。
マリンパーク多古鼻の案内を見ると、キャビンやキャンプサイトを取り巻くように遊歩道が設けられている。
だが、並んだキャビンの海に面した側を見ても、木々が生い茂っていて、どこにも遊歩道があるようには見えない。崩壊して時間が経ち、自然に戻りつつあるのだろう。
今のところ、展望台から灯台までの道は崩壊の危険はなさそうだが、今後何が起こるかはわからない。復旧工事が行われずに、灯台へ行く道までも閉ざされてしまわないといいのだが。
せっかくなので、「多古鼻灯台は右」標識の方向に進み、「多古の石柱」を見た。柵とかがないので、あまり崖の近くには寄らないようにしたが。
右下に見えるのが、沖泊の集落だ。おそらく島根半島最北端の漁港だろう。