初めての場所にある土木建造物を探訪するとき、自分なりにいろいろと調査する。特に大事なのは、現場に到着するまでの手段だ。できるだけ体力を使わず、安価で、時短で到着したい。タクシーを使えば話は早いが、それは最後の手段(高いもんね。タクシーが使えない地域もあるし)。
駅から目的の場所が離れている場合、できるだけバスを利用したい。バスがあれば・・の話だが。
ただし、最寄り駅からバスがあるかどうか調べるのは慣れていないとけっこう大変だ。最寄り駅のある市町村名とバス会社、駅名などの複数の条件で検索をして、バス路線を絞り込んでいく。
膳棚水路橋の最寄り駅はJR黒磯駅で、そこそこ大きな駅なのでバスはあるだろうと思った。ただし、水路橋は駅から10kmほど離れているので、近くにバス停があるとは限らない。特に水路橋は観光地ではないので、近くにバス路線がない可能性もあった。
幸い、今回は「那須町民バス」というバスがあり、「追分~黒磯駅線」で水路橋の近くまでいけることがわかった。さすがに往復20km歩くのはきついので、よかったよかった。
(目的地の近くにバス路線があるかどうかの調べ方はまた別記事で紹介する)
乗車するのは「黒磯駅西口」、降車するのは「稲沢」というバス停である。バスがあるのはありがたいのだが、本数が非常に少ないのはよくある話。それにあわせてスケジュールを組まなくてはいけない。
追分線は1日4本(片道)しかバスがない。
可能なら黒磯駅を7時54分に出発するバスに乗りたい。ただ、どんなに早く自宅をでても、新幹線の那須塩原駅に到着するのが7時31分。東北本線に乗り換えて黒磯駅に到着するのが7時49分。乗り換え時間は5分しかない。
町民バスがどこに停車しているかも、事前調査ではわからなかった。そこで、無理に1便に乗ろうとせず、プランBとして11時に出発するバスに乗ることにして、待ち時間は近くにある晩翠(ばんすい)橋を先に訪問する計画を立てた。
ところが、黒磯駅に電車が到着しホームに降り立つと、たまたまだが目の前に改札があり、改札を出ると真正面に町民バスがスタンバっていた。これはもうプランAに決定だ。写真を撮る時間も惜しく、そのままバスに乗り込んだ。
バスの乗客は私1人。運転手さんに「稲沢」に行くことを確認して着席する。
ちなみに後でわかったことだが、運転手さんは「みねさわ」と聞こえたらしく、どこだろうなぁと思いつつ返事を返したらしい 笑
バスで行くにしてもタクシーで行くにしても、現地の土地の名称は可能な限り読み方を調べておくのがいいと思う。読み方を間違えていると、話が通じないことが多いからだ。
20分ほどで稲沢に到着してバスを降りる。このあたりはフリー乗車区間で、水路橋にもっと近い場所で降りることもできたが、せっかくなので稲沢バス停から歩いて戻ることにした。
稲沢バス停から600mほど国道を歩くと、左手に膳棚水路橋がみえてくる。
このあと、膳棚水路橋まで行って、小山をよじのぼったりするのだが、そのあたりは以下の記事をご覧いただきたい。
水路橋の探索を終えて、帰りのバスに間に合うように再び稲沢のバス停に向かう。さきほどは気が付かなかったが、途中に消防団の火の見やぐらがあった。
さきほど降りた稲沢のバス停が近づいてくる。
写真を見てもわかるように、稲沢のバス停はとても背が低い。1m30cm?ぐらいだろうか。何かわけがあるのかと思ったのだが、白い木の杭を地面に打ち込んである手作り感満載のバス停で、あまり木の杭を長くできなかったのかな。
冒頭のバスの路線図にも描かれていたが、バスは稲沢でUターンをする。いい具合に、稲沢バス停付近の道路は幅が広くなっていてUターンがしやすい。バスの運転手さんに、安全なのでバス停のある逆側の道路で待つように言われていたので、指示通りの場所でバスを待つことにした。
帰りのバスは先客が2名。いずれもお年寄りで、イオンや自宅近くで下車されていた。
バスの中で、運転手さんと水路橋について話をした。運転手さんも、橋のようなものがあるのはご存じだったが、なんなんだろうなぁと思ってらしたとのこと。
歴史的に貴重かつ水力発電による電力確保という重要なインフラであっても、灯台下暗しで意外に地域の方に知られていないことも少なくない。そんなものかもしれないな・・と思いつつ、バスは黒磯駅に到着するのだった。