到達:2023年5月
探検度はゼロ
明治に作られた石造りの灯台は美しい。
「灯台クエスト」は「行くのにちょっと苦労する灯台へ行く楽しみ」をお伝えするためのものだが、今回は「すごくラクに行ける灯台」を2つまとめて紹介しよう。島根半島の両端にある出雲日御碕灯台(いずもひのみさきとうだい、島根県出雲市)と、美保関灯台(みほのせきとうだい、島根県松江市)だ。
島根半島西端の出雲日御碕灯台は、1903年(明治36年)4月に点灯した。灯塔(地面から塔頂までの高さ)が日本で一番高い(43.65m)。
しかも、数少ない「のぼれる灯台」なのだ。上部のテラスに人がいる、と思ったら…。
見学中止で、テラスにいるのは工事の人だった。2023年6月下旬まで改修工事をしているらしい。
40m以上の高さのテラスは見るからにかなり怖そうで、行く前に上るかどうか迷っていたぐらいだから、それほど残念ではないのだが。
上記のアングルは多くの写真があるだろうから、あまりみかけないだろうアングルのものも。出雲日御碕サカグリ照射灯と灯台の並びだ。
ちなみに、照射灯は強い光を岩礁などに当てて、船に障害物を知らせるためのもの。どこを照射しているのかは夜にならないとわからないが、この写真の中央に見える小さな標識あたり、海面には何も見えないが、浅いところに岩があるのかもしれない。
出雲大社からクルマで15分ぐらいなので、ちょっと足を伸ばせば行ける。しかも灯台は、広い駐車場から歩いて5分もかからない。その間の道は売店や観光案内所もあるという、なかなかいい“観光地”なのだ。
次は、島根半島東端の美保関灯台だ。駐車場から歩き出せばすぐに灯台が見える。
そして近くまで行ってみれば、ビュッフェは臨時休業(木曜は定休日)。
ビュッフェに入れなくても別にいいのだが、敷地全体に入れなかった…。
ただ塀の外からでも灯台の姿は十分に堪能できる。
灯塔は低いが灯籠(光源やレンズがある灯台上部)はわりと大きい。そして半円形の付属舎、という形は禄剛埼灯台(石川県珠洲市)とかなり似ている。
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初点灯は1898年(明治31年)11月だが、「フランス人技師による設計」だというところが珍しい。明治初期に作られた日本の多くの灯台は、イギリス人技術士のブラントンの設計によるものが多いからだ。
灯台守が住んでいた退息所が(おそらく)そのまま、ビュッフェとして使われているのもいい感じだ。やっぱり石造りはいいね。
海側から見た灯台。ここにも照射塔があった!
2つの灯台の紹介は以上だが、おまけを一つ。
美保関灯台に行く途中、日本海と中海をつなぐ境水道の脇を通る。対岸は境港の工業地帯だ。その先端にある境港防波堤灯台が対岸の島根県側からわりと近くに見えるのだ。その左にも防波堤灯台がある(境港第二防波堤北灯台か?)。
なお、島根半島は行ってみるとなかなか地形的におもしろい。東西に小高い山が続いていて、その南は中海と宍道湖という2つの汽水湖がある。その付近はほとんど起伏のない平地だ。だから出雲縁結び空港と米子鬼太郎空港もそこにある。そして、出雲市、松江、米子という大きな町とそれを結ぶ山陰本線。さらにその南からは本格的な中国山地が始まる。
神話では、島根半島の東側を北陸から、西側を朝鮮半島から引っ張ってきた、と書かれているという。現地に行くと、ちょっと納得感のある地形だということがわかると思う。