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到達:2022年9月~2025年10月
北海道の北端、南端、東端、西端にある灯台はどこだろうか。
宗谷岬灯台
北端はわかりやすい。日本の最北端である宗谷岬にある宗谷岬灯台(そうやみさきとうだい、北海道稚内市)だ(北方領土のことはひとまずおく)。
観光で宗谷岬に行く人は多いし、モニュメントで撮影した写真もSNSでよく見かける。だが、宗谷岬灯台を認識している人は、数少ないかもしれない。
なにはともあれ「日本最北端の地」のモニュメントで記念撮影は欠かせない。

でも、撮影者なら、そのあと後ろを振り返ってほしい。被写体の人はそのまま、風景をよく見てほしい。真正面に宗谷岬灯台が立っているのだ。

灯台に行くには、真下にあるのぼり口から、狭い道路をのぼっていく必要がある。この坂道は案外急で、途中に折り返しもあるから、観光バスだとちょっと苦しいかもしれない。

のぼった先には大きな芝生広場と駐車場があるが、このときはクルマが1台とバイクが2台だけしかいなかった。歩いてのぼっている人もいるが、とにかく人が少ない。
この一角には、祈りの塔-KALフライト007記念碑(大韓航空機撃墜事件)、大岬旧海軍望楼、平和の碑(日本海軍と米国海軍の沈没船の乗員をしのぶもの)、宗谷海域海軍戦没者慰霊碑、宮沢賢治文学碑など、いろいろな記念碑があるが、多くの人はそれを見ずに帰ってしまう。
一面に芝が敷き詰められていて、気持ちがいい場所だ。そしてそばに宗谷岬灯台が立っている。鹿(子鹿1頭を含む3頭、野性なのかどうかはわからない)もいた。

高いところから見る海もなかなかだ。近づいたら子鹿はそそくさと逃げてしまった。

灯台は、のぼってきた舗装道を挟んで、広場の反対側。

すぐに着いてしまう。チェーンが張られていて、敷地内には入れない。

初点灯は1885年(明治18年)と古いが、1954年(昭和29年)の改築で今の姿になった(敷地外から銘板が見えず、改築年は確認できていないが)。全体に四角ばった形状なのと、塗装が新しいために、残念ながらあまり情緒は感じられない。
稚内灯台
「最北端」は少しの差で宗谷岬灯台に譲るものの(礼文島にある金田ノ岬灯台も稚内灯台よりわずかに北にあるようだ)、見応えの点では稚内灯台(わっかないとうだい、北海道稚内市)が大きく上回る。

稚内灯台へ向かう途中、灯台は遠くからでもよく見える。

そしてノシャップ(野寒布)岬の公園に着けば、その高さに驚かされる。

それもそのはず。灯塔の高さ(地上から塔頂まで)が43mと、国内で第2位または第4位の高さを誇るからだ。順位があいまいなのは、なにを“灯台”とするかによる。

江の島灯台(江の島シーキャンドル、高さ60m)は展望台に灯台機能が付いたもの、大阪灯台(ハーバーレーダー、高さ50m)はレーダー塔に灯台機能が付いたもので、“いかにも灯台”の形をしていない。
“いかにも灯台”と言える中で一番高いのは出雲日御碕灯台(43.65m)で、これを「日本一高い灯台」としているケースも多い。とすれば、43mの稚内灯台は僅差で第2位の高さ、ということになる。
順位はともかく、40mを超える塔の迫力はものすごい。

下から3分の1あたりにテラスがある。なんのためなのかはわからないが、これがあることで全体の造型がまのびせず、引き締まっていると思う。
ノシャップ岬近辺には高い山がなく、海面近くに建てざるを得なかったので、この高さになったのだろう。
さらにこの岬は、礼文島や利尻島から来たフェリーが稚内港に向けて舵を切る、重要な場所だ。“最北端”の称号は宗谷岬灯台に譲るとしても、灯台の重要性と見応えでは稚内灯台の方が上回っていると思う。
白神岬灯台
北端の次は南端にいこう。
北海道の南端は、渡島半島の西側の出っぱり(松前半島)の先端である、白神岬だ。ちょっとした駐車スペースに「北海道最南端」の碑がある。

津軽海峡の向こうにうっすらと見えているのが、津軽半島の先端、龍飛崎だ。龍飛埼灯台が見えることはあるのかな。背が低いからな。ちなみに龍飛埼灯台に行ったときは天気が悪く、北海道自体がほとんど見えなかった。

ここへは函館市街からは80kmちょっと、クルマで1時間半ほどかかる。白神岬は、龍飛崎のような強力な知名度がないし、周辺に有力な観光名所もない。
北海道新幹線の青函トンネルは近くを通っているが、もちろん地下なので地上からはまったくわからない。
「日本最北端」でもある宗谷岬に対して、白神岬は「北海道最南端」なので、ちょっとそれも弱いな。

駐車スペースから150mぐらい西に行ったところに、北海道南端の灯台である白神岬灯台(しらかみみさきとうだい、北海道松前町)がある。
ただ、国道からののぼり口は閉鎖されていて、クルマだけでなく歩いてものぼれない。残念。

しゃれたデザインのガードレールだ。

北端の宗谷岬灯台と稚内灯台、南端の白神岬灯台は、仲よく赤白の塗色だ。北海道や東北の灯台は、積雪時にも視認しやすいように、赤白か黒白の塗色になっていることが多いが、まっ白なものもある。塗色の選択にはなにか統一基準があるんだろうか。
納沙布岬灯台
次は東端。
北海道の東端にある灯台は納沙布岬灯台(のさっぷみさきとうだい、北海道根室市)だ。
日本の東端は南鳥島なのだが、一般の人が行くことができない(灯台もない)。ここでも北方領土のことはひとまずおくと、納沙布岬(稚内のノシャップ岬とは別の場所)が北海道および日本のほぼ東端ということになる。
納沙布岬は根室市街からクルマで20分ちょっとで来られるし、納沙布岬灯台は駐車場のすぐ近くにある。宗谷岬よりも観光客でにぎわう灯台だ。次の写真は、人がいなくなった一瞬を捉えて撮ったものだ。

北海道西端の灯台
残るは西端。北海道西端の灯台はどこかというと、松前町の沖50kmにある無人島、渡島大島(松前大島とも呼ばれる)にある渡島大島灯台(としまおおしまとうだい、北海道松前町)だ。
ここは普通の人は行けないし、灯台の保守をする海上保安庁の人もヘリで行くようなところだ。
普通の人が行ける西端は、奥尻島の青苗岬灯台(あおなえみさきとうだい、北海道奥尻町)だろう。とはいえ、飛行機や、1日1~2往復のフェリーに乗るのはなかなか大変だ。
では、北海道本島にある西端の灯台はどこだろうか。渡島半島の西側、松前町から島牧村までは、結構な数の灯台がある。松前灯台、日方泊岬灯台、鴎島灯台、ポンモシリ岬灯台、小歌岬灯台、水垂岬灯台、茂津多岬灯台など。このあたりは北前船などの日本海航路での往来があったし、険しい地形が多いところなので、灯台の必要性も高いのだろう。
地図で見ると、その中でどうやら水垂岬灯台(みたれみさきとうだい、北海道せたな町)が西端のようだ。

ただ、のぼり口がわかりにくく、途中の道は草をかきわけてさぐらないといけないらしい。それに加え、このところ渡島半島はヒグマの事件や目撃が多く報じられている。このため、近くは通ったものの、この灯台に行くのはあきらめた。
北海道本島の北端と東端の灯台は、観光地であり、探検度はゼロ。南端は立ち入り禁止だし、仮に入れたとしても探検感はない。一方西端は3種類が考えられるが、どれも到達しづらい。いずれも「灯台クエスト」としては単独で取り上げにくいので、まとめた記事にした次第。










