砂原から砂を踏みしめたどり着く砂埼灯台、まわりは砂と草以外なにもない

 

ナギヒコさんから寄稿していただいた記事です

到達:2025年10月
難易度:■■□□(初級)

砂原(さはら)という地名にクルマをとめ、砂地の道と格闘してたどり着くのが、砂埼灯台(すなさきとうだい、北海道森町)だ。砂だらけ。

砂埼灯台があるのは渡島半島の東側、内浦湾(噴火湾)に面したところだ。

(国土地理院)

内浦湾の入口として、チキウ岬灯台(ちきうみさきとうだい、北海道室蘭市)と向き合っている。

内浦湾はかなり海岸線がなめらかで、灯台の必要がない。室蘭以外に大きな港がないこともあるだろうが、砂埼灯台からチキウ岬灯台までぐるっと、防波堤灯台しかないようだ。さらに、渡島半島の南東端まで含めても、ほかに恵山岬灯台があるだけの“灯台不毛地帯”だ。

一方の渡島半島西側は松前灯台から弁慶岬灯台まで10本以上の灯台があり、大きな違いがある。

噴火湾という名前や円形に近い形から、大噴火でできたカルデラ地形かと思ったのだが、違うらしい。有珠山、(昭和新山、)駒ヶ岳、恵山など、周囲にある火山が以前は活発に活動していたことが由来のようだ。

灯台は、函館本線(砂原回り)の渡島砂原(おしまさわら)駅近く、砂原(さわら)の街並みが途切れたところにある。

(国土地理院)

国土地理院の地図には表記がないが、Googleマップには「旧砂埼灯台」というマークがある。年月が経つうちに砂が堆積し、海岸が移動したので、現在地に移動させたのだろうか。海流によって噴火湾内の砂がここに堆積してできた地形、という感じもする。

2本の道路が交差し、舗装が終わったところでクルマをとめる。

「!注意! この先、砂地です スタック 多発しています」の案内板がある。ということは、抜け出せなくなって救援を呼ぶクルマもけっこういるんだろう。素直に従うことにする。

右にとまっているトラックの先は道がない。何をしているのかがわからなかったが、戻ってきたときにはいなかった。

灯台へは左の道を行く。このあたりの路面は土で轍が深い。とくに深いところはぬかるんでいたりする。車高が低いクルマは草のある道の中央で床をこすりそうだ。

振り返ると、きれいな形をした駒ヶ岳がたたずんでいる。そのほかは平らな草原(くさはら)が一面に広がっているだけ。

このへんはススキなどの背の高い草が生い茂っている。草が少ないところから、灯台が見えた。まだまだ先だ。

Googleマップによれば、この近くに「旧砂埼灯台」があるようだ。航空写真を見ると、敷地を囲む四角がかろうじてわかるが、この草むらではまったく見えないし、踏み込んでいく気にもならない。

これだけ“なんにもない”ところに立つ灯台も珍しい。

道が右に曲がり始めたところで、左に入る道があり、先に海が見えた。

「これより自然保護地 車両進入禁止」とあるから、逆に言えば灯台までの道はクルマが通ることを想定しているわけだ。実質的にはやめた方がいいとしても。

せっかくなので、海岸まで来てみた。風が強い日で、波も多少荒い。対岸の室蘭は見えない。

砂浜越しに灯台が見える。これほどまでに灯台の孤独感を感じる風景はなかなかないな。

灯台への道に戻る。このあたりから路面が土から砂に変わる。これは歩きづらい! 歩く労力が2倍ぐらい、進む速さが半分ぐらいになる。

おやっ!? 動物の足跡だ。肉球があるものと、偶蹄目のようなものの、2種類があるような気がする。キツネとシカだろうか。

ようやく近づいてきた。

砂地との格闘が終わった。砂埼灯台に到着。歩き始めてから(海岸への寄り道を含めて)15分ぐらい。

灯籠がなく光源がLEDになっている。銘板によると初点灯は1952年(昭和27年)12月だが、それが「旧砂埼灯台」のものなのか、それを移設したときなのか、ここに新築したのか、案内板がないのでわからない。

周りより一段低いところに立っている。というかその逆で、年月を経て周りに砂が積もったのではないかと思う。灯塔はきれいになっているが、付属舎のタイルはだいぶガタが来ている。

最後に、駒ヶ岳を背景に1枚。また砂の道を歩くのは気が重い。

 

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