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甌穴とかいて「おうけつ」と読む。川の中で小さな石が、水流によってくるくると回転して岩を削り、長い時間をかけて丸い穴になったものをいう。
私がはじめて甌穴を知ったのは、10年以上前。気ままな一人旅で、群馬県の四万温泉(しまおんせん)に行く計画をたてたときだ。
「千と千尋の神隠し」のモデルになったとも言われている、「積善館」がある温泉街としても知られている。と、知ったようなことを言ってるけど、私はこの映画をみていない。有名なのでなんとなく知ってはいるけど、ジブリはナウシカ(10回以上観てる)しか観ていないんだな。
四万温泉の宿は、四万川に沿うようにたっている建物が多く、私が宿泊した宿もベランダのすぐ下には、四万川がどうどうと音をたてて流れていた。水の流れる音ってほんとに好き。人によってはうるさくて眠れないぐらいの水音だったけど😊。
四万温泉の近くには、「四万の甌穴群」と呼ばれる観光名所があった。それは知っていたのだが、当時の私はそんな自然の造形物に興味もなく、せっかくの見学の機会をあっさりと放棄してしまったのだ。
その後、諸般の理由から河川周辺に行く機会が増えると、今までは気にも留めなかった水場の魅力にはまっていくことになる。甌穴もそんな魅力の一つだった。
せっかくなので、私の手元にある甌穴の写真をいくつかご覧いただければと思う。
手取川の甌穴
石川県白山市を流れる手取川は、水量豊かな川だ。下の写真の中央に見えるのは白山頭首工(とうしゅこう)で、人工的に作られた堰(せき)なのだが、まるで水のカーテンのようで、何時間でも眺めていられる。

河原には小さな甌穴が点々とあった。丸いものをみると、なんで人は「かわいい」と思うのだろうか。
わたしだけだろうか。丸は正義と思うのは。

鶴仙渓遊歩道の苔むした甌穴
同じく石川県の加賀市にある山中温泉。温泉街に沿って流れる大聖寺川の近くに、遊歩道がある。
遊歩道を歩いていると、小さな甌穴が目に入った。
名もない、ただの丸いくぼみだけれど、もう愛しくてたまらない魅力があふれてる。
嵐山渓谷の遠山甌穴
嵐山とはいっても、京都の「あらしやま」じゃあない。埼玉県にある渓谷で、「らんざん」と読む。
渓谷の中を曲がりくねって流れる槻川(つきかわ)に、甌穴がある。

ちょっと説明しないと、どれですか?と聞かれそうなんだけど、上の写真の中央下にある、でっかい岩場の穴が、それである。
この日はなかなかの水量だったけど、それでも甌穴のところには川の水は流れ込んでいなかった。
なんだかこれだけ大きいと、逆に風情がないなとか思っちゃうけど、長い年月かけた自然の造形に、もっと敬意を払わねばいかんね。
ということで、ここまで読んでいただいて、ありがとう。
最後に、近くまで行きながら見逃してしまった四万の甌穴群の紹介動画があったので、ご覧ください。
碧き水に沈む甌穴もなかなかだよ。












