

到達:2025年10月
難易度:■■□□(初級)
松前灯台(まつまえとうだい、北海道松前町)は、小高い山に立っているのだが、のぼり口がわからない、さらにのぼる途中やのぼった先が荒れている、という“冒険”テイストあふれるところだった。

松前灯台が立っているのは弁天島という島だが、防波堤でつながり、周囲は埋め立てられているから、実質的には高さ20mぐらいの小高い山と言える。そのため、まん前までクルマで行くことができる。

ということで、まん前に着いたのだが、のぼり口が見当たらない。事前にGoogleストリートビューで高台の向こう側も見たのだが、のぼり口があるようには見えなかった。
うろうろ(おろおろ)していたところ、隣の建物(上の写真の左端)との狭間に、「道かも?」と思えるものを見つけた。

ひとまず鳥居のところまで行ったところ、右に折れる形でのぼっていく道らしきものがあった。

道と言うよりは、“ちょっと草が低くなっているところ”ぐらいだが……。草に足をとられないよう、気をつけながら急勾配をのぼっていく。

足元に四角柱の石がいくつか横たわっていた。この石で階段にしていたんだろう。草でよく見えないのだが、くずれてすでにちゃんとした階段ではなくなっているようだ。

こうなると余計に始末が悪い。足を降ろしてみないと路面がどうなっているのかがわからないのだ。想定外の角度になっていればころびかねない。
うしろを振り返るとこんな感じ。

石垣が現れたので、これに沿って道があるんだろうが、はっきりはわからない。この右は急な崖で、ころべば10mぐらい下の地面まで真っ逆さまだ。一歩一歩しっかり踏みしめながら慎重に歩く。

右手を見ると、正面に松前の中心街が見えた。江戸時代、松前藩の城下町だったところだと思う。

この先で左に180度折り返して、石垣の上側にのぼると、頂上に着いた。のぼり始めてから5分にすぎないのだが、かなり緊張を強いられた。コンクリートの門柱があったのだが、後ろに下がれないのでうまく写真を撮れなかった。
頂上は小さな空き地で、正面には古そうな茶色のコンクリートの建物。右手にはやはりコンクリート製の小屋のようなものがあるが、だいぶ壊れ始めている。かなり“廃墟感”が強い。

大きな方の建物の横に通路があった。

そして、その建物の向こうに、松前灯台があった。

建物と灯台の間が狭いので、うまく灯台を撮ることができない。

それにしても、この茶色い建物はなんだろう?

初点灯が1889年(明治22年)9月で、1956年(昭和31年)4月に改築されている。そのときに同時に改築された退息所(官舎)なんだろうか。窓のサッシはもう少し新しい気もするが。
大小2つの建物がなぜかそのまま残されていることが、“廃墟感”の一番の理由だ。
歩き回る場所もないので、下界におりることにする。のぼりと同じぐらいゆっくりと、足元に十分な注意を払いながら。
【追記】
この記事を公開したあと写真を見ていたら、遠景で撮った写真で、のぼり道や敷地の門柱などがギリギリ確認できることに気がついた。

【追記おわり】
高台の反対側に回ってみた。灯台の形を味わうならこの場所がいいかもしれない。

松前灯台は、渡島半島南部に並ぶ、白神岬灯台、葛登支岬灯台(それぞれ1889年、1888年、1885年初点灯)とともに、津軽海峡を通る船の支えに明治時代からずっとなってきたのだ。その貢献度を考えると、“廃墟感”のある現状はちょっとなんとかしてあげたい気持ちになる。











