ひょっこりひょうたん島のモデル 蓬莱島の赤い灯台

 

 

 

1年ほど前の記事で、岩手県大槌(おおつち)町の蓬莱(ほうらい)島にある赤い灯台を紹介した。東日本大震災の津波で倒壊した灯台が、同じ赤い色の灯台で再建された姿を、Goggleのストリートビューの画像を使って記事を書いた。そのときから、必ず実際に見に行こうと思っていたが、先日やっと訪問することができた。

以前の記事と内容がかぶるところがあるが、リアルで感じた赤い灯台=大槌港灯台の訪問記である。

 

 

 

蓬莱島は、ぎざぎざとしたリアス式海岸の大槌湾の中にある。外周200mほどのひょうたんのような形をした島で、人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルともいわれている島だ。

上の地図を拡大すると、島と陸地(赤浜地区)は離れているように見える。が、実際には細長い防波堤でつながっていて蓬莱島まで歩いて行くことができる。

 

下の画像は、大槌町の赤浜地区を東西に走る道路から、南方向にある蓬莱島を2019年11月に撮影したGoggleのストリートビューで映したものだ。海岸近くの防潮堤などはまだ工事中だ。

  

そして、下の写真は今回の訪問時に撮影したもの。防潮堤前の道路も完成し、赤浜地区漁業集落共同利用施設の造成工事も完了しているように見える。

 

左側にあるゲートから中に入ることができる

 

 

早速、ゲートの中に入ってみる。

 

 

陸閘(りくこう)とは、開閉可能な堤防の役割をする門扉のこと

 

 

 

大槌湾の向こう側には、復興工事で造られた大槌川水門(下の写真、右側の緑矢印)と、かさ上げ工事された小鎚川水門(左側の緑矢印)が見える。

 

赤浜地区より北西方向を撮影

  

 

蓬莱島に続く防波堤は約340mの長さがあり、初代は1947年(昭和22年)に造られた。蓬莱島の灯台とともに津波で大破し、現在の防波堤は再建されたものだ。

防波堤の幅は3~4mほどあり、無風時なら問題なく歩行可能

  

 

蓬莱島には、漁師の守り神である弁財天が祭られたお堂がある。1953年(昭和28年)に建てられた高さ7.4mの赤い灯台とともに、大槌湾の安全航行を担う守り神だった。

しかし津波により、灯台は根元から折れ、お堂の下にある赤い鳥居も流されてしまった。

 

 

 

防波堤の突き当り、右方向に曲がると灯台とお堂への道が続く。

島に沿った道は狭く、十分注意して歩きたい

 

鳥居の手前に、蓬莱島の由来が書かれた案内板があり、傍らに名勝指定の記念碑が建つ

  

 

 

大槌港灯台は震災の翌年に再建された。釜石海上本部と大槌町が協力し、復興の象徴として灯台のデザインを大槌町在住の住民から公募。応募の中から、ろうそくのようなシルエットを持つ、大槌町の未来を明るく照らすイメージのデザインが採用されたのだ(詳細はこちらの「大槌港灯台のデザイン決定」を参照)。

 

初代の灯台より、2代目は4mほど背が高い

 

灯台の銘板。初点とは灯台が初めて点灯した年月のこと

 

灯台の横を漁船が通り過ぎていく

 

 

蓬莱島は、もともとは大槌町漁協の所有だったが、震災後に破産。その後、管財人の管理下に置かれていたが、2013年12月に大槌町が20万7200円で購入している。

 

弁財天が祭られているお堂

 

 

防波堤の近くの海の透明度は高く、海底が透けて見える。

 

 

 

 

 

灯台の形は変わりはしたものの、震災前と同じ様子を取り戻した蓬莱島は、小さな丘の上に立つ灯台を舳先として、海に繰り出すひょうたん島そのものだ。

 

 

 

2代目灯台のあかりが灯る部分は、水平線より昇る太陽をイメージしているという。大槌湾を照らし、未来を明るく照らす灯台が、いつまでもあかりをともし続けられるよう願ってやまない。

 

 

 

 

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