

到達:2025年10月
探検度ゼロ
芝生に覆われた広いスロープ、その先は青い海、うしろを振り返ると今も噴気をあげる活火山、子供用遊具広場もあるし、近くにはしゃれたホテルや、海と一体化した露天風呂(満潮時には入れない)。こんないい環境を備えた公園の主役が恵山岬灯台(えさんみさきとうだい、北海道函館市)だ。
灯台クエスト的には探検度ゼロだけど、ここは気持ちがいい。灯台に関係なく、多くの人にオススメしたい場所だ。あまり訪れる人が多くないようだがもったいない。
駐車場にとめたクルマを降りれば、もうそこに灯台がある。

初点灯は1890年(明治23年)11月。1世紀後の1989年(平成元年)に改築され、現在の姿になった。公園が整備されたのはそのときか、そのあとだろうか。

初点灯時は、六角形の鉄製だったという(「はこぶら 函館市公式観光サイト」https://www.hakobura.jp/spots/589)。その後、現在の姿に近い、コンクリート製になった(時期は不明)。「海と灯台プロジェクト」(https://toudai.uminohi.jp/model-2022/esanmisaki.html)に先代の写真がある。
バルコニー以外の灯塔は現在のものに近い。付属舎があり周囲には退息所(官舎)などいくつかの建物があるという、古い灯台の典型だが、改築後の現在はなくなっている。

代わりに鉄塔があり、その向こうに広めの建物がある。遠くに見えるのが恵山(えさん)だ。
鉄塔は灯台よりずっと高く、こちらもけっこう存在感がある。鉄塔は無線方位信号所というものらしく、少し離れたところにある広めの建物は、灯台というよりは信号所のためのものではないか。信号所は2007年に廃止されていて、建物も今は使われていない感じだ。

鉄塔と灯台の間にある茶色の箱は、灯台を照らすライトのようだ。毎日ついているのか、なにかのイベントの時だけなのか。
灯光のレンズは不動型のようだがはっきりとはわからない。

灯台の詳しい歴史や資料は、駐車場の反対側にある函館市灯台資料館で展示されている……はずなのだが、2016年から休館中だ。なかなか立派な建物だ。耐震性の問題なのか、利用者数や運営費用の問題なのかはわからないが、このまま閉館になるのではないか。資料を見られないのがもったいない。

この公園の来訪者が少ないのは、場所の影響もあるだろう。恵山岬灯台に行くには椴法華(とどほっけ)で国道278号をはずれ、狭い道を進む必要がある。
恵山は太平洋に突きだしていて、海側(東側)の海岸が険しく、北と南で道がつながっていない。国道278号は恵山の西、内陸部を通っている。このため、恵山岬からの帰りは椴法華まで戻るしかない。

椴法華(とどほっけ)とはすごい地名だが、その名が付いたガソリンスタンドのおねえさんに聞いたら、やはりアイヌ語由来だそうだ。「私がお嫁に来たころ(?十年前)から人口は何分の1かになった。このへんも空き家だらけ」だという。日本のどこででも聞く話だ。
恵山岬灯台から椴法華を経由して函館市街に戻る途中、2つの灯台がある。だが、現在どちらも近くまでは行けない。
日浦岬灯台(ひうらみさきとうだい、北海道函館市)は、迫力ある柱状節理が見られる日浦岬にある。だがそういう地形は、通行が危険になることも多い。ストリートビューで見ると、手前の橋のところにロープが張ってあるようだ。仕方ないので、遠景だけを撮影した。

汐首岬灯台(しおくびみさきとうだい、北海道函館市)も、国道からののぼり口に「立入禁止」のロープがあることがわかっていたのだが、一応見てみた。
そしたらこんなことになっていた。ブルーシートの向こう側に、ジグザグとのぼっていく手すりが見えるだろうか。これが汐首岬灯台へののぼり道だ。

そして上を見たらビックリ。ものすごいがけ崩れが起こっていた。写真左上に灯台の塔頂が見えているけど、これじゃだれも到達できませんぜ。

国道の歩道に置かれているのは、今後行う補修工事用の土なんだな。ご苦労さまです。
ということで、汐首岬灯台は遠景を見てオシマイ。










