ナギヒコの灯台到達記:落石岬灯台
落石岬灯台(おちいしみさきとうだい、北海道根室市)
到達:2022年9月
難易度:■■□□(初級)
「行こうかどうか迷った末に行ってみたら、ものすごく楽しかった」。
落石岬灯台(おちいしみさきとうだい、北海道根室市)に出会ったことが、このあと各地の地味な灯台に行くという「灯台クエスト」の根底に流れるものを形作ったのだ。それなのに灯台クエストとしての記事がなかったので、4年近く経ってしまったが、記事を作成した。
落石岬灯台に向かってクルマを走らせると、道が未舗装になった少し先で行き止まりになった。

左側にあるゲートは生きているようだが、関係者専用と思われるので、ここからは歩いていく。なお、ゲートの左には水を使わない「バイオのトイレ」がある。

それにしてもすごい霧だ。あたり一面ほとんどなにも見えない。「落石岬→(徒歩25分)」。頼りになるのはこの看板だけだ。

実はこのとき、行くかどうか迷ったのだ。まだ灯台に行くことが明確なミッションではなかった2022年のことだからだ。もしここで行くのをやめていたら、「灯台クエスト」は存在しなかっただろう。
「せっかくだから」ひとまず行ってみることに決定。とはいえ、周りになにがあるかがまったく見えない状態で歩くのはすごく心細い。写真で見るより現場ではもっと霧が濃いように感じた。以降の写真はいずれも実際より霧が薄く写っていると思う。

現在地は、次の地図で「クルマの行き止まり」というところだ。

クルマのわだちがある道から脇道に入る。標識があると安心感が違う。

そこには「落石無線送信所跡」という標識と、不思議な建物があった。霧に包まれているせいか、不気味な感じがする。

無線送信所跡だと思うのだが、それにしては廃墟感があまりない。理由の一つは、出入口の上にある「JR」または「IR」と読める謎のマーク。トビラの右には同じマークと「Ryoji IKEDA」の表札があった。個人宅ということか?
帰宅後調べたところ、池田良二という銅版画家のアトリエだった。
建物を横目に見ながら進むと、道は森の中に入る。このあたりは湿地で、地面を歩けないところがあるので、丸太を使った木道が作られている。

ただ、木道の丸太の一部は腐食して破損しているので注意が必要だ。修理してあったり、応急処置がしてあったりするところもあるが、壊れたままの場所もある。足元をよく見て歩かないと危ない。
一方、足元ばかりを見ていると、顔に枝が当たったり、クモの巣にひっかかったりする。歩くことに集中していたため、この間の写真は撮っていない。
いったん森を抜けるが、木道はまっすぐに延びている。

森が終わると案内板があり、草はらが広がっていた。霧が晴れていればいい景色なのかもしれない。この少し先で木道は終わっている。

道の先、白と赤の建物がぼんやりと見えてきた。

だいぶはっきりしてきたぞ。

歩き始めてから約20分で、落石岬灯台に到着。

初点灯は1890年(明治23年)10月となかなか古い。現在の建物に改築されたのが1952年(昭和27年)。
ここの北にある花咲灯台(はなさきとうだい、北海道根室市)も、初点灯が1890年で改築が1951年とほぼ同じ。
反対に東南方向の霧多布岬にある湯沸岬灯台(とうぶつみさきとうだい、北海道浜中町)は初点灯が1930年(昭和5年)とやや新しいものの、改築はやはり1951年。
3つの灯台はともに、丸い昔ながらの灯籠、四角い塔柱や付属舎、上下中央に赤い塗色の帯、という似た形をしているのは、ほぼ同時期に建設(改築)したからだろう。
左手に回り込んでみる。

そして海側から。船からはこの姿が見えるわけだ。

かすかに流れている霧しか動くものはない。この一帯は森にさえぎられ、現実とは切り離された世界のように思えてくる。
聞こえるのは波の音ぐらい。灯台のすぐ先、切り立った崖の下では荒い波が岩に打ち付けていた。

灯台の手前から横に入る道があったので、遠くから灯台を見てみた。灯台はほとんど見えず、幻想的と言える風景だ。ネットで晴れたときの写真を見ると、これもなかなかいいのだが。

木道の終点付近、案内板のところまで戻ってきた。さっきよりやや霧が晴れてきたようだ。

だが、振り返ると相変わらず灯台はぼやけている。

それにしても、落石岬は不思議な地形だ。半島全体がほぼ平らなのだ。歩き始めてから灯台までのぼりくだりがほとんどないから、歩きやすい。

風景が楽しめるし、木道、案内板、トイレなどがしっかり整備されている。灯台目的でない人も楽しめる場所だと思う。
一方、翌日に行ったノッカマップ埼灯台(のっかまっぷさきとうだい、北海道根室市)は「だれにもジャマされず、灯台のある風景を独占できる」のが魅力だ。異なる特徴を持つ2つの灯台を経験したことが、後日「灯台クエスト」を始める大きな要因となった。
ノッカマップ埼灯台の記事は、近日公開予定。

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