温泉津港灯台は城跡とともに、ときおり訪れる人をひっそりと待つ

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ナギヒコの灯台到達記:温泉津港灯台

温泉津港灯台(ゆのつこうとうだい、島根県大田市)
到達:2026年10月
難易度:■■□□(初級)

のぼり口がわかりにくい、通り道にクモの巣がいっぱい、思ったより難易度が高い――温泉津港灯台(ゆのつこうとうだい、島根県大田市)は、この次に行った立神灯台(たてがみとうだい、島根県大田市)と特徴が同じだ。ただ、のぼりがほとんどコンクリート階段なので、「難易度中級」とまでは言えず、「初級の上」といったところか。

 

温泉津港灯台は、外洋から温泉津港に入る手前の、小さな岬の突端にある。

(国土地理院)

灯台へののぼり口は、地味な入り江を挟んで自動車道の反対側にあり、そこまで一応クルマで入っていける。次の写真は、行き止まりから振り返ってみたところ。

そしてツタに覆われた建物(上の写真の左、下の写真の右)の隣に、温泉津港灯台へののぼり口がある。

「ある」と言われても困るかもしれないが。

むりやり草を分け入ると、コンクリートの階段が見つかる。だがその手前にクモの巣が立ちはだかっていた。まずはクモの巣を払う木の枝を拾い、振り回しながら出発だ。このあともクモの巣はところどころにあったから、足元だけではなく前方もよく見ないといけない。

階段を少しのぼったところに、鵜丸城跡(うのまるじょうあと)の案内板が草の陰に隠れていた。大田市観光サイトによると、鵜丸城は「温泉津湾のふところの深さに着目した毛利元就が、水軍の基地として湾の突端に築いた城で、ここを拠点に海上を征した毛利軍は出雲地方を征服する足場を固めました」という。割と重要な城だったようだ。

対岸の自動車道のストリートビューを見ると、もっと草の少ない時期に撮られたようで、この案内板がチラッと見える。冬の間はもっとのぼり口がわかりやすいかもしれない。

そして階段は続いていく。

すごくしっかりした階段なので、ロープにつかまる必要はない。倒木が横たわっているけど、どんどんのぼる。

竹が倒れてきているけど階段はまだ続く。城跡を観光スポットとして整備したのはいいけど、いまは面倒を見ている人がいないようだ。まあ通る人もほとんどいなさそうだが。

きのこもはえているけど階段はまだ続く。足に力が入らなくなってきた。まだか。

 

ようやくのぼり階段が終わり、道がほぼ平らになった。標高50mぐらいを一気にのぼってきたのだ。所要時間は10分ちょっと。もっと短時間で容易にのぼれると予測していたが、難易度の見極めが甘かった。

さっきの案内によれば、このあたりが城内のようだが、木や草で何も見えない。植物が少ない状態で詳しい人が見れば、城の痕跡がわかるんだろうが。灯台は城跡の西端あたりにある。

開けた場所に出た。灯台も近そうだ。

と思ったら、いきなり現れた。

クモの巣を払い、やぶを通り抜ければ、温泉津港灯台に到着。のぼり口から15分。

初点灯は1948年(昭和23年)だが、1992年に改築されている。敷地内に初代時代の痕跡が残っていたとしても、草で見えなくなっている。

明け方には結構強く雨が降っていたが、9時をすぎると一転青空が広がりだした。地面が荒れていることを覚悟したが、階段部分が長いおかげもあって、靴やズボンもそれほど汚れなかった。

近くに温泉津(ゆのつ)というそのまんまの名前の、古い温泉街があり、そこからのぼり口までは歩いて10分ぐらいしかかからない。しかし、このような地味な灯台はもちろんだが、見るところがほとんどない城跡に来る人もほとんどいないだろう。

「めったに人が行かないところ」をあえて目指す、灯台も城跡もそういう人がときおり訪れるのをひっそりと待っている。

 

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この記事を書いた人

灯台クエストは、次のような灯台を求める旅だ。
・小ぶりだが形がきれい
・それほど知られていないのでめったに人がいない
・あまり簡単には行けないので、出会った瞬間の喜びが大きい
到達することが目標だが、大事なのはそこに至る道中。その楽しさと苦しさをお届けする。

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