ナギヒコの灯台到達記:立神灯台
立神灯台(たてがみとうだい、島根県大田市)
到達:2026年10月
難易度:■■■□(中級)
先人のみなさんの情報によれば、港から片道10分~15分ぐらいらしいので、なんとなく「難易度初級かな」と思い込んでいたら、全然違った。バッチリ中級で、のぼりには20分以上かかってしまった。立神灯台(たてがみとうだい、島根県大田市)はナメてはいかん案件だった。
国道9号を大田市中心部から出雲市に向かっていくと、視界の隅にチラッと灯台らしきものが見えた。
次の写真は、帰りに国道から撮ったものだが、崖がすごい形をしているし、その真上に灯台があるのもなかなかデンジャラスだ。だが「道がけっこう厳しくないか?」という疑問を、このとき(行き)はうかつにも思わなかったんだよね。

この地層が丸わかりの崖が「立神岩(たてがみいわ)」で、左にあるのが「立神島」。上の写真だと切り通しのようにも見えるが、位置関係は全然違う。
立神岩と立神島は浸食面が似た方向を向いているのだった。

波根漁港に面した駐車場所から崖を一気にのぼれるわけがないのは、現場へ行けばわかる。

というわけで、右へカーブする道を進む。

のぼり口は、予備知識なしに行ったらわからない。先人のみなさんのおかげだ。道の左にある水色の箱のようなものが目印だ(ただしいつまであるか…)。

向こうに手すりがあることで、かろうじてここがのぼり口だとわかる。手すりの必然性がないように思えるが、のぼり口だとわかるためなのかもしれない。

いざ灯台へ!と思った瞬間、目の前にクモの巣が。適当な木の枝が見当たらないので、枯れた草の茎を振り回しながら出発した。

階段があるのは最初だけ。

階段が終わるとすぐに、雨が降ったときに水が流れる「水みち」になる。傾斜が急でロープがないと困るような状況。マダニ対策を兼ねた手袋(袖口を覆ってくれるヤツ)を持ってきてよかった。

その場でどこが道かを迷うことは少ないが、写真で見るとなぜか道がわかりにくい。次の写真は左下で折れ曲がったあと、右上に向かって伸びていく。傾斜が30度以上ある感じだ。

ロープがないところもあるが、歩きやすいわけではない。枯れ葉が積もっているのに加え、雨が降ったあとだし土が軟らかく滑りやすい。アイゼンを持ってくればよかった! 全然必要な場所と思っておらず、ここをちょっとナメていたようだ。

ロープのあるところは必ずロープにつかまる。両手でつかまらないといけないところもある。一方でクモの巣よけに草の茎を振る必要もある。視線を地面に集中させているので、クモの巣に気づきにくいのだ。

ロープがないところは、滑らないようにかなり慎重に一歩ずつ踏み出す。のぼりもつらいが、くだりはもっと大変そうだ。帰るときに一回滑って尻もちをついたが、ここだったかもしれない。

左(谷)側より右(山)側にロープがほしい。そもそも左側のロープ、滑って谷に落ちそうになったときに役に立つんだろうか。

カニがいた(写真中央)。帰宅後調べたら、アカテガニというらしい。手ではなくはさみだが、確かにそこだけ赤い。

いちばんの難所。斜面が崩れ、ロープを結んであった木が根こそぎ倒れたようだ。「枝やロープはまたげばいいでしょ」と思うかもしれないが、滑りがちなところで片足を大きく上げるのは慎重にならざるを得ない。

倒木から前方に延びるのが、これまでと同じような古さのロープ。手前と右の、黄色の縞模様は、木が倒れたあとに追加した新しいロープのようだ。
急なのぼり坂がずっと続き、休むタイミングがつかみにくい。それにしても、いったいいつまでのぼるのか。ここの前に行った温泉津港灯台へののぼりもけっこうしんどかったので、かなり足に疲労がきている。
と、道の先に日が差している。朗報だ。そろそろのぼり切ったのではないか。

谷が右側に移っている。どうやら尾根に到達したらしい。のぼり口からのぼり始めて20分近く経っていた。

この草むらは突っ切るしかない。草に隠れて2本の木が横たわっていたので踏まないよう気をつける。地面が見えないところは要注意だ。

お、灯台が近い予感。その前にいくつもあるクモの巣をなぎ払う。

やった! 見えた。

だがまだだ。クモの巣を突破しないと。写真にクモの糸は見えないが、右にクモが写っているし、灯台の左にはクモの巣に引っかかった葉っぱがある。クモには申し訳ないが、全部なぎ払う。

草むらは強行突破。

ようやく立神灯台に到着。道が平らになってから5分、のぼり口から25分、港でクルマをおりてから30分かかった。「片道15分」という先人のみなさんはスゴイ。

灯塔の中央がくびれた形はりりしく、美しい。タイルはちょっと汚れているが。
初点灯は1951年(昭和26年)1月1日。終戦から年月がまだあまり経っていないころ、元日に点灯した灯台が付近の人々に明るさをもたらしてくれたとしたら、よろこばしい。

ただ、1951年にすでにこの形はあったんだろうか。
これまで出会った「中央くびれ形」としては、濤波岐埼灯台(左上、1966年初点灯)、生石鼻灯台(右上、1974年初点灯)、刈又埼灯台(右下、1965年初点灯)、出羽島灯台(左下、八角形、2009年改築)、臼碆埼灯台(以下の写真にはナシ、八角形、1961年初点灯)がある。

ほかの「中央くびれ円筒形」と比べて初点灯が10年以上早い。改築されたという情報はネット上にはなかったが、改築されて現在の姿になった可能性はあると思う。
さて、灯台の反対側に行こうとするものの、草ボウボウだ。ロープがあるということは、その外側は斜面になっていて危ないのかもしれない。そういえば、敷地を示す柵や塀がないな。

右側は少し草が少なそうだ。ちょっと行ってみよう。

灯台の向こう側はあまり広くない。思いっきり見上げる構図しかとれないので、灯台の写真は撮らず。
草で地面が見えないので、どこまで先に行けるかがわかりづらい。この先は例の崖かもしれず、落ちたら大変なことになる。遠くから見た、灯台の立つ場所のデンジャラス感がここではまったく感じられないのが不思議だ。木々が周りの視界をさえぎっているからだが。

初点灯の時代から考えると退息所(官舎)があった可能性が高いが、ここだったとするとちょっと狭いかも。灯台の裏(奥)、という位置も不自然だ。改築疑惑が少し高まる。
予定より時間がかかったこともあり、そそくさと戻ることにする。
くだりものぼりと同じぐらいの慎重さが必要だ。のぼりで酷使した足にさらに負担がかかる。案の定、この先で滑って尻もちをついた。

灯台から15分以上かかってやっと港まで戻った。往復で45分。文句なく中級と言える難易度だった。
正面に見えるのは、波根東港南防波堤灯台。


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