写真:Tawashi2006Tawashi2006, CC BY-SA 3.0 http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/, via Wikimedia Commons
VIVANT シーズン2が2026年7月26日から放送中です。この記事はシーズン1・第4話のレポートです。
あの橋は、潮騒橋(しおさいばし)。静岡県掛川市の菊川河口に架かっています。
リアルタイムでドラマを見ることはほとんどない。面白いかもしれないと思うドラマを録画しておいて、最終回をむかえた後ぐらいに、みることもあるけど、8割ぐらい見ないで消してしまう。
前クールの日曜劇場「LAST MAN」が面白かったので、そのまま後続の「VIVANT(ヴィヴァン)」を録画だけしておいた。正直なところ、壮大なスケールの謀略モノってあまり見る気がしないので、そのまま見ないだろうなぁと思っていた。
ところが、仲良くしている同僚の家族が「おもしろい!」と言ってるという話を聞き、何の気の迷いかちょっと見てみようかなって気になった。
いま、ものすごく忙しくて、ドラマなんて(しかも連続物)見てる暇はないんだよ。しかも初回108分SP、2回目は79分SP、3回目は69分SPなんて、そんなもんみてられるかよーと、ながらで見始めたら止まらくなり、夜中の2時まで3話いっき見をしてしまった。
そんな訳で第4話をリアタイで見たわけなんだけど、内容の面白さは別として土木萌え的に「おぉぉ」と思うシーンが終盤にでてきた。
ネタバレになるから詳しくは言えないけど、乃木(堺雅人)と黒須(松坂桃李)が海辺近くの橋に登場する、物語的にはかなり、かーなーりーインパクトのあるシーンだ。
ちなみに、番宣動画に一瞬だけその橋が写っている。下のyoutubeの1分33秒のところだ。
私はこの橋の「魚腹」が好きで、以前も別の橋で同じことを書いた。

ただ、なぜ好きなのかは自分でもよくわかっていなかった。今回調べていて、その理由がやっとわかった。
ドラマの中に出てくるのは「潮騒橋」。静岡県掛川市の菊川に架かる橋で、海から500mほどのところにある。
専門的には「4径間連続上路式PC吊床版橋」という構造で、橋の下部が魚腹のように膨らんでいて、なおかつすっきりとした立ち姿がかっこいいのである。
以前は漠然とかっこいいな・・で話を終えていたんだけど、あの魚腹がどうしてあの形になるのか、
「魚腹は、力の形だった」
というのが、自分的に納得ポイントだった。
どういうことか。
一般的な桁橋は、桁に生じる曲げによって人や車の重さを支えている。曲がろうとする力に抗う構造で、これを梁構造という。
一方、吊床版橋は、まるで別のやり方をする。ケーブルなどの部材に生じる引張力を中心にして、荷重を支えるのだ。
洗濯物を干したロープを思い出してほしい。ロープをぴんと水平に張ろうとすると、とんでもない力がいる。でも適度な垂れを設ければ、細いロープでも洗濯物の重さを支えることができる。
潮騒橋で下向きの曲線を描いているのは「吊床版」である。吊床版の中を通るケーブルやPC鋼材が主に引張力を受け持ち、コンクリートにはあらかじめ圧縮力が与えられている。
その吊床版の上に鉛直材を立て、さらに歩行者や自転車が通る上床版を載せる「上路式」だ。
あの魚腹は、最初から「サグ」として設計された曲線で、吊構造の力の流れが、目に見える形になったようなもの。無理をしない自然なフォルムだからこそ、素人の私の目にも魅力的に映ったのだろう。
(ここでの「サグ」は、たわみや垂れ下がりを意味する用語だ)
数字で見る潮騒橋
開通 1995年(平成7年)8月
橋長 232m。橋長では日本最長の吊床版橋
幅員 3m
用途 自転車・歩行者専用
形式 4径間連続上路式PC吊床版橋
受賞 平成7年度土木学会田中賞・作品部門
潮騒橋は4径間。魚腹が4つ、河口に向かって並んでいる。
4径間連続上路式PC吊床版橋という、世界にも例を見ない構造形式なのだそうだ。
そしてもうひとつ。この橋、クルマは通れない。
太平洋岸自転車道を構成する橋なのである。あの張りつめたシーンの舞台は、実のところ自転車と歩行者しか渡れない幅3メートルの道だ。休日にはサイクリストが潮風を受けながらのんびり渡っていく橋である。
(出典:静岡県公式サイト「Myしずおか日本一」、掛川市観光サイト)
そんな橋を、あんなシーンで使うとは、いやはや恐れ入りました・・ともう脱帽以外のなにものでもないのだ。
ご覧になっていないかたは、ぜひ。VIVANT 第4話でございます。

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